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「Best 20」と題して、名作マンガのランキングが発表されているけれど、20位以内に入っていない作品にもたくさん思い出深いものがある。だからあまり順位に拘らず、黄金期の少女マンガの数々を楽しみたい。けれど一応6位からの作品を紹介させていただきます。
6位「ポーの一族」(別冊少女コミック)あの時代、この漫画を読んだことがない人でも、萩尾先生の名前とタイトルだけは知っていたのではないか?バンパネラ(吸血鬼)の独特な世界は萩尾先生にしか描けない。先生はこのほかにも「トーマの心臓」「11人いる」など傑作が多い。
7位「王家の紋章」(プリンセス)この作品、全部通して読んだことはないけれど、一体何巻まで発行されているのだろう?「プリンセス」は買っていなかった。古代エジプトと言えば、竹宮恵子先生の「ファラオの墓」も懐かしい。
8位「スケバン刑事」(花とゆめ) スケバン---この言葉の響きが懐かしい。今の若者には通じないだろうなぁ。このマンガはドラマにもなり、南野陽子さんがヨーヨーを操っていたっけ。こんな高校があったら、ぜひ見てみたい。
9位「エースをねらえ」(週刊マーガレット) この漫画に影響されてか、当時女子中高生のテニス人気がものすごかった。テレビアニメの主題歌も忘れられない。威勢のいいオープニング♪コートでは 誰でも 一人 一人きり♪と、ちょっと悲しげなエンディング♪夕焼けのテニスコートで----涙が書いたイニシャルはH.O.♪を今でも覚えている。お蝶夫人に至っては「こんな女子高校生がいるのかいな?テニスする時、この髪型はあり?」と不思議に思ったものだった。もうひとつ、テニスを題材にしたマンガが志賀公江先生の「スマッシュをきめろ!」。これはテレビドラマになった覚えがある。(違っていたらスミマセン)
10位「たそがれ時に見つけたの」(りぼん) 陸奥A子先生の、温かみのあるほんわかした絵が大好きだった。先生の絵はよく、りぼんの付録にも使われていた。優しげな線と色合いが、恋に恋する乙女心にピタッとはまる。A子先生と言えば、アイビーファッション。あの頃、流行ったっけ。カーディガンやスカートなど、持っていた。片方の腕に輪っこというか、ラインが入ったカーディガンやセーターをよく着たことを覚えている。
読んでくださり、ありがとうございます。
演奏、手紙、お弁当---あまりにもわくわくすることが多すぎて、ミーナは落ち着きませんね。
マリアおばさんは外に出て、私達を待っていてくれました。
「楽しみにしていたのよ。お昼はいつも一人でしょ。さあ、入って、入って!ミーナにはね、これ。大好きなお兄さんの手紙、届いていてよ。スイスのジュネーブの軍隊から、差出人は、リュドミール ユスーポフ」
おばさんはその手紙を私の掌にのせ、
「後で、読んで聞かせてね。」と、ウィンクします。
ピアノの置いてある居間のテーブルにお皿にグラスにフォークが三つずつ、なんか、ピクニックみたい。
でも、私はお弁当より、リュドミールからの手紙が気になって、気になって。
そんな私をみて、おばさんは、
「さぁ、ミーナ、大好きなお兄さんの手紙を、おばさんとユリウスに聞かせて!」
と、優しく気遣ってくれました。
「はい。」
私は、丁寧に、リュドミールからの手紙の封を開けました。
お父さんとの約束、守らなければ。
それに、今日はこれからお母さんとの楽しい時間が待っている。
「ごめんなさい。私、そのゲームに参加しない!じゃあね、バイバイ。」
うしろを振り返らす、一目散にアパートのお家まで走って帰りました。
そのグループの中にクローバーの女の子はいませんでした。私はなぜか「よかった。」と、ほっとしました。
「ただいま!お母さんどこ?」
何かが、私を追いかけてくる!
オルフェウスの窓から私を捕まえようと、何かが!
こっちへおいで、こっちへおいで・・・って!
調理台に立っていたお母さんに思わず抱きついてしまいました。これで安心。
胸のドキドキが少しずつ治まっていく…。
お母さんが優しく頭を、撫でてくれる。嬉しい。 ドキドキがなくなるまで、こうしてて、いい?
そして---とうとうミーナも窓の下に立つのですね。最初に現れるのはいったい誰でしょう?そしてその男の子と、その後どんな物語を紡ぐのか?
