原発は日本人にセットされた時限爆弾だ!

原発再稼動阻止のために、原発関連事項を整理して随時アップする。また、集団自衛権の行使の阻止のために同様に取り組みたい。

耐震設計審査指針をひもとく(3)ー3.11の事故の遠因は耐震設計審査指針の重要度分類にあった!

2016-05-25 10:15:03 | 原発

各種耐震設計審査指針を理解するためにもそれらの比較表(1/6~6/6)を作成した。

以下、地震工学に疎い、単なる機械技術者であった一人の感想を述べたい。

3.重要度分類について(対比表(1/6)参照)

(1)原子力発電所の各部分をそれら各部分の重要度で分類することは、一見、一般的に合理的な考えであるように思われる。当ブロガーは、誰も疑問を示さない重要度分類を原子力発電所に単純に適用することに疑問を提示したい。

例えば、事件発生の場合のトリアージとして、重症者、中症者、軽症者と分類して、資源(医師、看護士、病床等)の有効活用を図ることは合理的である。

それと同じように、原子力発電所を重要部、中重要部、軽重要部に分類し、その重要度に応じた資源(機材量、信頼度等)の調整を図ろうとするものである。

しかし、トリアージの場合と原子力発電所の場合と全く同じかというと、分類するという効果に違いがあることが分かる。

トリアージの場合、重症患者を優先したとしても、一般的にそれ以外の患者へサービスの時間的引き伸ばしの影響以外の影響は考え難い。その時間的引き延ばしの影響を考慮して分類されるものであろう。

しかし、原発の場合、原子力発電所の各部分は、人体に例えられるように複雑に絡み合い、単純に重要度分類に従い事態に対処することが最も原子力発電所の被害を低く抑えることができると言えるか疑問である。

第一に、机上では重要度分類ができても、一旦、事故が発生した場合、原子力発電所の事故の被害を最少にすると言っても、電力会社、政府、周辺住民の立場で違う。したがって、その立場で重要度分類が違ってくる可能性がある。

第二に、トリアージの場合と、重要部、中重要部および軽重要部が互いに複雑に絡まる点で異なる。その結果、最重要部に資源を集中すべしとすることが、原子力発電所の事故の終息を図る最善の策とならない場合が当然考えられる。

 例えば、重要部の故障の足を引っぱている軽重要部の故障の解消が、最重要部の故障の早期解消になることも当然に考えられる。即ち、正常時の原子力発電所の重要度分類と異常時の重要度分類は異なる可能性があり、事故の防止、事故の解消の観点からの重要度分類が正しい分類とさえ言える。

具体的事例は、原子力発電所の細部に不明の当ブロガーは提示できないが、3.11で重要度分類が不適切であったことが明らかになった事例を採り上げたい。

「外部電源およびその関連機器」がCクラスに分類されていたことが3.11の事故の根本の原因であるということである。」

普通の感覚の人間であれば、外部電源が喪失すればメルトダウンになり、周辺住民を帰還困難者にしてしまう原子力発電所で、外部電源およびその関連機器を最低クラスのCクラス(一般の機器のクラス)で良いとする判断が信じられないであろう。

何と!!!、昭和45年の改訂版である昭和52年6月14日の安全設計指針の、指針9「電源喪失に対する設計上の考慮」で、

原子力発電所は,短時間の全動力電源喪失に対して,原子炉を安全に停止し,かつ,停止後の冷却を確保できる設計であること。

「ただし、高度の信頼度が期待できる電源設備の機能喪失を同時に考慮する必要がない」とする。

更に、その解説で、

長期間にわたる電源喪失は、送電系統の復旧または非常用ディーゼル発電機の修復が期待できるので考慮する必要はない。とする。(当ブログの「安全設計審査指針の対比表」参照)

 

即ち、何の根拠もなく、SBOは考慮する必要が無いと言う。3.11の事故で非常用ディーゼル発電機が1号から5号原子炉に二台づつあったが、いずれも電源を喪失させた。辛うじて、5,6号原子炉の二台の非常用ディーゼル発電機の内の一台が運転を続け、5,6号機は事故を免れた。

