ゆるゆる雑記帳

プロ野球観戦の話がメインのはずが、どういう訳か2018年末からQUEENの話ばかりしています。演奏活動再開しました

2023/08/19:ジョン・ディーコン祭のメモ(第2部)

2023-08-31 23:05:03 | QUEEN
※注意※
当ブログにある五線譜は、筆者が個人的にベースプレイを学ぶ為に耳コピしたものです。
あくまでも個人的メモです。
ベース写真は筆者がQUEENを演奏する際に使用しているプレシジョン(但しネック細め、弦も細め)です。

【第2部】
④「Who Needs You」(Bass:カバさん、Vocal:竹善さん)
◆スタジオに入ってから曲を作っていたと思われる(大スターになった証拠)
2017年に発売されたNews Of The Wolrd発売40周年記念版にデモバージョンが収録されている。そちらにはベースが入っているが、アルバムバージョンには入っていない。引き算の美学。
(筆者より:曲の構成も若干違う。コード進行は同じだが、ベースのonコードが若干異なる構成)

◆ラテンリズム
初めて聴いたラテン曲、細分化すればメキシカン。途中のフレディのセリフもメキシコ訛りっぽい(by竹善さん)

◆ステレオの定位的に攻めている構成
真ん中ではなく左右に楽器やヴォーカルが振られている。ヴォーカルは左。
ステレオの振り方はある程度ポピュラーになっているはずだが、ビートルズに影響を受けている?(by西脇さん&竹善さん)

◆実演はアルバム(完成)バージョンサイズで、アコギのソロ部分は西脇さんによるクロマティックハーモニカソロ。

◆ヴォーカルの表現方法
どのセンテンスで切るか等、フレディの表現はバリエーション豊富。発音も曲によって変えている(by竹善さん)

⑤「You're My Best Friend」(Bass:カバさん、Vocal:竹善さん)
◆コーラスワークについて
フレディがコーラスを付けたものと思われる。基本的に4声だが、部分的に一部3声で構成。コーラスのバランスが崩れる為、別々のパートがユニゾンすることはない(他の曲でも同様の傾向がある)。
「フレディの不連続面」と名付けた。
ブライアンがコーラスを作ると、4声なら4声、3声なら3声をそのまま通して崩すことはない。

◆イントロのドラムタム回し
一般的なHigh→Lowではなく、Low→High、ロジャーの非凡さが光る(by竹善さん)
パラディドル(ドラムの手順)が合理的(by西脇さん)

◆ベースがルートを弾いていない
エレピの左手低音部でルート音をキープしている。鍵盤プレイヤーとしてテヌート気味で実際に弾くと難しい。サスティンペダルなし。

ずっとハイポジションで普通のベースラインではない、何考えてんだ?(byカバさん)
(筆者より:譜面とポジションの対応はこんな感じ↓プレイヤーさんによってポジションは若干異なると思う)

Aメロの冒頭部分



Cメロの後半部分(♫=♩♪3連符)



◆RolandシンセのVocal Designer機能
ヴォコーダーよりヴォーカルっぽく出力してくれる機能。これを使ってコーラスパートを1トラックずつ多重録音。

◆ヴォーカルのタメがすごい
Oh...の部分のタメ方が色っぽすぎる、五木ひろしか??(by竹善さん)

⑥「Misfire」(Bass:根岸さん、Vocal:竹善さん)
◆ポップで聴きやすくてキュート?そんなことはない
曲の展開の早さが変(凝縮されている)
アコギやベースが16ビートだが、ドラムが8ビート

◆ベースラインがおかしい
Aメロのメインベースラインが普通に考えるよりオクターブ高い所がある(赤丸印部分)。このオクターブ上があることにより、ベースの難易度が上がる。



◆実演、根岸さん完コピ!!

<アンコール>
⑦「Spread Your Wings」(Bass:根岸さん、Vocal:Kinnyさん・竹善さん)
◆ヴォーカルお二人の思い出
高校時代にこの曲でコンテスト出場、ベストヴォーカル賞を受賞(by Kinnyさん)
竹善さん高校時代にやっていたパンクバンドで先輩に何か歌え、と言われてベースを弾きながら歌った。
日本語タイトルの付け方が良い(以上by竹善さん)

⑧「We Are The Champions」(全員)
◆Aメロのベース
ジョンならではのフレージングで、ベーシストがこの人で無かったらもう少し平凡だったかも?

