原発は日本人にセットされた時限爆弾だ!

原発再稼動阻止のために、原発関連事項を整理して随時アップする。また、集団自衛権の行使の阻止のために同様に取り組みたい。

原子炉を認める全ての者は、将来世代に罪を犯していることを人間として恥じるべき

2016-06-26 10:11:50 | 原発

 

原子炉時限爆弾
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社

広く、日本の将来を背負う若者へ問いかける書である。

「次の大地震は必ず来る。すべての原発を即刻廃止せよ」(同書表紙の帯の言葉より)

3.11の事故以降、原発について危惧を抱いている人は、多いと思う。その危惧の裏付けとなる下記事実が、本書により次々に明らかになると思う。

冒頭、「本書は、この日本列島に住んでいるすべての人に、”日本はあと何年、ここに住んでいられるであろうか” との問いから始まる。その理由が詳細に説明されている。

ーーーー今までは、日本に神風が吹ており、3.11でも吹いたと想う。しかし、いつまで吹くのだろうか:当ブロガー私見ーーーー

日本列島の成り立ちから説き起こされる論述は、迫力がある。本ブログの代表写真にも使用させていただいている。日本人の心ある人、後世に責任を感じる人のバイブルとなる。

まず、3.11の前の、2010年8月25日発行の本書は、3.11のような事故が早晩発生することを予測している。

1日本列島について

ーーー何を考えるにも、まず、日本列島の成り立ちを知ることが必要であることを、地球的時間感覚で考えるべきことが実感させられる。ーーー

・日本列島は、4億年前から、中国大陸の沿岸に中国大陸の砂、泥、火山灰、熔岩等の堆積物で形成されつつあり、そこへ海底火山活動により造山運動が起こった(同書115~117ページ)。

これに対し、最終処分場をオンカロに決定したフィンランドは、20億年以前から存在する。

ーー地中処分の安全性は日本のそれより一桁も二桁も違うのである。日本で地中処分を考えることは論外ーーー

2400万~1200万年前に、海底火山による造山活動により、海底火山の火山灰が滞積し、岩石化し、グリーンタフ(大谷石に代表される緑色凝灰岩)地域が形成される(132ページ)。

ーーーー大谷石がどういう石かは、大谷石を塀に使っている人なら分かる。30年で風化し、ボロボロになる、始末の悪い、石と呼べない代物である。

更に、空洞を各所に含み、いくつかの空洞に海の粘土質の堆積物を含んでいる点でもとても石とは思えない。ーーーー

・日本列島の全体の形および位置は、今も激しく(海洋上を)動いている(131ページ)。

例えば、富士山は、現在の形になってから約一万年前の若い山である(142ページ)。伊豆半島は、200万~100万年前頃、フィリピン海プレート上の島が本州に衝突してできる。

この衝突による変動は今も続いており、(浜岡原発のある)御前崎の土台に大きな歪みと亀裂を刻み込んだ。東海大地震が起こった時に必ず動き出す断層の種となる(138ページ)。

また、太平洋プレートが1000kmの長さに亘り、年間10cm!!!、8000mの深さの日本海溝の下へ沈み込んでいる。そしてその太平洋プレートからの、中国大陸の方向へ押す圧力が日本列島に常に働いている。

ーーーこのことから、高レベル放射性廃棄物の地層処分も、数十万年の間、安全であり得る保証はない。地層の岩盤等が破壊され、廃棄物が露出する事態になるのではないかと思う。ーーーー

・その伊豆半島が本州に衝突する遙か前、600万~400万年前に太平洋からやって来て激突し、フォッサマグマ南部の地形をひん曲げた(160ページ)。

・約7000年前から4000年前の「縄文海進時代」に、六カ所再処理工場、柏崎刈羽原発、志賀原発および浜岡原発は海底だった(146,147ページ)。故に、豆腐の上の原発等である。

さらに、柏崎原発6,7号機は、岩盤と呼べないほど軟弱な地面で、人工岩盤を基礎としている(148ページ)。

2地震列島になぜ原発が林立したか(156ページ~)

