時限爆弾のなかでもとんでもないのが「もんじゅ」である。とんでも無い理由は(幸い、現在稼働していないが)、
冷却媒体に水と接触すると爆発する金属ナトリウムを使用していることである。一般の原発は、「軽水炉」といわれるように水が冷却媒体であり、(しかも、水は、中性子を減速する減速材であることから)、福島の事故で明らかになったようにいざとなれば、海水での冷却ができるのである。「もんじゅ」がとんで無いものであるのは、1980年に着工して約45年を経過しても、満足に運転できない事実が示している。
「もんじゅ」が事故を起こした時、金属ナトリウムを空気から遮断しながら(空気中には水分(湿分)が含まれているため)、原子炉内へ注入することは不可能である。そのため、一般の原子炉である軽水炉に必須の「ECCS緊急冷却水注入システム」が無い(無いことを増殖炉の優れた点としているが、(また、これが機能しないため、福島の第一原発の事故は発生したが)、本当に不要かは、一定の仮定を置いたときに不要というだけで、事故が起きたときに分かることになる。そのときには何十万人の死者がいることになる。
炉内の高速中性子の挙動、MOX燃料の挙動が完全には解明されていず、原因が解明されていない事故が海外(フランス)では発生しているのである(そのため、世界で増殖炉を動かしているのは日本だけである)。
原因が不明ということは、地震、津波以外にいつでも事故を起こす可能性を持っていることになる。
もっとも危険な時限爆弾である。
勿論、地震に対しても危険な地盤に建設されていることは、広瀬隆著「原子炉時限爆弾(ブログ写真)」を参照して欲しい。
(そもそも、耐震審査などと最もらしいことを言っているが、地盤を耐震審査の対象から外すという基本的な欠陥がある。家なら分かるが原子炉でのこの対象外しは理解できない)。
なお、高速増殖炉のネーミングはマヤカシである。プルトニウムを燃やせば、直ぐに、2倍のプルトニウムが生産されると錯覚するが、2倍のプルトニウムになるまで約90年かかるのである。即ち、増殖率は、約1.008/年 と極めて1に近く、殆ど増殖しないのである。存在価値は、時限爆弾としての役目、および原爆を作る原子炉であることである。
上二資料に示すように、「もんじゅ」は、今までに約一兆円の金を使い、何の成果も生まずに年間約200億円を使い続けている。