以前、このブログで、中古レコード屋のことを書いたことがある。
私が、せっせと中古レコード屋に通っていたのは十代の頃。
この当時は、お金がないにもかかわらず、ともかく色んなミュージシャンの色んな曲に出会いたかった。
そんな貧乏学生にとって、時には100円でLPレコードが買える事もあった中古レコード屋は、聖地だった。
私が買ってた中古レコードの値段の相場は、1枚100円から1000円くらいまで。
それ以上の値段になると、輸入盤屋で新品を買っていた。
訳詞が読みたいディランのようなミュージシャンのアルバムは、正規の国内盤。
買うレコードの選択基準は、以上のような感じだった。
聴いた事の無いミュージシャンのアルバムは、主に中古盤だった。
聴いた事がないミュージシャンのアルバムだと、スカることもある。
でも、中古で安く買ったアルバムなら、諦めもつくし、余計な出費も防げる。
名前を聴いた事のないミュージシャンのアルバムの中には、たまに場外満塁ホームラン的な曲に出会うことがあった。クリーンヒットもけっこうあった。
そんな楽曲に出会った時の、嬉しさったらない。
今回は、そんな1曲を紹介。
国内盤が出たかどうかも分からないアルバムだし、日本でこのミュージシャンを知ってる人は少ないかもしれない。
でも、私は好きだった。
John Hurleyというシンガーソングライターの「Children`s dream」というアルバム。
で、このアルバムの中の1曲こそ、私がほれ込んだ1曲だった。
その曲のタイトルは「Weighs a body down」。
John Hurleyは、日本語で表記するとなると、ジョン・ハーレイとでも書けばいいのだろうか。もしくは、ジョン・ハーリー?
まあ、ここではとりあえずジョン・ハーレイということにしておくとして。
このアルバム、参加したミュージシャンが豪華。
ドラムにジム・ケルトナー!
ギターにラリー・カールトン! そして、ジェームス・バートンの名も!
そして、このジャケットがまた印象的。
人によっては、このジャケに写ってる人形を「怖い」と感じる人もいそうだ。
ちょっと、一昔前のオカルト系の映画を彷彿とさせるものね。
アルバム全体としては、そんなに聴いてなかった。
でも、「Weighs a body down」という曲だけは何度も聴いた。
輸入盤なので、当然日本語解説などないし、歌詞の訳もあるわけがない。
注意して聴いてると、なにやら教訓めいたい内容の歌のようでもある。
個人的には、この歌の切々とした歌い方、ハスキーな歌声、ストレートで染み込むようなメロディ(3コードで弾けてしまいそうなメロディで、決して複雑なコード進行ではないと思う)が好きだった。
このアルバムから、どの曲がシングルカットされたのか、あるいはシングルカットされた曲は無かったのか。
また、このアルバムがチャート何位くらいまで上がったのか。
そもそもジョン・ハーレイって、どんな人なのか。
その他。
このアルバムにまつわることは何一つ分からない。
名も知らぬミュージシャンのアルバムを、中古盤屋さんで買う時は、いつもそんな感じだった。
買う時は、冒険心が刺激された。期待と不安(?)が入り混じった感覚。
選択基準は、ジャケットデザインと値段(安ければ安いほどいい)。
内容が分からない以上、買う手がかりはスタッフクレジット。
我が家には、そういった「正体が全く分からないアルバム」は、けっこうある。
何も分からないまま、ジャケットデザインと値段とスタッフクレジットだけで買うのだから、やはりバクチ的要素はいつもあった。
このアルバムを買ったのは、やはりこのジャケットデザインが大きかったように思う。
中古盤なので、値段は数百円だったはず。
LPを数百円で買える・・というのは大きいし、だからこそ、こうした冒険もできたのだね。
で、聴いてみたら「Weighs a body down」という「めっけもの」の曲に出会うことができたのだから、冒険した価値はあった。
1曲でも、こうした「自分の感性に合う曲」があると、それがまた癖になり、こうした冒険を繰り返すことに繋がったものだ。
このアルバムを買ったばかりの頃は、この人に関する情報は何も得られなかった(私の周りで、この人のことを知ってる人は、いなかった)が、今ならネットがある。
そう思い調べてみたら・・・この人はゴスペルスワンプ系の人で、1960年代には「John Hurley & Ronnie Wilkins 」名義でのソングライターチームを組んで、様々な人に優れた曲を提供していた、有能なソングライターだったらしい。
で、70年代前半に、このアルバムを含む3枚のアルバムを発表し、その後は裏方にまわってしまったそうな。
ちなみに、この「Children`s dream」というアルバムは、彼にとって3枚目のアルバムにあたり、事実上のラストアルバムであるようだ。
「Weighs a body down」は、もしかしたら単なる「アルバムの中の1曲」にしかすぎないのかもしれない。
でも、私にとっては、この曲があるから、John Hurleyは埋没していない。
忘れられない1曲だ。
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