・いわゆる御用学者と呼ばれる集団が「安全性の評価」を判断する国家権力者として振る舞い、どんなところであろうと原発の建設を認可してきた(157ページ)。その詳細が述べられている。

3.11で原発事故が発生すると何が起こるかが実証された。3.11は首の皮一枚で東北・関東地方を全滅させるまで至らずに留まった。

しかし、最も破壊的な事故となり得る、浜岡原発の地震による事故では、3.11より比較にならない事故となることをシミュレーション「原発震災で何が起こるかー大都市圏の崩壊」で激写している(94ページ)。

3原子力発電断末魔(202ページ~)

ーーー再処理、プルサーマルサイクル、高レベル放射性廃棄物処理の全てで行き詰まりであることを詳細に示している。

本ブログは、広瀬氏が提示した事実に基づき、それらを一介の技術者の視点から深掘り、あるいは、理解しようとするものです。 


原子炉耐震設計審査指針をひもとく(4-3)ー耐震設計、指針は原発が活断層上にあることも想定!!!

2016-06-12 12:40:52 | 原子力

各種耐震設計審査指針を理解するためにもそれらの比較表(1/6~6/6)を作成した。

地震学、地震工学に素人の当ブロガーが標記指針に抱いた疑問を提示し、自ら、その疑問について解を求めるよう努めたい。素人の疑問は、運が良ければ、的を射ることもあるであろう。

4-2.耐震設計のその3ー基準地震動について(当ブログの対比表(2/6)参照)

1.震源を特定せず策定する地震動 注1,2

(1)この区分の存在意義

策定の基礎となる震源、即ち、震源断層が不明な場合(下図において向かって左側の二つの場合、注1)があるからである。

つまり、原子炉耐震設計審査指針は、原発が地表に姿を現さない活断層上にあることを想定しているのである。 原発は活断層の上に建たないと思われているがそうではない。

当時の福田康夫首相が国会で、「地表地震断層が炉心を通らなければよい」(広瀬隆著「原子炉次元爆弾」166ページ)と答えているのは、この事実を認めているのである。

どうして、この事実に平然としていられるのだろうか。それは、以下の表に示すように、このタイプの地震動は原発へ甚大な地震動を発生させないという前提をおいているからであろう。しかし、過去のデータがそうであるから、将来もそうであるという保証は、常に動いている地球にあっては存在しない。

石橋克彦神戸大教授は、「指針の作成過程で、原発は大地震の震源の真上に造るべきでない趣旨を明記するよう主張したが、盛り込まれなかった。」と述懐される。注3

 注1

基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド 原子力規制委員会

http://www.nsr.go.jp/data/000050725.pdf’(平成26年6月6日時点、)
 
注2
震源を特定せず策定する地震動にかかる評価手引き JNRS-RE-2013-2045 (財)原子力安全機構

注3

「耐震指針改訂」に関する幻のコメント

http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/shishin_news060417.html'データ採取日2016/06/12

(2)策定の方法 注2

震源断層を特定できないことから、検討対象地震として観測記録を収集し、応答スペクトルを策定する。

①「地表地震断層が出現しない可能性がある地震(Mw6.5未満の地震)」は全国に共通に考慮されるべき地震であり、適切に選定する。

②「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」は地震の規模が推定出来ない(Mw6.5以上)についても検討を加え、必要に応じて選定する

③収集対象となる地震の例を下表に示す。

疑問1.Mw6.5未満の地震と以上の地震で取り扱いが違うことの説明が審査ガイド(注1)には無い。 

疑問2.他の、海洋プレート内等における震源を特定できない地震に対して、どう対処するのか規定が無い。


 


原子炉耐震設計審査指針をひもとく(1)ー指針作成以前に既に原子炉23基が建設等されていた!!!

