『なぁ 小泉 今年は浴衣とか 着ぃへんのか?』
突然 そう聞かれて あたしは 驚く。
『なによぉ とつぜん?浴衣とか…』
『やー なんとのー聞いただけ お前 去年夏祭りの時 浴衣やったし…。』
大谷の視線の先には 明日ある秋祭りのポスター。
あたしら 高校仲良し6人組は 明日 これに行く予定。
去年の夏祭りは 鈴木君と 千春ちゃんと…そんで大谷と きたよねぇ…
まあ アレは 振られる為と…大谷と…。
『ん… 着いひんかも…。』
『なんで?』
『せやかて 浴衣は 歩きにくいし くるしいし…』
『ふーん。』
『なぁ 大谷…もしかして あたしに浴衣着てほしいとか…』
『な…なんでやねんっ。』
明日は お祭り…
めいいっぱい 楽しみたい
★★★
『おおたにぃーーーーーーーー。』
遠くから 小泉の声がした。あいつハズいねんっ 声でかいねんって…
声の方に目をやると 人ごみの中 頭ひとつ ひょっこりと出とる小泉。
『おぅ 小泉 おまたせっ…なぁ みんなは?』
『それがさぁ あたし みんなとはぐれてしもてん。』
『はぐれたって…』
まあ この 人ごみの中はぐれても不思議やない。
小泉… 浴衣…。
白地に薄いピンクと水色の模様
髪もセットして夏色のかんざしを刺してて…
『・・・中尾とか 探しにいくぞっ…。』
『うん…。』
2人で 歩いて みんなの姿をさがす。
屋台からは 祭りならではの魅惑誘惑の香り・・・。
〝そこの 兄弟 ヤキソバどうや うまいでっ…〟
なんやねん。兄弟って…。
『兄弟とちゃうわっ おっさん。』
〝ちゃうん にいちゃん…そしたら カップルさんか ラブラブカップルさん?〟
『『ちゃ…ちゃうわっ』』
『小泉…オレら…『カップルちゃうのにねぇ…。』』
けど…
まあ 小泉の浴衣姿に免じて 今日は ええかっ
そうオレは思って 中尾らを探すんをつづけた
end