Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

「英国メイドの日常」 (1)

2017-10-01 22:46:16 | つぶやき

 主にヴィクトリア朝時代(1837年~1901年)の、イギリスのメイドについて書かれた「英国メイドの日常」をゆっくり読んでいる。

↓  表紙の少女が何とも愛らしい「英国メイドの日常」 村上リコ著 河出書房新社 

 イギリス・ヴィクトリア朝時代のメイドたちの様子なので、「ベルばら」の頃とは事情は違うかもしれないが、読んでいると「なるほどなあ。」と思うところが多々ある。メイドたちの多くは10代前半に、貧しい田舎から親元を離れ「自分のパンは自分で稼ぐのよ。」と言い聞かせ都会に出てくる。一番最初の就職先は、未経験から仕事の基礎を覚える代わりに給料はかなり安くなる。ここで経験を積み、貯金と紹介状を手に入れ、より待遇の良い勤め先を探していくメイドも多い。実家では1台のベッドを6人で共有しているような環境で育った少女たちにとって、お屋敷のメイド部屋は粗末でも自分専用のベッドをあてがわれ、決して悪くなかった。

↓  面接を受けるため、初めてお屋敷を訪れた少女は、正面玄関からホールに案内され、豪華絢爛な内装に圧倒される。「ベルばら」でも、初めてジャルジェ家にやってきたアンドレは、上を見あげ大きく口を開け驚いた様子をしている。(もっとも彼の視線の先に少年が見えたこともあり、その美しさに驚いたのかもしれない。)

 初めてジャルジェ家の中に足を踏み入れた時、アンドレは家族専用の正面玄関から入ったのだろうか?イギリス貴族の館では、家族や来客が使う「表」のスペースと、使用人たちが使う「裏」のスペースが厳格に分けられていた。面接を受けたのち、メイドとして雇われることが決まった少女はその後二度と、「表」である正面玄関を使用することはなかった。

↓  10代前半で親元を離れたメイドがふとした瞬間、ホームシックに襲われ涙ぐむ場面。この絵を見ていたら切なくなってきた。と同時に今の日本の子どもたちは幸せだなぁとも感じた。

↓  従卒として常にオスカルを補佐護衛するアンドレ。勤務を終えた2人がお屋敷に戻ってきたところ。オスカルは当然正面玄関から入るとして、アンドレも特別に家人と同じ表玄関を使用することを許可されていた様子。これは特例中の特例。ジャルジェ家の使用人の中で、アンドレがいかに重要視されていたかが伺える。

 読んでくださり、本当にありがとうございます。



コメントを投稿