Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

「ハプスブルク家の食卓」 (3)

2015-06-21 16:04:01 | つぶやき

 写真はオーストリアの磁器工房アウガルテンのコーヒーカップ。1744年、マリア・テレジアによって皇室直属の磁器窯となった。この時からハプスブルク家の盾型の紋章を商標として使用し、現在の製品にはすべてこの紋章が刻印されている。この工房が世界初の、磁器によるコーヒーカップを作ったと言われている。

 これが紋章。一瞬、ミツバチかと思った。

 マリア・テレジアは常日頃、どんな食生活を送っていたか記録が残っている。それによると---

昼食

1 スープと牛のブロック肉で始まる。

2 オードブル(アントレと呼ばれる)が出される。牛肉・野鳥肉・鶏肉・野菜など。

3 5種類の焼き肉料理

4 10種類のアントルメ(焼肉とデザートの間に供される料理)

  アントルメには、お口直し料理、野菜料理、肉や魚の煮汁をゼラチンで固めたもの、デザートなどがある。

夕食

昼食の1と2を計10品目、3と4を計9品目 トータル19品目のいただいた。

 毎日このような食生活を送っていたら、カロリーオーバーで生活習慣病にならないかと心配になる。私たち極東の農耕民族と違い、狩猟民族の方々は、日々これくらい食べてもどうってことないのだろう。白人女性が10代の頃はとてもスリムなのに、私たち日本人より美のピークを早く迎え、体の線が崩れるのが早い気がするのは、動物性脂肪の多い食生活も理由の1つだろうか?

 マリア・テレジア時代の昼食会と晩さん会のメニューも、記録に残っている。

昼食会

1 4種類のスープ

2 豚フィレのローストや、テリーヌ4種類

3 子羊のバター蒸し焼き、鶏肉の香草焼きなどアントレ32種類

4 パスタ料理

5 フランスクッキー、ゼラチン料理、野菜などアントルメ20種類

6 焼肉8皿

7 デザート4種類

晩さん会

1 カブ入りクリームスープなど、スープ2種類 

2 テリーヌ2種類

3 豚フィレ肉のフラマンド風、鶏のグラタンなどアントレ12種類

4 アントルメ8種類

5 焼肉8種類

6 焼き菓子2皿

 総数34品目、量は不明。

 昼食会や晩さん会に招かれた人たちは、朝から食事を抜いたり減らしたりして、夜に備えたのではないだろうか?宮中の食事会に招かれるのを、楽しみにしていた人も多かっただろう。ドギーバッグを持参して、持ち帰る人はいなかっただろうか?(貧乏人の発想で、スミマセン)タニタ食堂の栄養士さんがこのメニューを見たら、どう思うだろう?「これでは生活習慣病を、自ら呼び込んでいるようなものです。」と言うだろうか?

 こうした食事会では、アウガルテンの工房で作られた陶磁器が、テーブルをより華やかにしていただろう。

 国は違うが、オスカルはこのような宮中の食事会の席で、アントワネットから少し離れたところに立ち、目立たないようにけれどしっかりと監視の目を光らせていただろう。(和やかな食事の雰囲気を壊さぬよう、注意しながら)あまり社交好きでないルイ16世には、こうした会は苦痛だったかもしれない。

 再び---タニタ食堂で「健康で美味しく、しかも安いハプスブルクの味」を、メニューに加えていただけたら。(←しつこい)

 読んでくださり、ありがとうございます。



2 コメント

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食器 ()
2015-06-22 06:31:31
何年か前にウィーンを訪れた際に王宮を見学した時のことを思い出しました。
印象的だったのが、食器部屋。こうした晩餐、迎える客に合わせてその都度違う食器にこれらの料理を盛り付けられたんだろうな。数もさることながら、これだけデザイン違いを揃えられるのは王家ならではと興味深かったです。アウガルテンの工房の作成するところを見るツアーにはトラム駅を過ぎてしまい時間に間に合わず残念でしたが、品のある形、色使いの食器たち、いつか手に入れてみたいものです。
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杏さま (りら)
2015-06-22 21:03:08
 コメントをありがとうございます。私もウィーンのホーフブルク王宮を見学したことがあります。銀食器博物館には圧倒されました。杏さまのおっしゃるように、数だけでなく目的や用途に応じて実にたくさんの食器あるいはそれに付随する小物類が展示されており、食べ物だけでなく、テーブルを彩るものすべて、一つの文化を形成しているように感じられました。
 
 杏さまはアウガルテンの工房へ行こうとされたのですね。緑色のマリア・テレジアシリーズは、見ていると欲しくなってきます。これでショコラを頂いたら、どんなお味でしょうか?
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