
第4章のテーマは「火」。
ヴェルサイユ宮殿では、薪を燃やして部屋を暖房した。1783年の調査によれば、1169の暖炉がヴェルサイユ宮殿に備わっていた。18世紀になると、暖炉に加えてストーブも使われた。
王族の居室は広くて天井が高く、熱は天井へ逃げてしまい、巨大な窓からはすきま風が入ったため、十分に暖まらなかった。上の階に住む人たちは煙突の煙の被害を被った。1781年、オニサン侯爵夫人はこうこぼしている。「煙突が大変な煙を出すので、家具はあっという間に黒ずんでしまいます。もう4年にわたりお願い申し上げているのですが、お返事を頂けておりません。私は煙に打ちのめされております。ここに住むことが、悲しくて憂鬱でなりません。」
最悪だったのは、暖炉を伝って雨が入ってくることだった。
暖炉は部屋の入居者の地位と品位を表していた。質素なものは、単なる薪を覆い隠す板に過ぎず、地位が上がるにつれ、石で出来たしっかりしたものになった。大理石で出来た、しかも見事な装飾を施した暖炉を使う者もいた。
18世紀も中頃になると、金属製のストーブが登場する。暖炉やストーブを設置するには建設部の許可がいる。しかしあまりの寒さにこっそりと配管工事をして暖房器具を取り付ける者も現れ、いい加減な工事が原因で火災が発生することもあった。1751年、厩舎で生じた火災はフランス衛兵とスイス衛兵、それに住民たちが消し止めた。火災対策の特別な人員はなく、有志が現場に駆けつけバケツリレーで消していた。1785年、ようやく防災部隊が公式に設置された。
詠んでくださり、ありがとうございます。
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