『はぁ…』
携帯を眺めて ため息ひとつ
『ビンゴはじまってしもた…大谷あかんのかなぁ？』
年に１回の夏祭り。
子供会が開催する小さなお祭りで小学校の頃から毎年来ている。
今年は大谷と一緒に行く予定やってん。
けど、ちょうど祭りの時に大谷は大学のセミナーに泊まりで参加
無理やったら隆人とでも行ってくるってゆうてんけど
『当日に帰ってくるから直接行く 会場で待っといてくれ』やて…
『はぁ…』
お祭りのラストはビンゴ大会
そして ９時３０分にお祭りは終了の予定
携帯を再度見ると９時１５分…。
やっぱり間に合わへん…。
『あれ？リサ来てたんや』
『小泉せんぱーいっ。』
声のした方向を見ると
遥とその隣には聖子ちゃん。
そして帰り支度を始めた人の波
『遥 聖子ちゃんって え、もうお祭り終り！？』
辺りを見渡せばさっきまであったはずの ビンゴの景品もすっかりなくなっている。
『そうやで…って チビ リサの事 ほってどっか迷子になっとんか？』
『大谷先輩 一緒やないんですか？』
『あ…えっと 待ち合わせしてて…』
『待ち合わせってリサ もう９時20分やで？帰らんの？なんなら オレと…』
『小泉先輩 よかったら コーヒーでも飲みに行きませんか？』
『・・・・・・あたし、もうちょっとここにおるから』
『リサ…』『小泉先輩…』
聖子ちゃんが 遥を引きずって行ってくれて…あたしは一人になった。
もう一度携帯で時間を確かめる。
『9時25分かぁ…もぅ かえらんな…。』
明るかったまわりの電気も ひとつまた ひとつ消えていって
あたしの周りは 真っ暗になっていく…。
小泉ぃーー
あたしあかん。
幻聴まで聞こえてきた。
『小泉っ!!!』はっきり聞こえてきた声と姿に
…目の前が ぱぁーっと明るくなった気がした。
『ごめん 待たせてしもたな…』
『大谷っ…』
なんかうれしいのに泣いてしまいそうになる
『ほんまごめんって… あぁ…泣い…『泣いてないもん…。』』
ｅｎｄ
<おまけ>
『なぁ 大谷なんで連絡くれんかったん？』
『いや…あーあーあんな』
『もしかして…』
『携帯充電切れてもぅてて…』
ぱかーんっ!!!!