初めての週末を迎える前夜、
「お母さん、明日、土曜日は午前中で学校は終わり。あのね、マリアおばさんがお母さんの手作りお弁当が食べてみたいって、明日、アーレンスマイヤ家でお昼しない?沢山、お弁当作ってくれる?その後ね、私のヴァイオリンとお母さんのピアノでデュエットしたい曲があるんだけれどなぁ…、どう?」
お母さんは大賛成してくれました。明日がとっても楽しみです。
そして、土曜日。
授業も終わり、校長先生に音楽室と、ピアノの鍵を返しに行きました。
「ミハイロワさんのヴァイオリンの音色ね。チャペルでお祈りしていたら、いつも聴こえるのよ。美しい音楽と、お祈り出来るなんて、毎朝の私の楽しみになりました。
来週も又、聴かせて下さいね。」
「はい、ありがとうございます。」
私は、校長室を出ました。っと、その時、
「ねぇ、ミーナ ミハイロワ。」
振り返ると、クラスメートの5、6人のお友達が「私達のグループに入らない?
今ね、恋人ごっこのゲームをしているの。
ゼバス音楽校のオルフェウスの窓の下に一人ずつ立って、運命の恋人の現れるのを待つのよ。
現れるか、現れないか、当て合いっこしている の。今日は特別、あなたの番にしてあげる。
あなたを、窓の下に立たせてあげるわ。」
ユリウスがイザークに別れを告げ、ロシアに旅立つ場面。そう、お互い深い想いはぐっと胸に収め、言葉は少なめに相手を見ていた。でも--わかっていたはず。
出会いは偶然、別れは必然と分かっていても、やはり別れは辛いものです。
「ねぇ、お母さん、仲良くなったお友達にお別れの事を話せなくて、心が痛いの。」
お母さんは紙にこう、書いてくれました。
″お別れの事、話したら気まずくなりそうなんでしょ。 無理に話さなくても、いいんじゃない?″
~ユリウスは遠い昔を思いおこします。~
遠い昔、ここレーゲンスブルクからロシアへ、愛しき人を捜しに旅立った雨の中、黒い髪、黒い瞳の親友、いつもあたたかく、優しかった彼に、
『行くよ。』 『元気で、イザーク ヴァイスハイト』
それだけの言葉しか言えなかった。
行き先も、心の内もなにも明かさず、別れてしまった。
でも、数年後、深く傷つき、我を失い、ただ、生きているだけの状態で再び、この地へ帰った時、イザークは親友として、温かく、受け入れてくれた。
だから、大丈夫、ミーナのその子もきっと、分かってくれる。
愛しき、娘にこんな言葉を掛けてやりたいのに…。声が出ない。なんて、だめな、母親なんだろう。
「お母さん、悲しい顔をしないで。
お母さんの心の声、聞こえたよ。その子、きっと、分かってくれる。お友達だもの、。
お母さんに相談して良かった!
なんか、スッキリした。ありがとう。」
ミーナはいろんな国の言葉が話せますね。
「ミーナ、ミーナ、私、フランス語苦手。お店しているから算数は得意なんだけどなぁ。」
「フランス語も楽しいよ、私ね、綺麗なフランス語の絵本沢山持ってる。文章も短いし、覚えやすい、今度持ってくるね。
それから、フランス語の唄、歌いながら楽しくお勉強するのって、どう?
私と一緒に歌ってみて。
例えば、
『SUR LE PONT D´AVIGNON アビナョンの橋の上で 』
♪スュ ル ポン ダヴィニョン
オン・ニ ダンス オン・ニ ダンス
スュ ル ポン ダヴィニョン
オン・ニ ダンス トゥ・トン・ロン
一番が、お嬢さんが、踊る
二番が、紳士が、踊る
三番が、赤ちゃんが踊る
皆、輪になって、躍りながら橋を渡るのよ。
「ミーナ、こんなに楽しいのなら、フランス語も好きになりそう。ありがとう。」
「これからも、一杯教えてあげるね。」
″あっ、しまった!こんなこと、言ってしまって。お別れ、近いのに…。″
お家での一番好きな時間は、夕食後、お母さんと一緒の時。
お母さん、なんかどんどん美しくなっていっていくみたい!
どんな事をしている時も綺麗でうっとり見詰めてしまう。
あまりにも、美し過ぎて、消えて無くなってしまいそうで、時々心配になります。
~ユリウスも思います。~
今、とても幸せ!
毎日が、この娘といる時が幸せ!
