「カイ、どうしてこんなことしたんだよ? 俺に悪いとこがあるなら言ってくれよ。俺が変なときに鈍いのは、カイが一番良く知ってるじゃん 」
二度とこんなことになりたくなくて、自分は叫んでいると思った。
すると 遠い目をしてカイは言った。
「悪いところなんて…ないよ。…むしろその逆…」
「逆? 」
「本当は悪いところはね、1つだけある。ダイキにだけは話したことがあるからダイキに訊いて 」
「なんだよ、ダイキにばっかり。何で名刺 持ってたんだよ。俺のじゃなくて 」
するとカイは寂しそうに、
「俺はあいつが羨ましくて仕方がなかったんだよ。
好きな人が男性でも、他人のお前に言えて、障害があっても突き進んで、大好きな華ちゃんをゲットして 」
「…」
…
カイはため息をついた。
「俺の方は、すぐ隣にいるヤツの…恋愛に耐えるしかなくて、そいつに婚約の相談をされるのはもう耐えられなかった。
結婚なんてされたら…もう…」
「ああ…」
…やっぱり俺のことだったのか…
「似合いの2人だからもう決まりだろうし、もうここにはいられないと思った それで…」
カイは視線を俺から逸らした。声は震えているようだった。
俺は立ちつくすばかりだった。
…フクちゃんの読みは当たっていたのだ。
「…どこへ行くつもりだったの?」
「いや行く当て なんか考えられなかった。この町から出て行くのがまず嫌だった。死ぬことは しばらく 思いつかなかったし」
「でも思いついてたんだ…」
「まあね。でも自殺は俺らしくないから、じゃあ俺に会っているのは何だろう、って考えながらうろうろしていたんだ。
礼霊ずにはもう戻れないだろ。覚悟はしたよ 」
…戻ってもお前に会うなら仕方がないし…
「そこまで考えていたんだ」
俺は改めて ショックを受けた。
冷静に考えればそうなるのだろうけど…
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