
ロココの貴婦人たちは、自分の身を飾るドレスに付ける飾りを手作りしていた。
↓ アントワネット7歳の肖像画。Jean-Etienne Liotardの作。お見合い用に描かれたもの?彼女が手にしている道具は、knotting shuttle と呼ばれる手芸道具。
↓ これと同じ道具を、ルイ15世の娘マダム・アデレイドも手にする肖像画が残っている。
↓ 別の貴婦人の肖像画の、手元を拡大した絵。
knotting shuttleとは、平べったい楕円形の金属または板を2枚合わせた道具に糸を通し、結び目を作りながら飾り紐を作る工芸。上達すると花模様などさまざまなモチーフを作れるようになる。
↓ 単に道具というだけでなく、持っているだけでもおしゃれな18世紀のknotting shuttle
↓ knotting shuttle の技法を紹介した動画。(約6分20秒、英語)
https://www.youtube.com/watch?v=Ef-Ur-u6cUo
貴婦人たちはお喋りに興じながら手を動かし、飾り紐を作っていっただろう。自分が纏うドレスの飾りにするために、いったいどれくらいの長さを結び続けるのか?延々と結んでいった紐が、ローヴ・ア・ラ・フランセーズに付けられると、ドレスがより一層ゴージャスになった。
↓ 1750年~75年ごろのもの。白い飾り紐が見える。
↓ 1760年代。袖口の飾り?
↓ 1760年代。
↓ 1770年~1790年
↓ 1770年代
↓ 1760年~1780年
現代と違い大量生産はできないから、1つ1つすべて手作業で紐を完成させていった。ジャルジェ夫人も自分や娘たちのドレスを飾る紐を knotting shuttleで結んだであろう。オスカルが生涯でただ一度袖を通したオダリスク風ドレスにも、母お手製の飾り紐が付いていたかどうか?浮ついた社交が苦手なジャルジェ夫人は夫やオスカルの帰りを待つ間、お屋敷で静かにknotting shuttleで飾り紐を作っていたかもしれない。年頃の娘が6人いれば(オスカルは別として)、紐を作る時間はいくらあっても足りなかっただろう。あるいは母と娘がよもやま話をしながら一緒に結んでいたかもしれない。knotting shuttleは、母から娘に受け継がれる伝統工芸の1つでもあった。
読んでくださり、本当にありがとうございます。
雨上がりの蒸し暑い朝です
動画を見せていただきました
まあなんと細かい作業!!
あれっ・・・・この手の動きは何かに似ている・・・
魚網を繕うときの漁師さんの手元とよく似ているなあ・・・と とんでもないところとつながりました。
昔の貴婦人たち、こんなにも繊細なことをしてはったんですね
おしゃべりをしながらの手作業・・・認知症予防には最適かも
本当に暑いですね。この暑さの中、九州の豪雨の復旧作業に当たられる方々、避難所で暮らす方々が、具合が悪くならぬよう願うばかりです。
>魚網を繕うときの漁師さんの手元とよく似ているなあ・・・と とんでもないところとつながりました。
伽羅さま、スゴイ連想!いやぁ、それは思いも及びませんでした。漁師さんたちとロココの貴婦人が、こんなところで繋がるなんて。何と優雅な魚網でしょう。
>おしゃべりをしながらの手作業・・・認知症予防には最適かも
まさかそんなことまで考えて飾り紐を作っていたわけではないでしょうが、案外脳トレになっていたかもしれませんね。