Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

もしも病のことを打ち明けていたら---

2015-03-08 22:31:01 | つぶやき

 「おにいさまへ---」のこのシーンを読みながらふと「オスカルは血を吐いたことを、正直にアンドレに打ち明けていたら、二人はこんな感じになっていただろうか?」と思った。

 この2ページ、武彦の言葉がそっくりアンドレに重なる。

「いいんだよ  いいんだ---よ この世に一人だけ 甘え寄りかかってもいい人がいるんだよ 人間が一人にだけ 愛するものだけに 弱さをさらけ出すのを 誰が咎めたりできるものか (略) 自分の幸せだけを考えてくれ ああ それなら僕は全部 全部この手に引き受けてやる 最後の最後まで 全部を引き受けてやるとも 薫」

 武彦の言葉を受けて、死への恐怖を率直に打ち明ける薫の言葉も、まさにオスカルそのもの

「こわい--- こわいこわい!! 一人で死を待つのはこわい!! 一人では生きられない」

 オスカルは血を吐いた事実をたった一人胸におさめ、死の恐怖を誰にも打ち明けなかった。「私を一人にしないで---」こう言うのが精いっぱいだった。出動前夜、侍女の言葉ですべてを悟ったアンドレ。彼は口にこそ出さないが武彦同様、オスカルを最後の最後まで全部引き受ける=守り抜こうとの誓いを新たにしたと思う。

 2つの大作の陰に隠れ、地味に映るかもしれない「おにいさまへ---」は、短いながらも濃い作品だと改めて思う。その後奈々子、武彦の人生はどうなっていっただろう。

 読んでくださり、どうもありがとうございます。



6 コメント

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鈴蘭の精さま (りら)
2015-03-09 10:52:55
 コメントをありがとうございます。ずいぶん曲がり道してしまったけれど、オスカルとアンドレは真実の愛に巡り会い、幸せな人生だったと思います。アレクセイとユリウスもそうですよね。だからアレクセイは、ユリウスを恨まないで亡くなっていく。大事なのは愛し合っていた長さでなく、そういう相手に巡り会えるかどうか---と頭でわかっていても、やはり1日も長く恋人の時間を過ごしてほしかったと思います。
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最愛の相手 (鈴蘭の精)
2015-03-09 08:40:18
オスカルとアンドレが、永遠に結ばれるシーンは、ばーやさんが天に召される場面で描かれてましたね。二人の幸せを一番願っていた人に祝福され二人の愛は散ること無く永遠に咲き続けるのでしょう。
人間の人生で本当に愛する人に巡り会えるのは...と、思うと、オスカルと薫の君最高の一生だったと、思います。
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ペシェさま (りら)
2015-03-09 06:23:58
 コメントをありがとうございます。「別作品なのだから、武彦は武彦」と言い聞かせつつ、やはり彼にアンドレを見てしまいます。アンドレは次第に成熟した大人の男性になっていきましたから、もしオスカルから薫のように打ち明けられても、ちゃんと彼女を受けとめたはず。そしてアンドレはきっと、オスカルが病死したら自分もあとを追うでしょう。けれど---武彦は、薫の死後も、自分の人生を生きていくと思います。どうしても武彦の言葉イコールアンドレの言葉になってしまいます。
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鈴蘭の精さま (りら)
2015-03-09 06:19:43
 コメントをありがとうございます。二人には出動があって良かったのかもしれない---そんなふうに思えてきます。オスカルは自分の信念に命をかけ、革命に身を投じる。アンドレはオスカルを守って落命する。そして天の国でようやく、すべての苦しみから解き放たれ、幸福に満ちた時間を取り戻す。血を吐いてから、7月14日まで、それほど長くなかったのが救いでもありますが、せっかくの恋人期間に、オスカルの苦しみが増えつらいです。だからアンドレの腕に抱かれる時だけ、つかの間現実を忘れられたのではないでしょうか?
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オスカルと薫の君 (ペシェ)
2015-03-09 02:23:34
重なりますね。
アンドレと武彦お兄様、オスカルと薫の君。
こう言う時に弱さをホロリと見せてしまうオスカルも薫の君も、やっぱり女性で、アンドレと武彦は男なんだなと思います(本当にかっこいいです)。
武彦のセリフは、とても人間らしい素敵な言葉ですね。
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幸せの結末 (鈴蘭の精)
2015-03-09 01:50:37
オスカルもアンドレも自分の身に降りかかっている悲しい事実を認めたくなかったのかもしれませんね。全ての戦いが終わったら、アンドレには光りがオスカルには健康な体がかえってきて、晴れて深く結ばれたい!そんな未來に繋がる明るい希望が・・・。
おにいさまへの辺見氏と薫の君のこのシーンは大好きな場面です。アニメ版では蕗子さんとのやり取りに変わっていたのが、ショックでした。でも、最後が、ハッピーエンドで救われました***。
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