2016-06-11 11:12:31 | 原子力

標記指針の時代による変遷および各種耐震設計審査指針を理解するためにもそれらの比較表(1/6~6/6)を作成した。

以下、地震工学に疎い、単なる機械技術者であった一人の感想を述べたい。

1.東海原発が1959年12月1日にゴーサインが出てから、指針らしいものが出来た昭和53年9月29日(1987年)の初期指針(当ブログの比較表(1/6~6/6)参照)が制定されるまで実に約20年の間、耐震設計審査無しで23基の原発が建設され、運転されていた。(出典:「原子炉時限爆弾」広瀬隆著)

東海第一のコルダーホール型、および実用軽水炉型では、初物の福島第一原発第1号機を初めとする23基である。これら23基は、自主耐震基準で建設されており、例えば、福島第一第1号機の耐震性はアメリカにおける耐震性の270ガルである。即ち、アメリカの実用型軽水炉の初物原発がそのままフルターンキー契約で日本内に導入された。

地震国の日本を考えない、まして唯一の被ばく国である日本に原子炉の建設を進めた日本社会、耐震指針の策定に思いを致さない無責任を放置する社会システム、経済を優先する安全思想等に大きな欠陥があると思う。

今なお、その日本社会の社会システム等の欠陥が存続しているように思う。それを示すのが、原子炉耐震設計審査指針であり、安倍首相の主導による集団自衛権関連法案の成立等々である。

23基の内、2016年5月現在で、下記13基が廃炉決定

東海第一は65~98年の33年間運転し、01年から解体作業に着手し、原子炉本体の解体は2024年までの予定、その他を含めると2025年までかかる。

このことから、通常の廃炉は、一基につき全体で約30年以上かかることが分かる。したがって、福島第一の30年~40年というのは大嘘。

溶融し不定形の燃料を取り出すだけでも100年近くかかるであろう。

3.11の事故で、福島第一第1~第4号の廃炉決定(2012年4月19日)、浜岡第1号、第2号の約30年に亘る運転後、廃炉決定(2008年12月22日)、敦賀第1号の廃炉決定(2015年3月17日)、美浜第1、第2号の廃炉決定(2015年3月17日)、島根第1号の廃炉決定(2015年4月30日)、伊方第1号の廃炉決定(2016年3月)、玄海第1号の廃炉決定((2015年4月27日

また、残るのは下記の10基である。

東海第二、福島第一第5,6号、福島第二第1号、美浜第3号、大飯第1,2号、高浜第1,2号、玄海2号

2.初期指針(昭和53年9月29日)以前は、「原子炉施設は、その系および機器が地震により機能の喪失や破損を起こした場合の安全上の影響を考慮して重要度により適切に耐震設計上の区分がなされ、それぞれ重要度に応じた適切な設計であること。」(昭和45年4月23日)という、原子炉安全審査の一環としての概念的規定のみであ。

3.しかも、新指針(平成18年)が制定される以前の日本の殆どの原発が、

「現在の地震学の二本柱となっている、①震源断層面のズレが地震の発生源、②プレートテクトニクス、の基本が確立される前の、日本の古い地震学 の思想を根拠にしたものである。(広瀬隆著「原子炉時限爆弾」159ページ)」耐震設計審査指針に沿い、建設され、稼動されている。

バックチェックは誠実に実施されているか疑わしい。


原子炉耐震設計審査指針をひもとく(4-2)ー耐震設計(基準地震動)

2016-06-10 20:19:49 | 原子力

各種耐震設計審査指針を理解するためにもそれらの比較表(1/6~6/6)を作成した。

地震学、地震工学に素人の当ブロガーが標記指針に抱いた疑問を提示し、自ら、その疑問について解を求めるよう努めたい。素人の疑問は、運が良ければ、的を射ることもあるであろう。

4-2.耐震設計のその2ー基準地震動について(当ブログの対比表(2/6)参照)

標記指針の最も重要な部分で、これからが佳境である。主として、新指針(平成18年)および新規制基準(平成25年)について述べたい。

(1)原子力発電所が耐えなければならない基準地震動Ss

基準地震動は、「震源を特定して策定する地震動」および「震源を特定せず策定する地震動」」について、それぞれ解放基盤表面における水平方向鉛直方向の地震動として策定されていること。注1

基準地震動を策定する構造を下表に示す。

 種別

基準地震動の種類

基準地震動の策定

       具体的策定方法

旧指針(昭和56年)

