「え? 俺、 何もしていないよ 」
「嘘だ、 今、カズ君って…」
「言ってないよ 」
その時、 俺は右の足首を捕まれ、危うく転びそうになったが、
カイの肩を掴んでどうにか体勢を保った。
「オミ、どうした? 」
「足首、掴まれた」
「え? 大丈夫 歩ける? 」
「うん、それは大丈夫…」
カズ君…
女性の悲しげな声。
部屋から出る時、今度は確かに俺にも聞こえた。
駐車場に着くと、車のダッシュボードの中からビニール袋の中に入れた塩を取り出して、
カイにかけ、車にかけ、俺もかけてもらって出発した。
めったにやらないのだが、霊障で事故を起こさないためのおまじないだ。
どの程度効くかは知らない。
俺はなんとなく、 魔除けをすると心霊が寄ってこなくなる気がして 、心霊映像が撮れなくなってしまうのではと思っているので普段はやらないのだ。
...でも今回はお祓いに行った方がいいのかな...
「なんだかすごいところだったね…」
と言われて、俺はカイが病人だと思い出した。疲れてるな、俺…
「カイ、体調は?」
「まだちょっと頭痛がするかなあ。帰ったら休ませて…」
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