じーーーーーーーー
じぃーーーーーーーーーーーーー
大谷を見つめる。
じーーーーーーーーーーーーいっ。
『小泉…なんやねんその顔。』
『別に…じぃーっ』
しかめっ面で睨むあたしを見て狼狽(笑)する大谷
『大谷さんはリサちゃんになーんか隠し事…』
『してへんし ないっ!!』
人の言葉を遮り即答するやなんて…
さらに疑いの視線を大谷に投げてみる。
『せやからさっきからお前はなんやねん。』
なんやねんって言いたいのはこっちのほうやわ
『…んー観察。』
あくまで冷静に答える
『なにを?』
『大谷 敦士くんを…観察してんねん♪』
『なんで?』
『んー ほんまに隠し事ないんかなぁって…確認?』
その言葉に大谷は おっきな溜息をついた。
『…ほな 好きにしたらええやんけ』って頬杖ついた。
それなら好きにするもん…。
うじうじ観察とか疑うとかあたしの性に合わんからはっきり聞こう
としたその時
『大谷ぃ…昨日 美じ…あっ…』
声の主である彬君が言葉を止めたんは
たぶん あたしの姿を察知したからやと思う。
『リ…リサちゃん ほなまた…なっ大谷…』
がしっ!!!
逃げようとした彬君の手をあたしは掴んだ。
絶対彬君もいっちょかみしてあたしに隠し事してんねん
女のカンや
『なぁ 彬くん 美人がどーしたん?』
『えっ?美人なんて俺ゆうてへんよ。なっ大谷』
『お…ぅ ゆうてへんっ』
『ゆうたやんっ 昨日ってなんなん?』
はずみで持っていたパックジューズがぺこっと音をたてる
ソレを大谷と彬くんがこわごわ見てた
みごとに潰れて ストローからオレンジジュースが漏れてた。
『…昨日…堺銀座の入口に止まってた車…』
『…』
『美人さんと一緒におったやんな 大谷っ!』
別人や…
と言い訳されてもあたしが大谷の事見間違えるはずない
確かにアレはあたしの彼氏様の大谷やってん
いっきにまくしたてて深呼吸
そして…
ぐいっと彬君の胸倉を捕まえる
『な…なんやのリサちゃん…く…くるしいっ』
俺を巻き込むなぁーーーーーとゆった彬くんに向かって
『彬くん あたしとデートしよっ』
『はい?』
『デートしよってこの間からゆうてたやん』
『それは そうやけど…』
『小泉っ』
あたしのいきなしの発言におどろく2人。
『嘘つきな大谷なんかしらんもーんっ!!!いこっ…』
そう言い放って彬くんの手を引っ張って店の外へと出た。
☆★★
勢い余ったデートの約束
彬くんは笑って『惜しいけど聞かんかった事にしとくわ』とゆった
『リサちゃん。オレが知ってる事教えてもええけど
2人の事は2人でちゃんとした方がええと思うから黙っとくわ』
『ん…』
『とにかくさっきの…びっくりした(笑)』
てなことがあったから
しっかり反省して大谷に まずは電話してんねんけど
『お客様のおかけになった℡は…』ってなんなんっ
伝言3件も入れといたのに…
もう一回…
『うぇー!!!ぇぇぇぇっ…』
携帯をベットへと投げた
昨日…
あたし見てん。堺銀座の入口の歩道橋の下に止まってた車
助手席に乗ってたんは大谷…
そして運転席には美人な女の人
たぶん年上で…大谷のお姉ちゃんやない人
にこやかに笑って楽しそうにしててん。
その日はバイトないってゆうてたから『海坊主カラオケ行こっ』
そう約束してたのに当日になって『急用入った ごめん』って…
やっぱり大学って…綺麗な女の人が多くて誘惑…
あたしより魅力的な人とか素直な人とか…
あかん 泣きたくなる
急用って女の人に逢う事やったらそうゆったらええやん
それともあたしが五月蠅いからゆえんの…
『アホぉ…大…ううん あたしのアホ―』
『ほんまにアホやな。小泉は…』
『へっ?』
部屋のドアが開いて入ってきたのは大谷。
『な…なんでっ!!』
『小泉のおかんが部屋まで上がってもええってゆったから…』
『そうやなくて』
『ちゅうか…言い訳?しにきたんやけど…』
これ…と言いながら大谷は1枚のカードをあたしに差し出した。
『これ…って免許?』
カードを受け取ってまじまじと見るとまぎれもなくソレは運転免許
なめ猫のウソ免許やなくて本物…。
『ゆうとくけどほんまもんやぞ』
『うん…。』
『小泉が見たっちゅうんは 教官やぞ。』
『きょ…教官?』
『おぅ せやからお前が疑ってるような事は1ミリもない』
そ…そういえば
にこやかに…バインダーみたいなん持って…話してた気が…
それにしてもあれが教官やなんて思わんかった。
『う…疑うって…な…なーんも疑ってへんもんっ』
『へー そのわりには…妬いてたんやろ?』
面白そうに大谷はニヤリと笑う。
『妬いてへんし…』
『そういやー小泉 彬とデートするんやってな』
『そ…それは…』
『彼女が他の男と…オレはなんて不幸なんや…めっさ傷ついた』
『うっ…。』
全部あたしの勘違いで…
大谷に勝手に絡んで疑ってあてつけて…
あかん自己嫌悪や
『ま…オレが小泉びっくりさせようとして黙ってたからなんやろうけど…
それより…先着一名なんやけど?』
えっ?
大谷の言葉の意味がわからんと首をかしげてたら…
『ここ(笑)?』
大谷が自分の胸を指さした。
『あたしっ…のんっ』って抱き付いたあたしに
『今度ドライブしよな』と大谷は囁いた。
end