紗袷ってなんだっけ、なんだっけ…♪

帯留などの小物やリメイク帯のネットショップを運営している竹蔵龍さんが、自宅で着物市を行うとツイッターで呼びかけていた。古い着物の引き取り依頼が集中して、自宅が段ボールで埋め尽くされてしまったのだとか。

もう夏物は買わないと決めていた私だけれど、いやだからこそ、小物はほしい。それにあんなかわいい小物をプロデュースしている竹蔵龍さんの自宅って？…と半ば好奇心で出かけてみた。

すでに日中、市が開かれ多くの人が押し寄せた後だったので、仕事帰りに私が立ち寄った時は、だいぶ落ち着いていた様子だった。夏物の柔らかものか、夏の袋帯ですごーくお得なものがあれば…と思って物色したのだけれど、どうもそのあたりはすでに売れてしまったようだ。しかたない、季節ものだし。

そんなとき、「紗袷なんかもあるんですが」と竹蔵龍さんの声。
紗袷？あの仕立てるのも単衣の倍する、1年で6月の後半二週間しか着られないという伝説の？(伝説でもないか。今は単衣と同じ二か月OKとなっているらしいが）

そりゃ珍しいと見せていただく。実物を見るのは初めて。
羽織ってみたら、あらら。寸法ちょうどよいではないか。

紗袷というのは紗の布を二枚合わせるのが本当らしいが、ここで見たのは白地の絽に濃紺の紗を合わせたものだった。絽には緑色で抽象画のようなまっすぐ伸びた茎と葉が描かれている。紗はあやめのような紋がある。

重ねてみて何か物語が生まれるようなとり合わせではないが、絽に描かれたモダンな葉っぱが珍しく、妙に気になる。しつけ付きで、着た様子も見られない。お値段は２万円、市の中では高い方だけれど、未着用で紗袷だったらかなりお得な値段かも。とはいえ、やっぱり着る期間が短いというのは迷うなあ…。このお金があったら帯にあてた方がよいのでは。

他の着物を見ながら、頭の中では紗袷への思いが駆け巡る。どうしよう？そんな逡巡をしているうちに、次のお客さんがやってきた。それが買うきっかけとなった。

だってその人が買ってしまったら悔しいんだもん。

というわけで、うちに嫁いできた紗袷。いま着ないと…と焦っている。それに、着てみるとどうも暑いなあ。考えてみれば、絽や紗を使っているとはいえ、構造は袷なのだから風通しは悪いわけだ。ほんとにこれ、６月後半に着るのか？

着物とは、つくづく着る本人より、回りにどう見られるかが大事なものなのだと認識している次第。根性が大切なんです。

　モダンな葉っぱの模様が透けてます。
これがその葉っぱの柄。裏はこんなになります。
　　　紗の紋はこんな感じ。