ヤマトホールディングスの子会社で引っ越し料金の過大請求が発覚し、これまでヤマトに依頼していた企業は新たな引受先を探し始めた。このまま顧客離れが進めば、子会社の経営は苦境に立たされる恐れがある。
ヤマトは問題発覚後、法人向け引っ越し業務の引き受けを中止した。再開は「再発防止策が機能していると判断できてから」(山内雅喜社長)といい、今年度いっぱいは受注を見合わせる可能性が高い。
社員やオフィスの引っ越しを依頼していた企業は代わりの業者探しに追われている。ほとんどの引っ越しを発注していたルネサスエレクトロニクスは、複数の業者から見積もりを取るようにしており、今後は「契約変更も含めて検討する」(コーポレートコミュニケーション部)という。日本通運にはこうした企業からの問い合わせが急増している。
「ヤマト離れ」は引っ越し子会社の業績に深刻なダメージを与えそうだ。もともと収益は厳しく、営業損益は2013年度に黒字転換するまで赤字続きだった。17年度も黒字額は5億円余りに過ぎず、約2年で17億円に上る過大請求がなければ赤字だった可能性が否めない。