呼びかた @ぱっちー

「遥ーーーー！」
「遥、ちょっと・・・」
「はるかぁ」

おい、小泉。
お前ちょっとあのキモい奴んこと、名前で呼びすぎや。

幼なじみで、小さい頃から呼んでんねんから、しゃーないのはわかんねん。

でも・・・
でも・・・おもんない。

思わず、片眉があがってまう。



「おおたにぃー」

ほらな、オレんことは名字やねん。
なんで名字やねん。
オレと小泉は彼氏と彼女やろ？
もっと、なんかええ呼び方ないんか？


例えば、中尾とのぶちゃんみたいに、

「ダーリン」
「リサちゃん」

・・・・・・キモいな


鈴木君と千春ちゃんみたいに、

「大谷くん」
「リサちゃん」

・・・・・・なんかイーーーッてなんなぁ。


これが遥と小泉やったら、

「遥」
「リサ」

・・・・なんかお似合いやないか。
あーーーおもんない！
ちぃーと悔しいからオレも呼んでみた。

「・・・リサ」

「・・はっ？なんか言うた？」

おい、聞いとけよっ！

オレはあまりの恥ずかしさに顔が真っ赤になった。

「大谷っ！あんた顔赤いで！熱あるん？」

小泉は慌ててオレのデコに手をやり、心配そうな顔で覗き込む。

オレは小泉の手を引っ張り、おでことおでこをひっつけた。

「熱なんあらへん」

そう言うて、目を合わせた。

あっという間に小泉の顔は真っ赤になった。



「・・・ほら行くで、小泉」

「もーなんなんよ、大谷ぃ」

そのまま手をつないで歩き出す。


ーーーいつか、オレは小泉のこと小泉って呼べへん時がくる。

そうなった時、小泉はオレんことなんて呼ぶんやろな？



end