高校を卒業して大学生と専門学生。
そして来年は20歳という あたしら…。
周りのカップルは次々大人への階段上っている中
あたしらはそこいらの高校生より清い交際。
キス以上なんもなかった。
大谷が独り暮らし始めたって聞いた時 それなりの覚悟しててんけど
哀しいほど色っぽい展開がなく…。
あ゛ーええねん ええねん。
大谷は まあたしと大人の階段登る気…ないと思う。
だから今日海坊主新作DVD見ててうっかり終電逃した時
『別に泊まって行ったらええやんけ』って言われて拒否せんかった。
とはいえ…
お布団に大人2人…くっつき放題で狭いねん。
遠慮してソファーに逃げようとしたら 大谷に腕を捕まえられた
あたしは 今布団の二重にくるまれて眠る。
(実際眠れてへんけど…。)
『えっと…大谷 あたしソファかおこたで寝るから…離してぇ』
『あかん…。』
『だって狭いし その…あのな…』
『… 小泉が…その…ええってゆうまで手ぇださんから…』
あたしの考えは大谷にダダ漏れやったみたいでハズい。
『うん…』って返事するだけで精一杯。
『さむっ…』なんて後ろから抱きつかれて
ふっと香る大谷の匂い。
それは誰のものとも全く違う。
『小泉 こっち向いて…』
『やっ…ハズい。』
『…めっさドキドキしとる『してへんっ…』』
『オレ…。がドキドキしとるねん。』
『えっ…』
大谷は あたしの手を掴んで自分の胸へと置いた。
少し早い鼓動は あたしと一緒やからって笑われると
あたしまで…ドキドキがとまらへん。
素直に大谷の方に体を向けると
少し赤い顔の大谷から視線が外せなくなった。
ぎゅっ…と抱きしめられ
『…キスしてもええ?』なんて囁かれると断る理由なんてなくなる。
もしかして…今日このまま…
理屈なしに感覚であたしの中が大谷を求めるのなら…
けど…やっぱり
戸惑う あたしもそこにおるのは確か。
ちゅっ…と軽いキスが落ちてきて『おやすみ』なんて言われても
そんなん…たりひん。もっと欲しい。
大谷は いぢわる。
あたしの内心を見透かす。
『小泉 もしかしてたりひん?』
『… あたしより たりひんのは大谷やろ…』
『ん。たりひんなぁ…』
ってあっさりと自分の気持ちを認めてきた。
『大谷。… ええよ…』
『小泉?』
『大谷の好きに…して……』
『ん…』
唇の輪郭をなぞられ、薄く開いた隙に滑り込む舌も…
こじ開けて来てもっと もっとと要求してくる。
舌を奥までねじ込まれ、絡まされ、軽く噛まれて…
今までにない感覚があたしを襲った時 ふわっと腰が浮いた。
『ほんまに…好きにシテええねんな。』
『…』
無言でうなずくとそっと大谷はあたしの足の間に割って入ってきた。
ぎゅっと痛い程に全身抱き締められてキスの雨が降る。
逃げ場がない、この感覚にクラクラと眩暈が襲ってきた
『んぁっ…んっ…』
と自分でも聞いたことのない声が落ちた瞬間。
同時に 瞳から涙が零れ落ちた。
『ごめん 小泉。』
涙を見た大谷の手が止まった。
『大谷?』
『…暴走した。小泉の意味取り違えた。』
ちゃうやん。
あたしのせいやのに…
『…大谷は取り違えてへんよ。』
『えっ?』
『あたしの言い方が…』
悪いって自分から大谷へと唇を重ねた。
いきなりのキスに大谷は見開いた目が泳いでる(笑)
『なぁ 大谷 夏にお泊りで旅行行こっ』
『おっ おぅ…のぶちゃんら誘って…『ちゃう あたしらだけで…』』
『けど…旅行ゆうたら泊まるんやぞ。』
『うん。わかってるよ。そんときあたしいっぱい…』
あっ…
口滑った(笑)大谷は何連想したんかな?
『いっぱい?何してくれんの?』
『うっ…』
わざとらしく問いかけてくる、得意げな表情からあたしは目が離せない。
『いぢわる…』
『ん?別にいぢめてへんやんけ(笑)』
『(ぷぅ)』
『なぁ 海と温泉なんかどやっ?』
ふわっと大谷に抱きしめられるやっぱり弱い。
『大谷の好きな所でええよ』って答えてあたしは夢の中に落ちた。
end