18世紀の天才時計技師ブレゲの作品は、今見てもとてもスタイリッシュで古臭さを感じない。モダンですらある。ロココ装飾に目が慣れていた当時の人々にとっても、画期的な時計だったと思う。あの時代、機械系の技能・技術に長けた専門家と、芸術系の才能に恵まれた人がコラボして完成させたオルゴールに、A Golden Music Box with a Rope Dancer (1785)がある。
↓ You Yube の画像より。1785年、スイスのジュネーブで作られたオルゴール。ブルーとゴールドの組み合わせが美しい。ねじを巻くと、バランス棒を持ったダンサーが音楽に合わせ、ロープの上でジャンプし開脚する。このオルゴールはさまざまなコレクターの手に渡ったのち、現在ロンドンのVictoria & Albert Museum で展示されている。
よろしければ、こちらの動画をご覧ください。(約2分)
https://www.youtube.com/watch?v=ZHSelKSN4sg
錠前作りが大好きで理系肌のルイ16世、ブレゲの時計を愛したアントワネットなら、このような趣向を凝らしたオルゴールをいくつか持っていたのではないだろうか?ジャルジェ将軍が夫人にプレゼントしていた可能性もありうる。オスカルも両親から誕生祝いなど、何か節目の折に贈られていたかもしれない?時折ねじを巻いて、アンドレと共に静かに聞き入っていただろう。
200年以上の時を経て、今もなお美しい音色を聴かせるオルゴール。すべて手仕事。惜しみなくお金を払って買ってくれる顧客がいて、オーダーが途切れず、モノヅクリに携わる人たちにとって18世紀は幸せな時代だったかもしれない。
読んでくださり、本当にありがとうございます。
落ち着いた音色も疲れた時に心を癒されたでしょうね。マリーアントワネットは良いものを見極める目があったんだなとつくづく感心させられます。
このオルゴールばかりでなく、18世紀は家具、縫製、陶磁器、織物等に素晴らしい傑作がたくさん生まれ、モノヅクリに携わる人々にとって、とてもやりがいのある時代だったのではないかと思います。職人が良い仕事をするためにはパトロンが必要。アントワネットやロシアのエカテリーナ2世などが彼らの作品を購入したことも、職人の創作意欲を高めたはず。
>マリーアントワネットは良いものを見極める目があったんだなとつくづく感心させられます。
森アーツで開かれた「マリー・アントワネット展」の出展品を見ていても、彼女の趣味の良さが伺えます。日本の漆器も集めていましたね。
素敵なオルゴール・・好きな青い色
ずっとながめていましたが、動画を見て
あれ・・・ネジは左巻き・・・・・
そこで思い出したのが祖母が使っていた置時計
ネジを左に回すのを不思議に思ってみていた。。。という昔の話・・・その時計はどこに行ったのか・・・我が家にはありません
私の持っている祖母の懐中時計は右に回します
時間を確かめるより、ねじを巻いて時計の音を聴くという楽しみ方をしています。
>あれ・・・ネジは左巻き・・・・・
ああ、まったく気づきませんでした。このオルゴールを作った職人さんは左利きだったのでしょうか?それともオーダーした人が左利きだったのか?
>時間を確かめるより、ねじを巻いて時計の音を聴くという楽しみ方をしています
世の中どんどんデジタル化が進み、ねじを巻くといったアナログなやり方が少なくなってきていますね。それまで止まっていたものが、ねじを巻くことでエネルギーを得て、思いもかけない美しい音色や、優雅な動作を展開するのが楽しいのに…。何でもスピード化・合理化が進むと、味気なくなります。