(筆者より:カバさんと根岸さんのフレージングについて)
カバさんがライブバージョン、根岸さんがアルバムバージョンでプレイ。
サビのミドルポジションのフレーズの入れ方が異なる。
Aメロは1コーラス目をカバさん、2コーラス目を根岸さんと交互に。

ところで場内に表示されていたマスター譜、(改)と付いていたのだがどこが違うのか全く思い出せなかった…
(昨年11月のフレディ曲解説ライブで書いたものから改訂したと思われる)

【その他いろいろ】
◆カバさんのステージ衣装(いわく「ジョン・ディーコンコスプレ大会にようこそ!」)
(第1部)1981年モントリオール的な青の上下
(第2部)1986年ウェンブリー公演のアンコール的な例のタンクトップと短パン
何を考えてこの服なのか!?(byカバさん)

◆カバさんのスティングレイ
実はボディはナチュラル(木目)仕上げがポピュラー。ジョンが使っていたサンバースト塗装の方がポピュラーではない。
なのでフィルムにサンバースト塗装的デザインを印刷し、ベース表面だけに貼って持参した(byカバさん)
(筆者より:プレシジョンのナチュラルカラーについては言及なし。あれもポピュラーじゃないんだけど。終演後にお話させてもらった時に伺えば良かった!)

◆今まで4人くらいしかジョン・ディーコンのファンに会ったことがない、この会場でこんなに居るとは驚いた(by竹善さん)

◆前半で3曲しか演奏していないが、さだまさしのようだ(喋りが多いの意味)(by竹善さん)

◆ベース弦は高いので、節約のために古いベース弦を煮て再利用していた(by竹善さん)
(筆者補足:お湯でしばらく煮ると、音が新品の弦のようにパリっとなるが、すぐデッドな音に……。私も学生時代やりました!←共感度最大!)

◆Misfireで喜ぶ人がいっぱい集まっているというのはヤバい会だ(by竹善さん)

◆根岸さんの当日持参のベース
プレシジョンとスティングレイは、ジョンが使っているものと同年形式(もっと古いプレシジョンも持っている)。
スティングレイはサンバースト塗装タイプ。発売当初の1976年製。ジョンは11月に買ったと聞いているので、恐らくジョン本人のものとシリアルナンバーが近いはず(by根岸さん)

◆西脇さんの機材(以下筆者の適当すぎる感想)
シンセ88鍵(Vシリーズ?)と61鍵(FA-06)+仕込み済DAWを連携させていると見た。
また講座に持って来られる事があれば再度凝視してきます(←楽器なら何でも興味を持つオタク)。
観察するのは好きだが、デジタル楽器の進化に付いていけない……

◆イベントタイトルについて
「ディスカバー・クイーン」のタイトルは、NHKの担当者から許可を得て使用。


2023/08/19:ジョン・ディーコン祭のメモ(第1部)

2023-08-31 23:04:40 | QUEEN
※注意※
当ブログにある五線譜は、筆者が個人的にベースプレイを学ぶ為に耳コピしたものです。
あくまでも個人的メモです。
この祭りが楽しみすぎて、ジョン作とクレジットされている全曲+αをベース譜かマスター譜を起こして持参し書き込みまくりました(過激派)。


(看板写真は日頃セッション等でお世話になっているTwitterの相互フォロワーさんより頂戴しました、ありがとうございます。「緊急決定」のコピーは経緯から考えると出演者に掛かっていると思われます)

2023.8.19 二子玉川GEMINI Theater
「ディスカバー・クイーン2023~ジョン・ディーコン祭~」
西脇辰弥(Key,Harm,Arrenge他)
スペシャルゲスト:佐藤竹善(Vo)、根岸孝旨(Bs)
ゲスト:カバ・ディーコン(Bs)、北尾"Kinny"茂久(Vo)
ビデオインタビューゲスト:野間口浩(Bs)

