今回のオフィシャルブックの目玉企画の1つは、池田先生と萩尾望都先生との1万字対談。
↓ p50からp61まで、読みごたえある内容。池田先生の方が年上なので、萩尾先生が丁寧な口調でお話しされているのが面白い。
いくつか印象に残る話題があるので、少しずつ追っていく。まず「ベルばら」について。萩尾先生は「ベルばら」のキャラたちの中で、自分はオスカル派と断言。それについて池田先生は次のように語っている。
当時は特異なキャラクターを描いているつもりは全然なかったんだけど、自分の意思を持ってそれを貫くっていう女の人が好きで。そうすると女らしくないっていうことで、相当世の中の抵抗を受けるじゃないですか。そういうものと戦うっていうんじゃなく、自分の道を行くキャラクターが好き。
これに対し萩尾先生は、
こういう生き方ができる女の人がいるんだっていう驚きがありましたね。オスカルが女っぽかったら、みんなついてこないですよね。女でありながら凛々しく自分の道を進んでいるから、みんなが憧れてついていく。
また宝塚の「ベルばら」にも触れている。池田先生は、
宝塚も作っているのは全部男の人だったから、当初はやっぱりね。オスカルを女っぽくしたいわけ。アンドレに対しても「あなたの妻にして」って言わせたの。原作ではそんなことは言わない。そういうキャラクターで描いているのに、男の人が作ると変わっちゃう。
萩尾先生 男性のファンタジーがどうしても入ってしまう。
池田先生 女はこうあるべきだという考えがなかなか抜けないですよね。演出も最初は「女であることを忘れないようにね。」って言われたんですって。「オスカルは男として育てられているから、そういう感覚はないと思いますよ。」と言ったりして、やっと今の形になったんです。
萩尾先生 昔は男の人が考える女性のモデルって娼婦と聖女しかいない。本当にバリエーションが少なかったですね。
池田先生 今は一方で女性らしい格好もしてその実、内面は凛々しく仕事している女性も増えたとは思うんだけど。
お二人の対話のごく一部分だけれど、とても中味が濃い。両先生のお考えに「うん、うん、そうだよなあ。」と共感できる部分が多々ある。戦うのではなく、自分の道を行く…原作では(異動当初)衛兵隊員たちに「女、女…」と言われ続けてもオスカルは性差に関係なく、軍人としての力量、人としての器の大きさで次第に彼らの心を掴んでいく。それは戦いではなく、オスカルが自ら選んだ道を信念を持って貫き進む姿なのだなあと、この対談を読んで感じた。
宝塚の演出に関しても、「まさにそのとおり。」と同感。昭和の頃は出動前夜の名場面で、オスカルがアンドレに向かって「私を抱け」とか「私はアンドレ・グランディエの妻と呼ばれたいのです。」とですます調で語るなど、「?」と感じるセリフがあった。池田先生が美しい日本語で綴った名シーンを、声に出して読みたい日本語で、原作どおりに語れば良いのに…と何度も思った。平成に入り、上演を重ねるにつれセリフも手直しされてきたので、最近は以前ほど違和感はなくなった。
お二人の対談はとても内容が面白いので、少しずつ感想を書いていきたい。
読んでくださり、本当にありがとうございます。
>オフィシャルブック、前の本とダブってるのかな、と思い今回は買わなかったのです
実は私も当初、「買わなくてもいいかな。」と思っていたのですが、50周年記念展で展示された歴代マーガレットの表紙絵、この記念展のために池田先生が描き下ろしたカラーイラストなどが載っていたため購入しました。のんびり少しずつ読んでいます。
宝塚の「ベルばら」は、脚本によってずいぶん印象が変わってきます。池田先生が綴った美しい日本語で上演すれば良いのに…と思います。また最近の生徒さんは、昭和の頃よりずいぶんスタイルが良くなり、ビジュアル的に美しい人が増えました。原作・宝塚・アニメ…「ベルばら」ファンの好みもいろいろあるでしょう。自分に合った楽しみ方を発見できればいいのかもしれません。
>宝塚の話はとても興味深く納得しました
昭和版と最近の版とでは、生徒さんのビジュアルも含め、ずいぶん変わってきていると思います。オスカーさまはシメさんのオスカルをご覧になったのですね。さぞ美しく凛々しかったでしょうね。
> おモー様と理代子先生の対談、テレビで見たいくらいです!
紙面だけでは本当にもったいないです。もし対談を録画していたら、ぜひ見たいですね。お二人がどんな表情を見せながら話していたのか知りたいですよね。
宝塚の話はとても興味深く納得しました! 紫苑ゆうさんのオスカル様を観られたのはいい思い出です~! おモー様と理代子先生の対談、テレビで見たいくらいです!