また、新規制基準(平成25年)第33条7項で、

「非常用電源設備およびその付属設備は、多重性又は多様性を確保し、および独立性を確保し、~~~設計基準事故に対処するための設備がその機能を確保するために十分な容量を有するものであければならない」とし、その解釈にて、「十分な容量」とは、7日感の外部電源喪失を仮定しても、非常用デーゼル発電機等の連続運転により必要な電力を供給できることを言う。とする。

「外部電源がなくとも非常用電源がある」という発想(新規制基準でもそのような考えが踏襲され、むしろ、外部電源の重要度分類は最下級のCクラスのままで、非常用ディーゼル発電機を最上級のSクラスとしている)は、おかしい。非常用デーゼル発電機が原発事故の初期から故障することなく7日間稼動し続けるという保証はどこにも存在しない(非常用電源が多様性、多重性で連続運転する保証もない)。日本人の生命をそれら、多様性、多重性および独立性に掛けるべきでない。単なる、希望的予測に基づくものである。いくら大御用学者が、声を大にして言おうともそのことは変わらない。

外部電源は、いわば人体の各細胞へエネルギーを運ぶ血液輸送系に相当するほど重要な部分で、その重要度分類を最上級のSクラスとすることが防災の基本ではないか。経済的観点からそれができないなら原発は廃炉にすべきである。


 (2)重要度分類に関連して、「多重性」、「多様性」および「独立性」という概念が安全設計審査指針(平成2年)および新規制基準(平成25年)に表れる(対比表(1/6)および設計審査指針対比表参照)。

非常用電源設備をSクラスとし、「多重性」、「多様性」および「独立性」を持たせれば、外部電源はCクラスのままで良いという構成になっている。

Sクラスであっても、絶対に機能が喪失しない訳ではなく、「多重性」、「多様性」および「独立性」を持たせれば、更に、Sクラスの安全性を高めるものでもない。

 「多重性」、「多様性」および「独立性」という概念は、個々の機器および設備の、通常の経年劣化等による故障に対する対策(いわゆる単一故障原因に対する対策)では、有効性が計算で示すことができる。

しかし、地震、津波、火山噴火等に対してはその有効性は証明されていない、あるいは、保証されていない、むしろ、保証出来ないのである。

一見、工学的に妥当な対応であるかに見せるための、猫だましの策である。


原子炉施設に関する安全設計審査指針の対比表

2016-05-25 10:01:46 | 原子力

原子炉耐震設計審査指針との関連で、外部電源に係わる安全設計指針の対比表を作成する。

一部、原子炉耐震設計審査指針の対比表(1/6)と重複する。

 項目

軽水炉についての安全設計に関する審査指針について

 

  

発電用原子炉施設に関する安全設計審査指針について  

  

発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針

   

実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則
   (新規制基準)

発行年月日

45原委第103号

昭和45年4月23日:1970年

 

昭和52年6月14日

原子力安全委員会決定

   (1977年)

     注3

平成2年8月30日(1990年)

原子力安全委員会決定

平成13年3月29日一部改訂

    注1

平成二十五年六月二十八日

原子力規制委員会規則第五号

   (2013年)

     注2

 安全設計審査指針

2.適用範囲

1 定義
 (省略)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 原子炉施設全般

2.1 準拠規格ならびに基準

原子炉施設における事故の防止ならびにその結果の抑制のために、安全上重要かつ必須の系および機器の設計、材料選定、製作ならびに検査については安全上適切と認められる規格ならびに基準によるものであること。

2.2 敷地の自然条件に対する設計上の考慮

(1)当該設備の故障が、安全上重大な事故の直接原因となる可能性のある系および機器は、その敷地および周辺地域において過去の記録を参照にして予測される自然条件のうち最も苛酷と思われる自然力に耐え得るような設計であること。

(2)安全上重大な事故が発生したとした場合、あるいは確実に原子炉を停止しなければならない場合のごとく、事故による結果を軽減もしくは抑制するために安全上重要かつ必須の系および機器は、その敷地および周辺地域において、過去の記録を参照にして予測される自然条件のうち最も苛酷と思われる自然力と事故荷重を加えた力に対し、当該設備の機能が保持できるような設計であること。

