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4月から手挿し染を習っている私。ひょんなことから、今度は草木染めに挑戦することになった。
会社の向かいにあったお屋敷で、ビル建て替えの工事が突然始まったのがGW前のこと。チェーンソーの音とともに、ばさばさと庭の木が切り倒された。道路沿いには樹齢80年を超える桜や銀杏があって、通りかかった人に四季折々の風景を楽しませてくれていたのに、その木も切られてしまった。地権者や千代田区長に木を残してほしいという嘆願もあったが、そんな願いもむなしかった。
木を切られる音にやりきれない思いをかみしめつつ、思いだしたのが、染織家志村ふくみさんの著書にあった、伐られた木をもらってきて染織に使ったという話。早速、工事現場に向かいまだ青々とした葉をつけたままの枝をもらってきた。
「草木染め」は、以前に呉服屋の体験教室でやってみたことはあるものの、染め液は既に準備されていたので、詳しい方法はわからない。ネットで調べた方法をいくつか組み合わせてみることにした。
まず、染料は繊維中にあるタンパク質に反応するため、染める素材は動物性繊維(絹、羊毛など)がよいとのこと。できれば帯揚げにしたいと思っていたので絹を探したのだけれど、これが思わぬ難関だった。
都内の有名手芸店Yに出かけたのだけれど、数ある布地に絹はほとんどなく、数少ない絹地も色のついたものだけ。ええ~!?着物を着ていると身近な絹だけれど、そうでない場合の絹の需要って少ないんだ…。
葉っぱがまだ瑞々しいうちに作業をしたいので、お店で購入するのが一番早いだろうとおもったのだけれど、したかなく、絹は楽天のショップで購入。布の到着を待たずにとりあえず抽出液を作ることにした。まずは葉っぱから。
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次に枝の染色液抽出にうつる。枝を細かく切るのが、けっこう力が必要で手ごわい。
切り口をみると、樹皮のすぐ下は緑に丸く染まっている。(写真ではちょっとわかりにくいが…)これから芽吹こうとしていた葉が、樹皮の下に身を潜ませている姿ではないだろうか。
葉も枝も、二回煮出す。2日後に頼んでいた絹地が到着したので染めの作業に入る。絹と一緒に、麻のハンカチと綿のタオルハンカチも染めてみることにした。
麻や綿の植物性繊維は、染め色をクリアにするため、通常はご汁といわれる大豆をすりつぶした汁に浸してタンパク質を補う。今回は、ご汁の代わりに牛乳を代用してみた。
ところが、うっかり麻のハンカチは牛乳浸しを忘れてしまい、洗っただけの状態で染めることに。
布を染液で煮出した後に、お湯で溶かしたミョウバン(色落ちを防ぐ触媒)に浸し、また染める。
そしてできあがったのはこちら。
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左から、葉で染めた麻のハンカチ、シルクシフォン、枝で染めた絹スカーフ、綿タオルハンカチ、シルクシフォン。
同じシルクシフォン素材で、葉と枝の染を比べるとこんな感じ。
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写真では色がよく出ていないけど、左の葉で染めた方は、もっと緑がきれいに出ている。
意外だったのは、枝で染められた色。以前に体験教室での桜の枝の染め色は、はっきりとしたグレーだったのだけれど、今回は茶と黄とが混ざったような色。光を当ててよく見ると、そこはかとなく緑色に光る部分がある。
志村ふくみさんが著書で「季節によって草木染めは色が変わる」と語っていたけれど、このことか!と納得した。今回は、樹皮の下に若葉がたくさん潜んでいた。これが染液の色の中に出てきたのだろう。キザな言い方を許してもらえば、芽吹くことが叶わなかった葉は、染液に姿を変え、布にその命の跡を残してくれたと思う。
会社の向かいにあったお屋敷で、ビル建て替えの工事が突然始まったのがGW前のこと。チェーンソーの音とともに、ばさばさと庭の木が切り倒された。道路沿いには樹齢80年を超える桜や銀杏があって、通りかかった人に四季折々の風景を楽しませてくれていたのに、その木も切られてしまった。地権者や千代田区長に木を残してほしいという嘆願もあったが、そんな願いもむなしかった。
