Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

ヴェルサイユ宮殿での暮らし (1)

2015-08-02 01:11:31 | つぶやき

 かねてからじっくり読んでみたいと思っていた本「ヴェルサイユ宮殿に暮らす」(ウィリアム・リッチー・ニュートン著、白水社)。今少しずつ読んでいる。

 第1章は「住居」

 劇画ではアントワネットがお忍びでパリ・オペラ座の仮面舞踏会に出かけるため、オスカルに護衛を求める場面で、オスカルはブラウス姿で仮眠をとっているが、おそらくそこは宮殿内のアントワネットの私室に近い部屋ではないかと思う。

 ウィリアム氏の本でも「宮廷司祭・寝室部侍従頭・国王付き大侍従・近衛隊長・住居担当大元帥は、国王とまったく同じ屋根の下に居住した。」とある。王妃・王太子・王女たちの女官頭や衣装係は、主のそば、つまり王妃と同じ階の居室が与えられた。そのほかの女官たちは、建物の上階が割り当てられていた。近衛隊長たちは、閣議室と国王の内部屋の真上の部屋に滞在した。さらに城館の中に、私的な居室も当てられたと書いてある。ということはジャルジェ家は代々宮殿内に、複数居室を賜っていたことになる。オスカルは女性ということもあり、アントワネットの私室にかなり近い部屋を、使っていたと思う。アンドレはそこまで入ることを許されていたかどうかは何とも言えない。近衛隊長というポジションが、いかにヴェルサイユの宮廷では、重要視されていたかが分かる。部屋が足りないと嘆く者が多い中、ジャルジェ家やジェローデルの家は、「第2の自宅」のような私室を宮殿内に持ち、スープの冷めない距離で、王族たちを護衛していたのだろう。新作エピソード「ジェローデル編」で、ジェローデルとソフィアが一晩明かしたのも、ジェローデルの家が賜っていた一室になっている。

 国王の部屋の守衛たちは、三人で一部屋を共有。雨風の日は暖炉が使えず、梁からは水が落ちる環境の悪い部屋だった。修繕を要求しても、取りかかるまで6年近くかかることがあったという。表はとても華やかな宮殿だが、一歩裏側を覗いてみれば、宮殿に仕える者たちあるいは貴族の数に対し、部屋数が絶対的に不足しており、運良く部屋を賜ったとしても、手入れのなされていない傷んだ環境だったりして、必ずしも優雅な世界ではなかった。

 読んでくださり、ありがとうございます。



2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (うめ)
2015-08-02 21:13:56
いつも楽しく読ませていただいております。

こんな本があるのですね。
面白そうなのでりら様の解説を読みつつ自分でも探してみます!
返信する
うめさま (りら)
2015-08-02 22:18:32
 コメントをありがとうございます。翻訳本なので、日本語がぎくしゃくしていて多少の読みづらさはありますが、華やかなヴェルサイユ宮殿を生活の場として捉えると、結構大変だったことが分かります。

 書店や図書館に行くと、「ベルばら」に関連する本やハプスブルク家、ヨーロッパの王族・貴族に関する本ばかりに目が行ってしまいます。
返信する

コメントを投稿