2.3 耐震設計

 原子炉施設は、その系および機器が地震により機能の喪失や破損を起こした場合の安全上の影響を考慮して重要度により適切に耐震設計上の区分がなされ、それぞれ重要度に応じた適切な設計であること。

7非常用電源

非常用電源設備は、単一動的機器の故障を仮定しても、工学的安全施設や安全保護系等の安全上重要かつ必須の設備が、所定の機能を果たすに十分な能力を有するもので、独立性および重複性を備えた設計であること。

 

(解説始まり)

2.2 敷地の自然条件に対する設計上の考慮

(1)の規定について(抜粋)
②「予測される自然条件」とは敷地の自然環境をもとに、地震、洪水、津浪、風(または台風)凍結、積雪等から適用されるものをいう。

③「自然条件のうち最も苛酷と思われる自然力」とは、対象となる自然条件に対応して、過去の記録の信頼性を考慮のうえ、少なくともこれを下まわらない苛酷なものを選定して設計基礎とすることをいう。

なお、自然条件のうちのそれぞれのものは、出現頻度、程度、継続時間等に関する過去の記録を参照にして設計上適切な余裕が考慮される場合には、必ずしも異種の自然条件を重畳して設計基礎とする必要はない。

(2)の規定について、

 ①「事故による結果を軽減もしくは抑制するために安全上重要かつ必須の系および機器」とは、例えば周辺公衆の安全確保のための最終防壁となる原子炉格納容器等をいう。

 ②「自然条件のうち最も苛酷と思われる自然力と事故荷重を加えた力」とは、例えば、原子炉格納容器に関して、地震力と原子炉冷却材喪失事故後の内圧による荷重を加算して設計検討を行なうことなどをいう。

③事故荷重の継続時間が短い場合には、必ずしも事故荷重と自然条件を重畳して設計基礎とする必要はない。

①  「単一動的機器の故障」の対象には、非常用内部電源設備では、これを構成するしゃ断器、制御回路の操作スイッチ、リレー、非常用発電機等のうちいずれか一つのものの不作動や故障をとるものとする。

②  「所定の機能を果たすに十分な能力を有するもの」とは、原子炉緊急停止系、工学的安全施設等の事故時の安全確保に必要な設備を、それぞれが必要な時期に要求される機能が発揮できるように作動させうるような容量を具備することをいう。

③  「独立性および重複性」とは、単一動的機器の故障を仮定した場合にも、要求される安全確保のための機能が害されることのないよう、非常用発電機を2台とするなどにより、十分な能力を有する系を2つ以上とし、かつ、一方が不作動となるような不利な状況下においても、他方に影響をおよぼさないように回路の分離、配置上の隔離などによる独立性の確保が設計基礎とされることをいう。

(解説終わり)

III 用語の定義

(8) 「単一故障」とは,単一の事象に起因して1つの機器が所定の安全上の機能を失うことをいい,単一の事象に起因して必然的に起こる多重故障を含む。

(10) 「多重性」とは,同一の機能を有する系が2つ以上あることをいう。

(11) 「独立性」とは,多重に設けた機器又は系統が設計上考慮する環境条件及び運転状態に対して共通要因又は従属要因によって同時に故障状態にならないことをいう。

 

 

IV 原子炉施設全般

指針1. 準拠規格及び基準

安全上重要な構築物,系統及び機器の設計,材料の選定,製作及び検査については,安全上適切と認められる規格及び基準によるものであること。

指針2. 自然現象に対する設計上の考慮

  1. 安全上重要な構築物,系統及び機器は,地震により機能の喪失や破損を起こした場合の安全上の影響を考慮して,重要度により耐震設計上の区分がなされるとともに,敷地及び周辺地域における過去の記録,現地調査等を参照して,最も適切と考えられる設計地震動に十分耐える設計であること。
  2. 安全上重要な構築物,系統及び機器は,地震以外の自然現象に対して,寿命期間を通じてそれらの安全機能を失うことなく,自然現象の影響に耐えるように,敷地及び周辺地域において過去の記録,現地調査等を参照して予想される自然現象のうち最も苛酷と考えられる自然力及びこれに事故荷重を適切に加えた力を考慮した設計であること。

