『でな 葛西ってめっさ凄いねんで…
あっとゆう間に食い逃げ犯捕まえてぎったぎったにしてんで』
『ふーん』
『正義のヒーローみたいでめっさかっこよかった』
小泉は 学費を助ける為という名目で池辺でのバイトを続けとる
そこへ新入りが入って来たらしいねんけど…
最近そいつの話ばっかししよんねん
バイトが楽しいんはなによりやねんけど
こう毎度毎度 そいつの話ばっかされたら
正直 おもんない
自然と右眉もあがるっちゅうねん。
そんなオレのびみょーな変化に気が付くことなく
小泉はアホ面しとる
『はぁ…』
『なっ 大谷 あたしが楽しいお話しとんのにため息って…』
『オレはおもんない。『はぁ?おもろいやん。』』
『どこがやねん。』
もう一回最初から話だそうとする小泉を制止する
『小泉 最近 そいつと仲ええねんな…』
『へっ? 』
オレの言葉に小泉は あはははっと笑った
『シフト一緒になったら話すぐらいやで?』
『…ふーん。』
『ふーんって あんたはふーんふーん教の教祖かいっ(笑)』
なんやそのふーんふーん教って突っ込むのうっといからスルーした
その代り小泉の手を握った。
『ごめん…オレ最近あんま時間なくて…』
『えっ どうしたんいきなし』
『その 小泉の相手してへんから その他のオトコに…』
『あほーーーーーーー!!』
握った手を振り祓い 小泉はオレを睨みつけた
『何機嫌悪いんやろうって思ってたらそんなしょーもない』
『別にしょうもなくないやんけ』
『しょーもないやん。』
『…』
小泉の言う通りかもしん
別のオトコの話されたぐらいで そいつに心変わりされたかも
なんて考えるんは10000%の間違え
小泉は男女問わず誰とでも仲良くなる奴やんけ…
そして下心ややましい事がないからそいつの話をしよるわけで
これって 葛西とかゆう奴に嫉妬しとるんやんな
自分が小泉とおんなし時間を持てないからって
あ゛ーーーーーーーーーーーあかん。
『…ごめん オレかっこ悪いわ(はぁー)』
ソファに沈み込むと小泉は右手でオレの手をとって重ねあわせた
『…悪ないよ』
『えっ?』
『大谷は かっこええよ。彼女のあたしが保証する』
左手で(薄い)胸をどんっと叩くと小泉はまた笑った。
『小泉』
『だってぇ あっちゃんはリサちゃんが他のオトコに乗り換えた
なんて心配して ふーんふーん教に入ったんやろ』
『なっ』
『ふふふんっ♪』
『ちょ…調子にのんなっ。通天閣小泉』
『はぁーーー通天閣って微妙やん。せめてスカイツリーリサとか
カッコええ名前つけてーーーーなっ。』
いや それもどうかと思うで(笑)
とにかく…
そっと小泉を抱き寄せ耳元に『ごめんな』って呟いた。
小泉は黙って頷いてオレの背中に手をまわした。
END