国連の子どもの権利委員会は7日、1月中旬に実施した対日審査の結果を受け、日本政府への勧告を公表した。委員会は日本で子どもへの虐待などの暴力が高い頻度で報告されていることに懸念を示し、政府に対策強化を求めた。虐待などの事案の調査と、加害者の厳格な刑事責任追及を要請した。
千葉県野田市立小4年の女児が死亡し、両親が逮捕された事件でも市教委や児童相談所の対応が問題視されている。7日に記者会見した子どもの権利委員会のサンドバルグ委員は、同事件について「起きてはならない残念な事件だった。誰か大人が反応すべきだった」と述べ、日本社会全体で向き合うべきだと指摘した。
安倍晋三首相は7日の参院予算委員会で、児童虐待防止に関する関係閣僚会議を8日に開くと明らかにした。「関係機関のさらなる連携強化などの対応策を協議する」と述べた。
勧告は、子どもでも虐待被害の訴えや報告が可能な制度創設が急務だと指摘。虐待防止に向けた包括的な戦略策定のため、子どもも含めた教育プログラムを強化するように要請した。
対日審査は2010年以来で、日本政府による子どもの権利条約の履行状況を点検するのが目的。勧告に法的拘束力はない。
同条約は子どもへの「虐待の禁止」を規定。委員会はこれまでの勧告で日本政府にあらゆる形の暴力禁止を求めてきたが実現しておらず、人権団体などが批判している。
勧告は、先進国の中でも高い水準とされる日本の子どもの貧困率についても言及、十分な対策を取れるような予算措置を要請した。女子高生らによる親密な接客を売りにした「JKビジネス」など子どもの性の商品化についても法による禁止が必要だとした。
小学校などの運動会で行われている組み体操も、非政府組織(NGO)から「極めて危険で、傷害などからの保護を定めた同条約に違反している」と指摘を受け、審査対象になったが、今回の勧告には盛り込まれなかった。(共同)
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