指針3~7省略

指針8. 系統の単一故障

安全上重要な系統は,非常用所内電源系のみの運転下又は外部電源系のみの運転下で,単一故障を仮定しても,その系統の安全機能を失うことのない設計であること。

 

 

 

 

指針9. 電源喪失に対する設計上の考慮

原子力発電所は,短時間の全動力電源喪失に対して,原子炉を安全に停止し,かつ,停止後の冷却を確保できる設計であること。

  ただし,高度の信頼度が期待できる電源設備の機能喪失を同時に考慮する必要はない。

(解説始まり)

長期間にわたる電源喪失は、送電系統の復旧または非常用ディーゼル発電機の修復が期待できるので考慮する必要はない。

「高度の信頼度が期待できる」とは、非常用電源設備を常に稼動状態にしておいて、待機設備の起動不良の問題を回避するか、または信頼度の高い多数ユニットの独立電源設備が構内で運転されている場合等を意味する。

(解説終わり)

 

指針10~12省略

V 原子炉及び計測制御系

指針13~17省略

指針18電気系統

  1. 安全上重要な構築物,系統及び機器の安全機能を確保するために電源を必要とする場合には,必要な電源として外部電源系及び非常用所内電源系を有する設計であること。
  2. 外部電源系は,2回線以上の送電線により電力系統に接続される設計であること。
  3. 非常用所内電源系は,十分独立な系統とし,外部電源系の機能喪失時に,1つの系統が作動しないと仮定しても,次の事項を確実に行うのに十分な容量及び機能を有する設計であること。

(1)     運転時の異常な過渡変化時において,燃料の許容設計限界及び原子炉冷却材圧力バウンダリの設計条件を超えることなく原子炉を停止し冷却すること。

(2)     冷却材喪失等の事故時の炉心冷却を行い,かつ,格納容器の健全性並びにその他の安全上重要な系統及び機器の機能を確保すること。

4.安全上重要な電気系統は,系統の重要な部分の適切な定期的試験及び検査ができる設計であること。

 

III 用語の定義

(17) 「多重性」とは、同一の機能を有する同一の性質の系統又は機器が二つ以上ある ことをいう。

(18) 「多様性」とは、同一の機能を有する異なる性質の系統又は機器が二つ以上ある ことをいう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ⅳ.原子炉施設全般

指針1. 準拠規格及び基準

同左

 

 

 

 

指針2. 自然現象に対する設計上の考慮

同左

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指針3~10まで省略

但し、必ずしも同左でない。

指針8,9に相当する記載なし

 

 

Ⅴ.原子炉及び原子炉停止系

 

 

 

 

Ⅵ.原子炉冷却系

指針27電源喪失に対する設計上の考慮

原子炉施設は、短時間の全交流動力電源喪失に対して、原子炉を安全に停止し、 かつ、停止後の冷却を確保できる設計であること。

 

Ⅹ.計測制御系及び電気系統

指針48.電気系統

1. 重要度の特に高い安全機能を有する構築物、系統及び機器が、その機能を達成するために電源を必要とする場合においては、外部電源又は非常用所内電源のいずれ からも電力の供給を受けられる設計であること。

2.  外部電源系は、2回線以上の送電線により電力系統に接続された設計であること。

3. 非常用所内電源系は、多重性又は多様性及び独立性を有し、その系統を構成する 機器の単一故障を仮定しても次の各号に掲げる事項を確実に行うのに十分な容量 及び機能を有する設計であること

(1)、(2)同左

4.同左

(解説の始まり)

指針27電源喪失に対する設計上の考慮

長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又は非常用交流電源設備の 修復が期待できるので考慮する必要はない。

非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成又は運用(常に稼働状態にしておくこ となど)により、十分高い場合においては、設計上全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい。

(解説終わり)

 

 

 

 

 

 

 

第二条  この規則において使用する用語は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律 (以下「法」という。)において使用する用語の例による。