「フレディやブライアン、ロジャーといった個性的すぎる面々が通った後にペンペン草も生えなくなった場所に、可憐に咲いた一輪の花……かと思ったら、その花がめちゃくちゃ異常な花」
という強烈な表現からスタート。

今回はシンプルな「I Want Break Free」から遡って、いかにジョンが曲作りを発展させていったかを確認する。

※文中の特記なしコメントは西脇さん。

【第1部】
①「I Want Break Free」(Bass:カバさん、Vocal:Kinnyさん)
◆Aメロの1コーラス目だけ2小節多い
今まで演奏していて全く気がつかなかった、改めて譜面にしてみたら発見した(by西脇さん、カバさん)

◆ジョンのプログラミングによる打ち込みのドラムは、若干はねている。シャッフルという訳ではなく、拍アタマを数値化すると57%。ドラム以外のパートははねておらず、グルーヴが立体的になる。
50年代のロックンロールや、モータウンサウンドにも同様の傾向あり。
(筆者より:ステップ打ち込み時の数値は表拍68・裏拍52と思われる。1小節を480として具体的に数値で入力をするものであり、4/4拍子の場合1拍=128。この仕組みは現在でも変わっていない)
(筆者よりその2:Modern Times Rock'N'Roll等に於けるロジャーの8ビートのはね方も同じ数値という西脇さんの考察あり)

◆間奏のフレッド・マンデルによるシンセソロは、ギターソロを意識して弾いている。
仮録音だったが面白かったのでそのまま採用。
(1)チョーキングとアームダウンの表現の為にピッチベンドを使用
(2)シンセをギターアンプに接続し、アンプのスピーカーにマイクを立てて録音(シンセで音色を作ったが何となく違う感じがして、ギターアンプシミュレーターを使ってみたら近い音になった)音が太い
(筆者より:西脇さんはギターの奏法をシンセで表現することにも長けておられます。ギターが弾けないからシンセで再現するそうです/1997年頃のライブMCにて)

◆実演はアルバムバージョン「ライブでフェイドアウトする演奏をしたのは初めて」(byカバさん)
シングルバージョンやPVバージョンで演奏されることが多いが、あえて一番シンプルなアルバムバージョンで。
Kinnyさんのバンド(AUEEN)は初期曲中心の為この曲は今まで歌ったことがなく、無理を言ってお願いした。

②「Another One Bites The Dust」(Bass:カバさん、Vocal:Kinnyさん)
◆CHICの「Good Times」に似ていると言われているが、同じなのは最初のE音3つのみ。
そんなに似ていない。QUEENが売れたからやっかみでは?(by Kinnyさん)

◆ベースラインの音価のセンスが凄い、絶妙な長さにしている。
極端なスタッカート気味、極端なテヌート気味をシンセベース手弾きで実演。
ブラックミュージックをリスペクトしているのがよくわかる。
(筆者より:譜面ではスタッカート(緑点印部分)を書いているが、100%表現しきれない!数値化するよりないと思われる)

◆出だしのベースA1→G1(赤丸印部分)
アルバムバージョンは全部で8回(うちイントロ2回)出現するが、ライブによって出現頻度が異なる。
1981年モントリオール公演:6回(うちイントロ4回)
1986年ウェンブリー公演:11回、入れられる所全てに入っており、入っていない所はグリッサンドが入っている。
これは「心の赴くままに弾け」というジョンから言われた気がする。
完コピしなくてもみんな気が付かない(以上byカバさん)
(筆者より:QUEENを弾く際の心構えは「どうせ本人も都度違うフレーズを弾いているので、コードが合っていてキメを外さなければへーきへーき」※完コピ用におたまじゃくしを書いてますが実際に弾く時はほぼこの心構えです)


◆曲中のギターカッティング
「ブライアンがこんなファンキーなカッティング出来たんだ!」と驚いて、ライブを見たらそうでもない。ジョンが弾いていると知ったのは後になってから(by Kinnyさん)
◆曲中の効果音はシンセではない
(1)ピアノの逆再生
(2)シンバルをマレットで叩いたものにフランジャーをかける
(3)ギターのオーバーダブ等
シンセ使ったら何でも出来ると思われがちだが、再現するのは大変難しい。実演では全てシンセで再現(!)