木を切られる音にやりきれない思いをかみしめつつ、思いだしたのが、染織家志村ふくみさんの著書にあった、伐られた木をもらってきて染織に使ったという話。早速、工事現場に向かいまだ青々とした葉をつけたままの枝をもらってきた。
「草木染め」は、以前に呉服屋の体験教室でやってみたことはあるものの、染め液は既に準備されていたので、詳しい方法はわからない。ネットで調べた方法をいくつか組み合わせてみることにした。
まず、染料は繊維中にあるタンパク質に反応するため、染める素材は動物性繊維(絹、羊毛など)がよいとのこと。できれば帯揚げにしたいと思っていたので絹を探したのだけれど、これが思わぬ難関だった。
都内の有名手芸店Yに出かけたのだけれど、数ある布地に絹はほとんどなく、数少ない絹地も色のついたものだけ。ええ~!?着物を着ていると身近な絹だけれど、そうでない場合の絹の需要って少ないんだ…。
葉っぱがまだ瑞々しいうちに作業をしたいので、お店で購入するのが一番早いだろうとおもったのだけれど、したかなく、絹は楽天のショップで購入。布の到着を待たずにとりあえず抽出液を作ることにした。まずは葉っぱから。
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次に枝の染色液抽出にうつる。枝を細かく切るのが、けっこう力が必要で手ごわい。
切り口をみると、樹皮のすぐ下は緑に丸く染まっている。(写真ではちょっとわかりにくいが…)これから芽吹こうとしていた葉が、樹皮の下に身を潜ませている姿ではないだろうか。
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葉も枝も、二回煮出す。2日後に頼んでいた絹地が到着したので染めの作業に入る。絹と一緒に、麻のハンカチと綿のタオルハンカチも染めてみることにした。
麻や綿の植物性繊維は、染め色をクリアにするため、通常はご汁といわれる大豆をすりつぶした汁に浸してタンパク質を補う。今回は、ご汁の代わりに牛乳を代用してみた。
ところが、うっかり麻のハンカチは牛乳浸しを忘れてしまい、洗っただけの状態で染めることに。
布を染液で煮出した後に、お湯で溶かしたミョウバン(色落ちを防ぐ触媒)に浸し、また染める。
そしてできあがったのはこちら。
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左から、葉で染めた麻のハンカチ、シルクシフォン、枝で染めた絹スカーフ、綿タオルハンカチ、シルクシフォン。
同じシルクシフォン素材で、葉と枝の染を比べるとこんな感じ。
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写真では色がよく出ていないけど、左の葉で染めた方は、もっと緑がきれいに出ている。
意外だったのは、枝で染められた色。以前に体験教室での桜の枝の染め色は、はっきりとしたグレーだったのだけれど、今回は茶と黄とが混ざったような色。光を当ててよく見ると、そこはかとなく緑色に光る部分がある。
志村ふくみさんが著書で「季節によって草木染めは色が変わる」と語っていたけれど、このことか!と納得した。今回は、樹皮の下に若葉がたくさん潜んでいた。これが染液の色の中に出てきたのだろう。キザな言い方を許してもらえば、芽吹くことが叶わなかった葉は、染液に姿を変え、布にその命の跡を残してくれたと思う。
枝を細かく切るの、たいへんではなかったでしょうか…。
草木染めの微妙なお色、どれも優しくていいですね。実物はもっときれいなのでしょうね。ニュートラルなカラーに隠れた緑なんて、ステキです。
素晴らしい、、。感動しました!
どんな感じか今度見せてください~。
普段はぼっとしている私ですが、時折自分でもどこにそんなエネルギーが?と思うような突飛な行動に出る私です。今回は桜がエネルギーをくれたと思います。所詮、今回は家に持って帰れるほどの枝しかなかったので大した量の枝ではなかったのですが、着物一反分を染めるような作家さんはさぞや大変だろうと、その苦労を体感できました。
> 黒猫さん
今度、歌舞伎でご一緒するときに持っていきますねー。バラも、結構いい色になるのではないかと。
きれいなピンク色ですねー。
ものすご行動力、感服しました。
実際には、ピンクというより、枝で染めたほうは黄色と茶の間、ベージュにもう少し黄味がかった感じでした。