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通勤や通学では、毎日決まった時間帯の電車に乗る場合は多いと思う。
もちろん、社会人なら仕事のスケジュールで、学生なら部活動などのスケジュール次第で、いつもと違う時間帯の電車に乗る場合もある。
でも、そういうイレギュラーな都合がない限りは、特に学生の通学では、毎日決まった時間帯の電車に乗る場合が大半だろう。
朝は特に。
帰りの電車は、部活動などの影響で時間がずれることもあるだろうが、朝となると・・私の記憶でも、毎朝同じ時間帯の電車やバスに乗っていた覚えがある。
毎朝同じ時間帯の電車・・特に急行などに乗っていると、同じ電車に乗っている乗客の顔ぶれは、けっこう決まってきたりする。すると、何人かは、覚えてしまうことになる。
毎朝同じ電車で姿を見かけている人は、多かった。たいがい、同じドアから乗ってきていたし。私自身も、いつも同じドアから乗っていた。
かといって、特に話すわけでもなければ、挨拶をするわけでもなかったけれど。
いつも同じ電車に乗っている顔ぶれには、おじさんもいればおばさんもいたし、若い人もいたし、男も女もいた。
なので、学生時代の通学では、若い人同士だとそこにほのかな恋心が生まれた場合もあったはず。
話したことはないけど、いつも同じ電車に乗っている「異性のあの人」が気になっている・・・そんな場合だ。
そんな経験があった方は、多いのでは?
同じような顔ぶれが、いつも朝に同じ電車の同じドアから乗ってくるわけだから、毎朝自分の近くに、いつもの顔ぶれが立っていたり、座っていたりした。
恋心みたいな特殊な感情を持っていない相手でも、いつもいる人が、ある時いないと、「あれ?今日はいないな」とか思ったり。
それがほのかに恋心を持っている相手だと、ちょっと心配になったり、不安になったり、寂しかったりもした。
それでも、翌日の電車でその人が復活していると、少し安心したりもして。
ところが、ある日を境に、ぷっつりと姿を見なくなる人もいた。そして二度と姿を見かけずじまいになった場合もあった。
そんな場合は・・社会人なら転勤があったのかもしれないし、会社をやめたのかもしれない。
学生なら進学して別の学校に行ったのかもしれない。
あるいは、引っ越しでもしたのかもしれない。
だが、話すことがなかった相手なだけに、そのままであった。そのまま、ある日いきなり消えてしまったことになった。
特に、ある日急にいなくなった相手が、ほのかな恋心を抱いていた相手だと、フラれたわけでもないのに、フラれたような気分になったり。
今考えると、毎朝同じ時間帯の電車で、同じドアから電車に乗り、いつも自分の近くにいた顔ぶれというのは、コミュニケーションのない「一団」みたいなものだったかもしれない。
まあ、話すわけでもなく、仲良くなることもなかった相手であることを考えれば、「一団」という表現は妙かもしれないが(笑)。
なんかのきっかけで、○○年の○○線(電車)の○○時(時間帯)の○号車の○番ドアから毎日乗ってた人が、一堂に集まって、当時の顔ぶれの再現でもする機会でもあったら、どうなるんだろう。
この場合、面白いのは性別も年代も入り混じることになるから、奇妙な再会になるだろう。
まあ、リアルタイム時に話すことがなかったメンバーばかりだから、話がはずむかは微妙ではあるし、それ以上に、相手のことを互いに覚えているかどうか・・という問題もあるけど。
その場合、こちらが相手を覚えてなくても、相手がこちらを覚えている場合もあるかもしれないし、その逆もあるだろう。
ふとそんな集まりを想像してみて思ったのだが、飲み会みたいな形だと、「何か話さなきゃ」みたいになってしまいそうだから、単に同じ電車で同じ顔ぶれを再現してみるだけがいいかもしれない。
それで、話したければ話す・・ということで。
まあ、そういう再会があったとしても、メンバーがメンバーだけに、話したりはしないような気はする、
もしも話す場合、どんな会話になるだろう。
「実は、あの時、あなたのことが好きでした」
という会話なら楽しいけど、
「あの頃、あんたのことがムカついていたんだ」みたいな会話だと、かえってきまずい(笑)。
もっとも、そんな場合は、まず集まる気にならないだろう。
だいいち、幹事が大変。
やはりこういうのは、コミックなどに出てきそうな「不思議話」としてしか成立しそうもない集まりではある。
もし現実にこういう企画をたてるなら、鉄道会社が企画するしかないのかもしれない。
「○○年当時、○○時、○○号車、○番ドアから通勤・通学してた方、お待ちしています。」
・・・そんな企画で。
まあ、一風変わった、奇妙で不思議な再会イベントではある。
こんなイベント、見たことないし。
どれだけ人が集まるかどうかは・・・微妙ではあるけど(笑)。
なんで私がこんな妙な「集まり」を妄想したかというと、通学で毎朝同じ電車の同じドアから乗ってて、いつも見かけていた何人かの人たちの中に、密かに「かわいいな」と思っていた「どこかの学校の女生徒」もいたし、男性でも「この人は、いったい何をしている人なんだろう」と思っていたおじさんもいたりしたからだ。
それはちょっとした謎っぽくもあった。
だからといって、それらの人が、その後の私の人生に関わってきたわけではないのだが(笑)。
相手の理由や、自分自身の理由で、コミュニケーションのないまま、いつのまにか姿を消し、二度と会うこともなかった人たち。
仮に偶然どこかで再会していたとしても、互いにそれには気付かないままだったりしたこともあったかもしれない。
でも、何かの拍子に、ごくごくまれにふと思い出すこともある人。
特別な感情は相手に対して持っていなくても、「そういえば、あの頃いつも同じ電車に乗ってた人、その後どうしたのかな」とか、「一体どんな人だったのかな」とか、思い出したりする人。
その後幸せな人生をおくっていてほしい・・と思うわけでもなければ、天罰をくらってほしいと思うわけでもない人。
ただただ、あの頃の日常のひとかけらの時間帯に、いつも同じ場所にいた、それだけの人。
だが、同じ時間帯に同じ場所に互いにいたぐらいだから、ミニマムな縁はあったのかもしれないし、いや、縁があったとも言い切れないのかもしれない。
言えるのは、・・・互いを仮にかすかに覚えていたとしても、もう何十年も会っていないし、覚えているのは互いに当時の容姿。
なので、上記のような奇妙で不思議な再会イベントで、どこかの場所で再会したとしても・・・分からないかもしれない可能性は・・・高い。
だが、当時と同じ時間帯に、同じ電車の、同じドアに、当時と同じ面子が揃う・・という、完全再現で、やっと何人か分かる人がいるかもしれない・・・せいぜいその程度であろう。
「あ、そういえばこういう人、いたなあ」とか、思って。
まあ、なんにせよ、相当奇妙で不思議な再会イベントであることは間違いない。
なにせ、再会したとしても、何も話さない可能性もあるわけだし。
・・・え?
皆、そんなのに集まるほど、暇ではない?(笑)
まあ、確かに、「そんな人たちより、もっと会いたい人」というのはいるものね。
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