十七    「多重性」とは、同一の機能を有し、かつ、同一の構造、動作原理その他の性質を有する二以上の系統又は機器が同一の発電用原子炉施設に存在することをいう。
十八    「多様性」とは、同一の機能を有する二以上の系統又は機器が、 想定される環境条件及び運転状態において、 これらの構造、動作原理その他の性質が異なることにより、共通要因(二以上の 系統又は機器に同時に影響を及ぼすことによりその機能を失わせる要因をいう。以下同じ。)又は従属要因(単一の原因によって確実に系統又は機器に故障を発生させることとなる要因をいう。以下同じ。)によって同時にその機能が損なわれないことをいう。
十九    「独立性」とは、二以上の系統又は機器が、想定される環境条件及び運転状態において、物理的方法その他の方法によりそれぞれ互いに分離することにより、共通要因又は従属要因によって同時にその機能が損なわれないことをいう。

(解説始まり)

3   第2項第18号に規定する 「共通要因」 とは、 二つ以上の系統又は機器に同時に作用する要因であって、例えば環境の温度、湿度、圧力又は放射線等による影響因子、系統若しくは機器に供給され る電力、空気、油、冷却水等による影響因子及び地震、溢水又は
火災等の影響をいう。

(解説終わり)

(全交流動力電源喪失対策設備)

第十四条発電用原子炉施設には、全交流動力電源喪失時から重大事
故等に対処するために必要な電力の供給が交流動力電源設備から
開始されるまでの間、 発電用原子炉を安全に停止し、 かつ、 発電
用原子炉の停止後に炉心を冷却するための設備が動作するととも
に、 原子炉格納容器の健全性を確保するための設備が動作するこ
とができるよう、 これらの設備の動作に必要な容量を有する蓄電
池その他の設計基準事故に対処するための電源設備 (安全施設に
属するものに限る。 ) を設けなければならない。

 

 

(保安電源設備)

第三十三条  発電用原子炉施設には、全交流動力電源喪失時から重大事故等に対処するために必要な電力の供給が交流動力電源設備から開始されるまでの間、 発電用原子炉を安全に停止し、 かつ、 発電
用原子炉の停止後に炉心を冷却するための設備が動作するととも
に、 原子炉格納容器の健全性を確保するための設備が動作するこ
とができるよう、 これらの設備の動作に必要な容量を有する蓄電
池その他の設計基準事故に対処するための電源設備 (安全施設に
属するものに限る。 ) を設けなければならない。発電用原子炉施設は、重要安全施設がその機能を維持するために必要となる電力を当該重要安全施設に供給するため、 電力系統に連系したものでなければならない。

7非常用電源設備及びその附属設備は、多重性又は多様性を確保し
、 及び独立性を確保し、 その系統を構成する機械又は器具の単一
故障が発生した場合であっても、 運転時の異常な過渡変化時又は
設計基準事故時において工学的安全施設及び設計基準事故に対処
するための設備がその機能を確保するために十分な容量を有する
ものでなければならない。
(解釈)

第7項に規定する「十分な容量」とは、7日間の外部電源喪失を
仮定しても、非常用ディーゼル発電機等の連続運転により必要と
する電力を供給できることをいう。非常用ディーゼル発電機等の
燃料を貯蔵する設備(耐震重要度分類Sクラス)は、7日分の連
続運転に必要な容量以上を敷地内に貯蔵できるものであること。

(解釈終わり)

 

 

 

 

 

 

 

注記1

http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3533051/www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/1/si002.pdf

注記2

www.nsr.go.jp/data/000069150.pdf

注記3

http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V22/N06/197702V22N06.html

データ採取日2016/05/22


蓮池透著「私が愛した東京電力 福島第一原発の保守管理者として」

2016-05-23 09:46:34 | 読書録

拉致被害者蓮池薫氏の実兄で、東電で原子燃料サイクル部部長(「もんじゅ」以降の実証炉の計画を担当)を経て2009年東電を退社した蓮池透氏が3.11の事故に関連して何を述べるかを期待したが、なぜ、社内で安全神話が問われなかったの記述はなかった。

しかし、燃料サイクルは核ゴミ問題で行き詰まり、原子力は自滅の運命にあることを述べていることは、その関係者であった蓮池氏の言であり、重い。

勿論、北朝鮮による拉致についても、蓮池氏の考えが述べられている。

更に、原子力発電所の中の作業(計器保守等による被ばく)等、あるいは、東電本社の部長等の仕事が平易に説明されている。原子力に関する事実を知りたい人には一読の価値がある。

