『1…2…3…4…5…んー。』
指を折ったら片手でたりひんかった。
あたしと大谷…。
出会ってから何年で何回目の夏を迎えたんやろ
最初が夏祭り…。
あぁ あれは散々やったなぁ。
あたしは鈴木君大谷は千春ちゃんにラブ★ひとめぼれ
お互いの恋を応援やーなんてゆうてたのに
結局は…ええ雰囲気の鈴木×千春ちゃんを2人きりにして
やけくそになって夜店でめっーさ遊んでん。
『大谷ぃー この金魚すくってーや』
『おぅ まかせとけ。 おりゃーーーーーーーー』
大谷は気合いで金魚すくいのポイがやぶれた。
『ぷっ…どんくさっ(笑)』
あれは楽しかったなぁ…。
んで次の年がみんなでときめきビーチって海に行ってん。
あっ…思い出した。
『小泉の好きなん誰ぇー』という名台詞生まれたんはあの時や
今でもあのアホ顔は 心に刻まれてる(笑)
そんなこんなで彼氏彼女になって…
あー…あたしの誕生日に海行って
大谷に忘れられた というんもあったなぁ…。
あと…夏…夏…夏からの
今年…
学校の先生になった大谷とスタイリストのあたしは
学生の時とは違って毎日逢うというのは不可能に近い。
だから 時間がある時には
独り暮らししてる部屋へ逢いに行ったりしてる。
『…リサ…その…愛してんで…。』
『うん。あたしも…』
昔は『好き』の『す』の字もゆうてくれんかった大谷も
今では ぎゅーっと抱きしめてくれて
愛のコトバを囁いたりしてくれる
それが今のあたしの一番の幸せ…。
けど……
けどな…。
専門からの友達の女の子が彼氏とこの間別れてん。
高校の時からの付き合いで
いわゆる<長い春?>ってゆうらしいねん。
『なんで別れたん。あんなにラブラブやって…』
『んーーー。彼氏の浮気』
『へっ浮気?』
『そー 浮気よ浮気(笑)まぁしゃーないよ』
どんなに好きでも…
しゃーないときは しゃーないって彼女は笑ってた。
だからあたしと大谷も…
ぶるんぶるんっ!!
頭を左右に振って邪心を追い出してみたけど…
もし大谷の笑顔をあたし以外の人に向けられたら
なんて事をどうしても考えてしまってた。
★★★
『ごめん リサ…好きな人が出来てん。』
『えっ?』
『それは こいつやー 遥子ぉーカモーン』
『リサーごめんねー 遥子よーん❤』
『なんでやねーん!!!』
ドシーン!!!
勢い余って仮眠してたソファから落ちた。
近くにいた真咲先輩が心配そうに(けど笑いながら)声を掛けてきた
『リサちゃん大丈夫(笑)』
『あー大丈夫です』
『なんかうなされてたみたいやけど悪夢?』
『あー悪夢かも…』
『悪夢なら お兄さんにゆってごらん。ほら(笑)
人に話すと正夢になんないってゆうでしょ』
そうはゆうけど こんな内容を話せるわけない。
『さぁー真咲先輩。それよりお仕事 お仕事』
なんでこんなに不安なんやろ…。
★★★
明日仕事が急きょ休みになった。
気分転換をかねて大谷ん所でカレー作んねん。
(あたしの得意料理やで)
♪しょーがねぇぜ しょーがねぇーぜっと あらよっ
なんかこうして好きな人にカレー作ってたら
あたし新婚・新妻みたいやんな♪
旦那・大谷の帰りを待つ…みたいなぁ
『あ…あなたぁ…カレーにする お風呂にする…それとも…
もちろんリサやろ…ってきゃーんっ』
いつかこんな日くるんかなぁ…。
もしかしたら…
『リサ 今日から遥子に飯作ってもらうから…』って…
あたし以外の誰かと別の日々を過ごすかもしれへん。
もしそうなったらあたしはどうするんやろ
大谷の心があたしから離れてしもたら…
『こんなん考えてしまうって…なんやろ…』
片想いしてた頃は最強やった。
大谷の事好きなくせに 言い合いばっかししてた。
『この巨神兵』
『なによっ チビっこ海苔』
『なんやそれ海苔関係ないやんけ
それが好きな奴に対する言いぐさがそれかおまえは!!』
『なっ』
楽しかったなぁ。なんでも好き放題ゆうてたもんなぁ
まぁ北の大地で辛い事もあったけど…
その頃のんが一番やったんかな…。
ううん…。
今が一番 幸せ。
『愛してる…大谷。』
『大谷 めっちゃ好き…大好き。』
呟いても返事は返ってこんかった。
不安な気持ちで もう一度呟く。
『大谷…あたしの事…愛してるやんな。』
★★★
『…あたりまえやんけ…リサ。』
ぎゅ…。
いつの間にか帰って来てた大谷に
いきなり背中から抱きしめられた。
耳元に聞こえてるのは愛しい…声。
『大谷ぃ…なにがあたりまえなんよー。』
『…オレがリサを愛してるって事があたりまえやボケっ』
『ボケってなんなんよーぉーーー』
いつの間にか流れ出した涙は きっとうれし涙。
『あー泣くなってボケってゆうたんは言葉のアヤで…』
あたしの涙が腕に伝ったのに気が付いた大谷は
背中から正面に回り込んで
心配そうに顔を覗き込んできた。
そんな姿見たら なんか嬉しくなった。
あたしのコトバ行動の一つ一つに反応してくれてる…
『おまえこの間から寝言で遥がどーとかいいよるし…』
『へっ?なにそれ』
寝言で遥?
『その上 別れるーやの どーとか…いいくさって…』
『ゆうたん?』
『おぅ がっちしゆうたぞ』
なんかこの間泊まりに来たときにそんな寝言ゆうたみたい。
『あーごめんなぁ。もしかしてヤキモチとか焼いた?』
アホか焼くかぁって帰ってくると思ったのに
『焼いた…ちゅうかホンマに別れるって言われたら…』
『言われたら?』
『あーもぉーえーわ。』
もしかして大谷
大谷も少し不安やったんかな。
『大谷ぃー愛してる。めっさだいすきっ』
あたしらってやっぱし似たもんどうしやな(笑)
だから…
今年の夏もそのあとも ずーーーっと一緒に
『なぁ 大谷は?あたしの事…』
『めっさ愛しとるわ アホ(笑)』
END
無茶ブリやねん。
まゆどん
空気読め、空気!
プロ…レスか?
大谷も不安なんやな、
リサがホンマに好きなんやな!?
そうや、ここらへんでガツーンといっとこ、大谷!!
ほらほら、、、プロ…(ニヤリ)