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現在日本の多くの家庭や、公共のトイレで普及している温水洗浄便座。その快適さに外国人も感動し、最近は海外にも輸出している。今でこそ「ビデ」という名は定着したけれど、しばらく前は海外旅行でホテルの洗面所に設置されているビデの使用法が分からず、洗顔したり歯を磨く日本人もいたという。
「ヴェルサイユ宮殿にはトイレがなかった。」と思い込んでいる人は多いだろうか?確かに18世紀までは、宮殿を訪れた人がいつでも自由に使える公衆トイレスペースはなかったけれど、王族たちには専用のトイレが私室にあった。
↓ 1769年、ヴェルサイユ宮殿でルイ15世が使用していたトイレ。周囲をベルベットで覆い、お尻が触れても硬かったり冷たかったことはなかった。独立した場所に置かず、普通の部屋に置いて使用。蓋を閉めればトイレと気づかれず、おしゃれなインテリアになった。王族のいる場所に持ち運びできるメリットもあった。でも使用したらすぐ片付けないと、臭いが大変そう。
↓ 上のトイレのすぐそばに置かれていた1751年製のビデ。ポンパドール夫人とルイ15世が使用していた。陶器のカバーに描かれている絵が優雅。ビデの名の由来は、椅子に座って局部を洗う姿が、子馬にまたがる様子に似ていたので、子馬を意味するフランス語bidetから取られた。
↓ 1780年代後半、ルイ16世が所有する館に置かれていたビデ。陶製の容器に温湯を溜めて、使用していたと思う。
↓ 1750年代のビデ。使用者は不明。
↓ これも1750年代のビデ。
↓ 1765年、貴族の館内の支度部屋。右奥に見えるのが簡易トイレ。
↓ 18世紀末のドレッサー。ここで化粧をし、ウェッジウッド製のビデを使うこともできた。鏡台とビデを一体化させた発想がスゴイ!
↓ 1800年代のビデ。
↓ ルイ16世のトイレ。彼の時代になると、独立したトイレ専用のスペースが設けられ、配管工事をおこなって水洗化されていた。機械好きなルイ16世が、より便利で快適なモノを設計させたのかなと思った。
↓ プチ・トリアノンのアントワネットの寝室の隣にあるトイレ。アントワネットもまた、居室部分とトイレをきちんと分けていた。
アントワネットはフランスに入浴習慣を持ち込んだけれど、当時のフランス人は水は体に良くないと信じており、入浴を好まなかった。その代わりに、ビデが発達したのだろうか?バスタブよりも少ない湯量で場所を取らず、ささっと短時間で必要な部分だけ洗える便利さ、快適さが現代まで続いてきたのかもしれない。アントワネットやルイ16世が、21世紀の最新温水洗浄便座を見たら、何と言うだろう?ところでジャルジェ家のトイレはルイ16世に倣い、水洗化されていただろうか?
読んでくださり、本当にありがとうございます。
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