Der König Hat Eselsohren

アントニオ・ロペス展@Bunkamura



以前、どこかで、リアリズム絵画の紹介がされていたときに、「グラン・ビア」を見たことがあった。
もちろん映像で、だけど。
なので、実物が見たかった、ってな感じ?

でも、本当の意味で完成された作品って、少なくね?
つーか、それ以上に、完成されたと思ってた(であろう)作品に、今回またさらに手を入れてたりするから、何をもって完成というべきかはわからないね(笑)

「グラン・ビア」は、おぉ~!あのグラン・ビアだ!!と思ってしまうのはともかくとしてf(^_^;

あ、これはすごいな、と思ったのは、鉛筆で描いた長女の肖像。
今回展示されている中でも、鉛筆画についつい魅了されてしまったけれど、まるで白黒写真のように、質感が再現されている。
油彩に未完制作が多いせいか、鉛筆画の完成度に感嘆してしまう(笑)

それでも、一応完成作?と思わせる、マドリッドの風景。
何しろ、カンバスを繋いでの大作だし。
なんつーか、マドリッドの景色を描いた大作がずらっと並んだ展示室では、さすがに、こりゃすげぇ!!たしかにリアル!!と思うのだが、実際のところ、遠くに視点が合っているために、手前の景色はかなりぼんやりというか、手抜きに見えるというか、未完成っぽいというか(笑)
いつかは、この手前の部分にも手を入れるのでは?と思わなくもないが、写真が普及した今日では、こういう描き方の方が自然に見える。
普段、取り立てて意識することはないが、カメラのレンズのみならず、人間の視野だって、中心だけに焦点が合っていて、その周りはぼんやりしている、ということがわかっているのだから。
でもこれ、時代がもっともっと前だったら、画面全体のどこを見ても、焦点が当たっている状態で描かれていただろうね。

明らかに未完成のモノと、完成作らしいけれど、今後も変化しない保証のない作品ばかりで、何とも刹那的というか、最終的な評価は、彼が死ぬまで定まらないのかもね。
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