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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

ナイルの百合(Lillies of the Nile)  by クルセイダーズ

2015年04月28日 | 音楽全般

 この曲は、クルセイダーズの「サザンコンフォート」というアルバムに入っていた曲だ。

クルセイダーズ・・といっても、日本のフォーク・クルセイダーズのことではないので、念のため。

1970年代に主に活躍した、アメリカのフュージョングループだ。

 

私がこのアルバムを入手したのは、70年代の後半だったと思う。

当時、クロスオーバー(後にフュージョンというジャンルで呼ばれるようになる)というジャンルの音楽が注目されていた。

それまでにも、ロックにジャズの要素を取り入れたアーティストや音楽はあったが、ロック畑の人が本格的なジャズミュージシャンとコラボしたり、あるいはジャズ畑のミュージシャンがロックミュージシャンと大々的にコラボする動きは、この当時非常に目立ってきていた。大物同士のコラボも多くなっていった。

 

そういう動きのおかげで、ロックファンにジャズの有名ミュージシャンがよく知られるようになったり、また、ジャズファンにも、ロックの大物ミュージシャンのことが知られるようになった。

 

私はそれまで、ロックファンだったので、ジャズのミュージシャンの演奏は新鮮だったし、ロックの大物がジャズミュージシャンとコラボして生まれた音楽に、それまでのそのロックミュージシャンの新生面を見た思いがあったりして、そのへんも面白かった。

そういう音楽をあれこれ聴いていくうちに、それまではロックのミュージシャンのアルバムを聴いてた私も、ジャズミュージシャンのアルバムにも興味を持つようになった。

そのへんは、クロスオーバーというジャンルの波及効果であったとも言えるだろう。

 

ではどんなジャズミュージシャンのアルバムを聴いてみようか・・そう思った時にすぐに思いついたのが、やはりギタリストだった。

 

当時、クロスオーバーと呼ばれたジャンル上でスタジオギタリストとして脚光を浴びていたギタリストがいた。

何人かいたが、当時特に名前を聴くことが多かったのが、ラリー・カールトンとリー・リトナー。

雑誌などではジョージ・ベンソンの名前ももてはやされていた。

それらのギタリストのアルバムを何枚か私は入手していった。

ベンソンは当時、「マスカレード」のシングルをヒットさせ、アルバム「ブリージン」もよく売れていたので、買いやすかった。

 

あまたのギタリストの中でも私が一番聴いてみたかったのが、ラリー・カールトンだった。

この名前、後に、サザンオールスターズの「私はピアノ」という曲の歌詞に出てきて、初めてその名前を知った方も、当時は多かったかもしれない。

私は当時熱心に愛読していた音楽雑誌で知ったのだった。

カールトンは後に「夜の彷徨」というアルバムで大ブレイクするが、私がカールトンの参加アルバムを初めて物色してるころはまだ「夜の彷徨」は出てなかった。

彼の初のソロアルバムも買って聴いてみたが、意外にもギターは抑え目だった。ボーカルなどが入っており、カールトンのギタリストの腕の披露というより、カールトンの音楽的な趣味が色濃くでているアルバムに思えた。悪くはなかったが、あくまでも私は「ギタリスト」としての凄腕を期待してたので、やや肩透かしを食らった感じだった。

 

そこで。私はカールトンが参加してきたユニットのアルバムを買って聴いてみることにした。

それが・・クルセイダーズというユニットのアルバムだった。

カールトンが参加したクルセイダーズのアルバムでは、カールトンの名演としては「南から来た十字軍」というアルバムが音楽雑誌で紹介されていたが、私は「南から来た十字軍」というアルバムよりも先に「サザン・コンフォート」というアルバムを買ったのだった。

理由としては「サザン・コンフォート」は2枚組だったので、たっぷり聴ける・・・そう判断したからだった・・・と思う(ちなみに、「南から来た十字軍」は、その後レンタルレコード屋さんから借りてきて、テープに入れて、ウォークマンでよく聴いていた)。

 

