倒産カレー屋顛末

何年か前、倒産した某カレー屋の内情

始まりは何時も雨。入社初日

2015-06-15 13:14:04 | 日記
その日は、確か雨だった。九段下にある人材派遣会社に登録しておいて、今、急成長中の飲食会社だから、社長にあってみませんか?と言われた。

等々力さんの力を存分に発揮できると思います。と。

埼玉県川越市のはずれに、バルテック社はあった。一見して倉庫みたいで、とても急成長していると思えなかったが、派遣会社の担当が面接の練習だから行ってみてくれなんて言われて、ノコノコと行ってしまった。

あれから、何年も経過したが、なんでノコノコと行ってしまったのだろうと、今になって思う。

若さ故の過ち。

倉庫の一階には、小学校の半分の半分ぐらいの大きさに、近所のおばさん達10人ぐらいが、エプロンをして大きな釜を回していた。

今、思えば、麻薬工場にも見えなくもない。

汚くはないが、綺麗に整頓されているとも言えない。従業員も余計な事に関わらず、黙々と作業をしている。

すみません、面接に来た、佐々木と申します。  新人らしく大きな声を張り上げて。

作業しながら、怪訝そうな顔で、顎をあげたあばさん。

後で、知るが、この人がカレーのレシピマスターだった。この皺くちゃの、半分、腰をまげた。おばあさんと言ってもいい人が。

怪訝になる理由も後でわかった。

私のような、何も知らない余所者が、また、来た。からだ。

バルテック社の従業員は、この外様従業員と、古参が従業員がいて。

古参従業員の壁と結束は厚かった。


コメントを投稿