幸せすぎて、いつか、消えて無くなってしまいそう…。
このままでいたい。
いつまでも、いつまでも。
PS、完結の日まで、よろしくお願いします。
鈴蘭の精さま、どうぞ時間をかけてじっくりと納得のいく作品をお書きください。時間はどれくらいかかってもいいじゃないですか!良い物を、お書きになりたいものを、存分に描いてください。待っております。数か月だろうが、1年だろうが、私は全然構いません。鈴蘭の精さまの書きたいように---。どうかお気遣いなく。
実は、まだ、話がは続きます。
だらだらと、申し訳ないのですが、完結までお付きあい願いますか?
本編の不条理を一つずつ、幸せに変えていくお話しにしたいと、思っています。
まだ、数ヶ月かかりそうです。
「今日はありがとう、じゃあ、先に行くね、又、聴かせてね。」
女の子は笑顔で戻って行きました。
私は、音楽室を出て、鍵を掛けながら耳を澄ませます。
「あっ、アーレンスマイヤ家の方からお母さんの弾くピアノの音色が聴こえる!どんなに離れていても、私にだけ聴こえる!それは、もう一つの祈りの曲、『かなえられた祈り』
お母さん、お父さんと恋人になって、ロシアで結ばれて、今、幸せなのね!よかった。
私も、大きくなって、いつかこの曲が弾ける日がきますように…。
PS、りら様へ
『乙女の祈り』はユリウス、ミーナ、母娘に弾いてもらいたかった、可愛い曲。
『かなえられた祈り』は同じ女性作曲家によって数年後に作られた曲です。
あまり知られていない曲ですが、この美しいメロディーはユリウスにピッタリかな?と、お話しの中で、弾いてもらいました。*鈴蘭の精より*
「あっ、おかえりなさい。巾着と栞、ありがとう!大切に使うね。」
二人で夕食を取り、二人でシャワーを浴び、二人で歯みがき。
「ねぇ、お父さんいないから、ベットで一瞬に寝てもいい?」
ずーっと、一緒。とっても幸せ。
次の日の昼休みになりました。
クローバーの女の子にプレゼントする曲、昨日一生懸命練習した曲、その曲名は『乙女の祈り』
「これね 、ポーランドの女の人が18才の時に作った曲なのよ。聞いてネ!」
指を広げ弾きます。力強いリズムから始まるこの曲、女性が作曲したから、それだけの理由で認められなかったこの曲、フランスのパリの雑誌に取り上げられ、世界の人々に知れ渡った曲、こんなに、素敵で女性らしい、美しい曲、これからも、多くの人々に聞いてもらいたい。と、思いながら私は心を込めて弾きました。
パチパチ、パチパチ、パチパチ。拍手で嬉しそうに聞いてくれたお友達。
「ミーナ、ミーナ、何かお祈りしながら弾いたの?」
「お母さんの咽の傷が直って、声が聞けますようにって!あなたは?」
「私はもう叶えられた。ずーっと、欲しかったの。ミーナみたいな、お友達が!」
「うん。」
私は心の中で『どうしよう・・・。』
胸が痛みます。
立派なピアノ!マリアおばさんが、
「長い間、弾き手がいなくてね、ミーナが弾いてくれるなんて、ピアノも大喜びよ。」と、言ってくれました。
そっと、ふたを開け、『ド』のキーを叩きます。調律の行き届いた美しい音色…。
私は、明日、お友達にプレゼントする曲を弾きます。
オクターブが続くこの曲は、手の小さい私には、演奏するのがとても大変・・・。
でも、このメロディー、この曲名が大好きなの。
少しずつ、力がこもっていく。でも、リズムは正確に、音を外さないよう!どんどん大きく響いていく、和音とスタッカートのリズム、ペダルも加え、美しい和音でその曲は終わります。
「はぁー。」小さく、ため息をつき、ふと、後ろを見ると、マリアおばさんが立っていました。
「この曲、弾き手によってこんなに、感じが変わるのね。ミーナの弾き方は元気一杯で、とても楽しそう。
ずっと、昔、ユリウスもこの曲を弾いていたわ。真夜中にこっそりと、隠れるように。その音色は、はかなげで、とても悲しそうだった。」
「うん。」
私はその後、その曲を10回、20回繰返し、繰返し、そして、その日の練習を終えました。
外を見ると、夕方、ほんのりと、薄暗くなっています。
私は、アパートのお家に帰りました。
お母さんはお買い物に行っているみたいで、留守です。でも、テーブルの上には、音楽室とピアノの鍵を入れる巾着と、四つ葉のクローバーの栞がおいてありました。
クローバーは丁寧に画用紙に糊付けされ、セロファンでくるまれ、黄色いりぼん付き!
お母さんの愛情たっぷりのかおりが、しました。