◆実演はアルバムバージョンを基本に途中のブレイク部分を少し長めに。

【ここで西脇さんが野間口さんへインタビューする映像】
◆QUEENの出会いは80年代初め(お話は以前当ブログに記述したものとほぼ同じなので割愛)
フレーズのさわりだけ実演
Another One Bites The Dust→最初に出会った曲
Under Pressure→ピック弾きならではのニュアンス
Millionaire Waltz→プロになってからベースのフレーズとして認識した(ある程度弾けるようになってから面白さがわかる曲)


2019年~2020年に開催された朝日さんとのレクチャーライブ「ベーシストとソングライターとしてのジョン・ディーコン」でお話されたことと似た感じ。
(詳細は当ブログにメモ記載しているので良ければ読んでください)

③「In Only Seven Days」(Bass:カバさん、Vocal:竹善さん)
◆コード進行が変(爽やかポップな曲と思わせておいておかしな事をしている)
イントロだけ聴くと主和音はAだが、Aメロに入るとDになるというトラップがある。
Aメロはポップスの王道コード進行Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ(D-Bm-Em-A)……と思いきや、裏切る進行(D-Bm-Em-DM7-Ddim)になっている。
Bメロは一転して王道Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ(D-B-Em7-A)。
Cメロに突然B♭dim+2/4拍子が登場、「こんなことが起こるなんて!」という歌詞中の木曜日にナンパに成功した内容とうまくシンクロしている。

2023/08/19:ジョン・ディーコン祭のメモ(前書き)

2023-08-31 23:04:25 | QUEEN
【はじめに】
あくまでもこの一連のエントリは筆者(Apathy K.)の個人的メモであることを強調しておきます。

2021年度にNHK-FMでサンプラザ中野くんを進行役に放送された「ディスカバー・クイーン」。
筆者はこの番組中、特に西脇辰弥さんによるサウンド面から掘り下げる曲解説及び朝日順子さんの歌詞解説コーナーを大変気に入っており、オンエア時に録音したものを残して聞き直している程である。

そしてそのマニアック度を最大限に発揮した番組スピンオフ講座、それがNHK文化センター青山教室で開講中の「もっとディスカバー・クイーン!」。教室現地受講とオンライン受講が選択出来る為、実際の合計受講者数はよくわからない(が教室受講の人数は減っているので寂しい。マニアック過ぎてついて行けないという人を数名知っている)。
西脇さん、朝日さん、中野くんお三方それぞれのプロ視点からの話は私にとっては大変興味深く、毎回楽しみに過ごしている。
2022年4月の講座開始当初は、番組で紹介しきれなかった曲を解説するという目的だったのだが、本年2023年1月よりファーストアルバムから改めて1曲ずつ解説する方針になり、講座が月1回の開催のため非常にスローペースで進んでいる。このペースでは修了まで10年以上かかるが色々な意味で大丈夫なのかと心配しつつ受講中。

さてそこからさらにスピンオフとなった今回の企画ライブ。
始まりは昨年11月に行われた西脇さん主催のフレディ作品解説ライブから。
視聴者からのリクエストで「来年のジョンの誕生日は土曜日ですよ!ジョン作品の解説もお願いします」というコメントが入り、その場で「検討します」と西脇さんが乗り気に。
なんと翌日には西脇さんから「来年の8月19日の会場スケジュールを抑えました!」とアナウンスが。フットワークが軽い!

11月のライブが名古屋のBL Cafe(Bottom Line併設の小規模箱)にて開催だった為、てっきりこの日も名古屋かと思ったら。
6月の講座の際にようやく詳細が発表になり、会場が二子玉川と。少し遠方であるが日帰りできる範囲なので鼻息荒くその場でチケットを申し込んだのである。
(同会場にて7月開催のジェフ・ベック作品の企画ライブのセット券が準備されており、行くかどうしようか迷っていたライブだったので両方堪能。矢堀さんを観るのは大変久し振りであったし、大人になったさとちゃん観られて良かった)。

次の記事へ続く。