7日に発表された平成31年1月の景気動向指数で、景気の現状を示す一致指数の基調判断が「下方への局面変化」に引き下げられ、1月に達成したとみられている「戦後最長の景気拡大局面」が幻だった恐れが出てきた。政府は「戦後最長景気」更新の判断を維持する構えだが、その可能性は「五分五分」(民間エコノミスト)といわれており、予断を許さない状況だ。
一致指数による景気の基調判断は基準が決まっており、7カ月平均のマイナス幅の累積が一定以上を超えるなどの条件を満たすと機械的に「下方への局面変化」と判定される。今回は昨年7月の西日本豪雨以降に相次いだ自然災害の影響が反映された。
ただ、基調判断が「下方への局面変化」になったことがそのまま景気後退局面入りと認定されるわけではない。消費税率8%への引き上げの駆け込み需要の反動減が起きた26年8~11月にも基調判断は「下方への局面変化」とされたが、内閣府の「景気動向指数研究会」は雇用や企業収益が堅調だったことなどから、後退への転換点を示す景気の「山」を認定しなかった。
こうした前例もあり、菅(すが)義偉(よしひで)官房長官は7日の記者会見で「緩やかに回復している」という景気の現状認識について「変わらない」と強調。「戦後最長景気」を更新しているとみられるとの見解も変えなかった。
一方、民間エコノミストの見方は厳しい。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「春節前倒しの影響などを割り引いてみても、一致指数の落ち方が大きい」として、昨年10月ごろに景気の「山」が生じた可能性があると指摘。「戦後最長景気」更新について「黄信号が赤になるか青になるかは、米中貿易戦争の動向が大きい」と分析している。(桑原雄尚)
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最終更新:3/7(木) 21:52
産経新聞
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