「サザンコンフォート」を買った時、私はクルセイダーズというユニットがどういう音楽をやっているユニットなのか予備知識がなかった。

ジャズ畑の名手が在籍しているユニットなので、複雑で難解で超絶技巧の音楽なのかと思った。なにせ、クルセイダーズのメンバーは、ウェイン・ヘンダーソン(トロンボーン)、ウィルトン・フェルダー(テナーサックス)、ジョー・サンプル(キーボード)、スティックス・フーパー(ドラム)・・という、今思うと凄い顔ぶれ。

 

だが・・聴いてみたら・・・これが心地よいのだ。

 

きっと音楽的、演奏的にはテクニカルなことをやっているのだろうけど、音楽がともかく心地よかった。

超絶技巧で、「どうだ!」と迫ってくる曲よりも、私はやはり口ずさめるようなメロディを持った曲が、ジャンルを問わず好きだ。

 

「サザンコンフォート」の中で、私が特に気に入った曲が・・・「ナイルの百合」という曲であった。

 

 

難解でもなんでもなく、ひたすら心地よい軽音楽として聴け、それまでロックを中心に聴いてきた私にとっては、新たな「お気に入りの音楽ジャンル」を自分の中で開拓できた気分であった。

 

ロック畑からジャズ方面にアプローチしたジェブ・ベックの「ワイヤード」というアルバムをそれまでよく聴いてたので、私は「ワイヤード」のような緊張感あふれる「楽器の戦い」みたいな音楽を予想していた。もちろん、それはそれで好きだったが。

 

一方、そんな音楽を予想して聴いた「サザン・コンフォート」の「ナイルの百合」は、リラックスして聴け、まるで心地よいうたた寝の世界に誘われるような、景色が浮かんでくるようなドリーミーな曲に思えた。

うたた寝・・・と書くと、退屈ででもあるかのような誤解を招くかもしれないが、そうではないので念のため。あくまで心地よさゆえに・・だ。

 

で、ラリー・カールトン。彼はクルセイダーズに、このアルバムから正式に加入した。

やや控えめながらも、アンサンブルを手堅くサポートしている感じだった。とはいえ、やることはしっかりやっている。ソロのパートもしっかりある。

 

ちなみに、後に発表されるクルセイダーズのアルバム「南から来た十字軍」では、カールトンは、メイン級の大活躍をしている。だが、このアルバム「サザン・コンフォート」でのカールトンは、アンサンブルの中に溶け込んだ貢献ぶり。でも、個人的にはそんな印象も好きだった。

決して「俺だ!俺だ!がんばりまーす!」という感じではないところが。

そのへんは、スタジオミュージシャンとしてのキャリアのなせるスタンスかもしれない。

 

 

ゆったりしたテンポの曲で、楽器の音量も抑え目で、サックスやトロンボーンが入ってくると、けっこうムーディな感じになり、夜静かに酒でも飲みながら聴くのにピッタリ・・そういう演奏もあるが、この「ナイルの百合」は、夜よりもむしろ昼間聴きたい感じの曲だ。

しかも、穏やかな気候の時期に、晴れた昼下がりにでも、どこか自然に恵まれた環境で、リラックスしてこの曲をボケ~~ッと聴いたら最高だろうな・・と思う。

心が癒される感じだ。穏やかなメロディ、そしてゆったりとしたリズム、楽器同士のアンサンブル、どれも好き。

 

実際私がこの曲をよく聴いていた時間帯は、昼間だった。

それも午後3時過ぎぐらいの時間帯が多かった。

この曲を聴いてると、たとえそれが狭い部屋の中であっても、気分だけでも遠い異国の自然の中にトリップできる気がした。

 

 

前述のクルセイダーズのアルバム「南から来た十字軍」や、後のカールトンのリーダーアルバム「夜の彷徨」でのカールトンの躍動感あふれるギタープレイとは一味違ったギタープレイがここでは聴ける。曲の全体的な雰囲気に溶け込んだプレイ。

 

それにしても・・「ナイルの百合」、実に心地よい。

この曲を聴きながらまどろんでいき、眠りに落ちたら、いい夢を見れそうだ。

そんな曲である。

 

 https://www.youtube.com/watch?v=HnErY7hsiak

 

 


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