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映画「サバイバルファミリー」

2017年03月04日 20時00分00秒 | 映画・テレビドラマ・漫画
背筋が凍りつく、とまでは行かないまでも、我が身に置き換えると鑑賞中は恐さが募る物語設定でした。

或る日突然、東京中の電気が流れなくなり、電池も利用できなくなってしまいます。
蓄電することも不可能で、だから電動自転車は却って面倒くさくて、普通の人力のみの自転車の方が便利になってしまう事態に。
自動車はガソリンで動くけど、あちこち部品は電気を使うから、運転不能。
テレビも電話もパソコンも、なにもかも電気・電池がないと動かないから、情報伝達もままならず、なぜこんな状況になったのか誰にも理解できないことに。

で、2~3日どころか1ヶ月経っても好転しないことを受けて、主人公一家の鈴木さんは、東京を脱出することに。
東京は駄目でも、大阪ならば電気が通っているに違いないと、楽観的な希望的観測を頼りに自転車漕ぎ漕ぎ、一路西に向かうのです。
でも大阪に着いてみたら、そこは東京同様に電気・電池の機能しない街。
さて、鈴木一家は、そして日本国民はどうなる?という物語。

「日本国民どうなる?」と書きましたが、政府首脳や官僚、電力会社の登場人物は現れません。
鈴木一家の目を通して、電気のない世界をどう生き残るかをひたすらに描いています。
で、鈴木一家と自分とを、否応なしに重ね合わしてしまうんですわ。

結論、吾なら飢え死にするな。

2011年3月11日の原発事故をきっかけに、日本という国の省エネ基盤はますます進化しました。
節電意識も向上し、原発稼動させなくても日本の経済は大きく損なわれないことも実証。
といっても電気頼りなのは変わらない事実。
だからね、この映画は本当に怖い。
ゾンビや幽霊は登場しないけど、真剣に恐くなってしまいます。

所詮は架空のお話ですが、地震など自然災害のせいで大停電に見舞われる可能性は決してゼロじゃありませんよね。
流石に1年、2年も停電は続かなくても、1週間や10日間の停電は有り得ます。
それがもしも冬季だったら……
新潟県内では実際、2005年に起こったじゃないですか。


主演の小日向文世さん、「真田丸」の太閤秀吉殿下の芝居が高い評価を受けました。
「サバイバル~」の小日向さんも上手いですよ。
俺が一家の大黒柱、俺が一家の稼ぎを担っているんだ、とふんぞり返って偉そうにしていて、俺についてくれば電気のない世界でも大丈夫と豪語しながら、ちっとも役に立たない。
で、サバイバル能力の高い他人を見て嫉妬したり、下げたくない頭を下げて子どもたちに食べ物を恵んでほしいとプライドをかなぐり捨てたり、と自転車移動をしていくうちのキャラクターの自然な変化に感心します。


それと、主人公の苗字、またまた「鈴木」でした(笑)
矢口史靖監督の作品の主人公は、「ウォーターボーイズ」も「ハッピーフライト」も鈴木姓。
これを確認すると、なぜだか笑みが零れます。





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