小説「離しません!」&スピンオフ「オミとカイ-少女の霊と俺達と-」

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小説「オミとカイ」15.ささやかな告白

2024-07-17 21:55:00 | 小説
「カイ、どうしてこんなことしたんだよ? 俺に悪いとこがあるなら言ってくれよ。俺が変なときに鈍いのは、カイが一番良く知ってるじゃん 」

 二度とこんなことになりたくなくて、自分は叫んでいると思った。

 すると 遠い目をしてカイは言った。

「悪いところなんて…ないよ。…むしろその逆…」
「逆? 」
「本当は悪いところはね、1つだけある。ダイキにだけは話したことがあるからダイキに訊いて 」
「なんだよ、ダイキにばっかり。何で名刺 持ってたんだよ。俺のじゃなくて 」

するとカイは寂しそうに、

「俺はあいつが羨ましくて仕方がなかったんだよ。
好きな人が男性でも、他人のお前に言えて、障害があっても突き進んで、大好きな華ちゃんをゲットして 」
「…」

 カイはため息をついた。
「俺の方は、すぐ隣にいるヤツの…恋愛に耐えるしかなくて、そいつに婚約の相談をされるのはもう耐えられなかった。
結婚なんてされたら…もう…」

「ああ…」

 …やっぱり俺のことだったのか…

「似合いの2人だからもう決まりだろうし、もうここにはいられないと思った それで…」

 カイは視線を俺から逸らした。声は震えているようだった。

 俺は立ちつくすばかりだった。

 …フクちゃんの読みは当たっていたのだ。

「…どこへ行くつもりだったの?」

「いや行く当て なんか考えられなかった。この町から出て行くのがまず嫌だった。死ぬことは しばらく 思いつかなかったし」

「でも思いついてたんだ…」

「まあね。でも自殺は俺らしくないから、じゃあ俺に会っているのは何だろう、って考えながらうろうろしていたんだ。
礼霊ずにはもう戻れないだろ。覚悟はしたよ 」

 …戻ってもお前に会うなら仕方がないし…

「そこまで考えていたんだ」

 俺は改めて ショックを受けた。
  冷静に考えればそうなるのだろうけど…



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