蓮池氏は生涯被曝線量100ミリシーベルトと言っているが、当ブロガーの経験から、下請け、孫請けの作業員、特に、被ばくを代償に給料を得ている汚染の除染作業を担当した作業員の被ばくは、その十倍は下らないだろう。

即ち、原発でのそのような作業は自分の命と引き替えなのである。

そして、除染とは、放射能物質で汚染した箇所の、一般的には除染し易いようにコーティング(緑色)された床の雑巾がけである。勿論、汚染している場所が目で確認できるわけではない。これが、最新の設備であるはずの原発の中での作業である。

 

また、下請け、孫請けの放射線管理責任者も、率先して汚染した高い放射能レベルの箇所へ行き、放射能レベルを確認し、除染計画を作成し、除染作業中は作業員へ適切な指示を出すので、場合によっては、除染作業員以上に多く被ばくする。

放射線管理責任者は、自己犠牲を厭わない、総じて責任感が強い人達であった。

福島第一原発の終息へ向け、率先して汚染区域へ入っているのはそのような放射線管理責任者の人達であろうことを心に止めよう。


福島原発の外部電源喪失についてー未解明、地震が原因の可能性が大

2016-05-21 10:56:04 | 原発

当ブログの「原子炉耐震設計審査指針をひもと(3)」で、外部電源および関連機器が福島の事故を経験した後でも、なお、最低の耐震性Cクラスのままであること、その不合理性を述べました。

しかし、その不合理性は、福島の事故における外部電源の喪失の原因を、真摯に検討していないこと、外部電源の喪失が津波ではなく、地震であった可能性が高いことにより、ますます大です。

このような、当然なすべきことをせずに、外部電源喪失の原因を調査せずに、自分達の望む方向に世の中を誘導しようとする東電に対しては、東電等の所有する情報を法的手段に訴え、差し押さえる必要がある。

東電の片棒を担ぐ、原因を調査せずに再稼働を推進しようとする原子力規制委員会をも糾弾すべきである。

例えば、国会事故調の調査員であった、弁護士伊東良徳氏は、福島の事故における外部電源の喪失の原因が地震である可能性が高いと下記で論証している。

https://www.iwanami.co.jp/kagaku/eKagaku_201403_Ito.pdf#search='%E5%A4%96%E9%83%A8%E9%9B%BB%E6%BA%90%E5%96%AA%E5%A4%B1%E6%99%82%E5%88%BB'

http://www.shomin-law.com/essayFukushimaSBO5.html

データ採取2016/05/21

その論証の要点は、

外部電源喪失時刻は3月11日15時37分以前であり(この点につき、東電は15時36分59秒とする*)、それに対し、第二波15時35分後の津波最大波の到達時刻が15時38分以降(最大波の観測証言も複数あるにもかかわらず、これに対し東電は写真資料を加工して発表している)と推定されることである。

一方、東電は第二波到達時刻15時35分前に非常用ディーゼル発電機が冠水すると主張する*。そうすると、電源喪失が冠水の2分後であることをどう説明するのか。

*東電資料:「福島第一原子力発電所1号機における電源喪失の調査・検討状況について」平成25年6月1日

http://www.tepco.co.jp/news/2013/images/130601b.pdf

なお、最大波が到達する前に、第二波到達の15時35分にモニタリング・ポイントの放射能レベル上昇等の未解明の事実が数々ある。

 


添田孝史著「原発と大津波 警告を葬った人々」ーーー3.11の国会事故調の調査員の報告

2016-05-20 10:01:21 | 原子力

 

原発と大津波 警告を葬った人々 (岩波新書)
クリエーター情報なし
岩波書店

東電および原発推進業界団体および規制側行政等々の広範囲の部分で、多数の作為的行動、無作為、責任を問われないような行為等々が、津波に関してだけであるが(添田氏は津波に関する調査員であるため)、詳細に記述されている。

余りにもの惨状に、内心の感情を抑えながら一ページを読み進むにも努力を要する。読むのがつらい本である。とても、内心の怒りを抑えながら一気に読み通すことは不可能であろう。

それでも、どのような無責任が原子力で罷り通ってきたかを本書によって知る必要は、ある。