(断層等から想定可能な地震動)

震源を特定する基準地震動

敷地周辺の活断層の性質、過去及び現在の地震発生状況等を考慮(検討用地震)

検討用地震ごとに、次に示す

i)の応答スぺクトルに基づく地震動評価及びii) の断層モデルを用いた手法

応答スペクトルについて超過確率を安全審査において参照する

従来は、応答スペクトル法のみ

(想定できない地震動)

震源を特定しない基準地震動

震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内の地震。全ての申請において共通的に考慮すべき地震動と意味づけたものである。注1

これらを基に敷地の地盤物性を加味した応答スぺクトルを設定。

応答スペクトルについて超過確率を安全審査において参照する

直下地震としてマグニチュード6.5を採用

(非常に想定が困難な巨大地震動)

残余のリスク

注1

 

施設の設計に当たっては、 策定された地震動を上回る地震動が生起する可能性に対して適切な考慮を払い、 基本設計の段階のみならず、 それ以降の段階も含めて、この「残余のリスク」の存在を十分認識・しっっ、それを合理的に実行可能な限り小さくするための努力が払われるべきである。と理念的に規定するのみ。

暫定的に、確率的地震安全評価を推奨している。

これに相当する規定はなし

また、基準地震動に係る審査フローは下図(注1)に示される。

注記1

基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド

https://www.nsr.go.jp/data/000050755.pdf

①旧指針(昭和56年)との大きな違いは、

・地震動を基準地震動Ssの一種類にしたこと。

・震源を特定できるか、特定できないかでその策定方法をそれぞれ定めたこと。

・「震源を特定せず策定する地震動」、即ち、震源が想定できない地震動(例えば、直下型地震動)について、その策定方法を定めたこと。

・巨大地震の発生を残余リスクとして基準地震動策定の一項目としたことである。

残余のリスクの評価手法が定着していないことから理念的規定になった。このような耐震基準に、日本人の命が掛かっているのである。

②地震動策定の基本的姿勢

a.地震動は、物理の法則の如く、一定の原理にしたがって、決定(策定)されるものでないことを心に止めたい。

少ない現実の地震動の計測値を何とか使いものになるようにまとめた評価手法(応答スペクトル、断層モデル手法)により決定されるのである。

しかも、当然であるが、原発が実際に受ける地震が評価手法通りになるとは限らないのである。また、原発設置許可申請時の推測地震動と、設置後の実際値のバックチェックは行われないのである。

さらに、当ブロガーが常々不思議に思うのは、なぜ、地震に弱いと推測される原子炉の各部分の、地震により実際に掛かる応力を、および相対変位が大きいであろう箇所間の相対変位を測定する計器を設置し、測定しないのかである。 測定することが、原子力発電のような巨大技術を利用する正しい態度ではないか。

b.当然のことながら、評価手法の元データが得られた観測地と原発の設置地とは地下構造が違うので、それを何とか補正して観測地のデータを使用している。

そこで補正上の不確かさが基礎データに入り込む。その補正の検証も事後に行われないのである。補正のために、「解放基盤表面」等の概念を用いているがその辺のことは割愛する。(一言、「解放基盤表面」とは、原発がその上に乗る面ではなく、仮想の面である。)

③震源を特定する地震動

a.震源をなんの疑いもなく活断層としている。活断層は、過去の地震の結果物と考えるのが正しい。

したがって、岩盤の上にあるからと言っても、その岩盤が引き裂かれ、原子力発電所が岩盤上でひっくり返らないという保証は無い。

そもそも地震国の日本に原発は設置できないのである。

b.活断層を後期更新世以降(約13万年前に始まる最終間氷期以降)の活動が否定できない断層と値切って、地震動の過小評価を意図している。

なお、新規制基準(平成25年)では、明確でない場合は中期更新世以降(約40万年前以降)まで遡るとする。

国土地理院は、(第四紀(260万年前以後)中に活動した証拠のある断層すべてを「活断層」と呼ぶこともあります)。と言う。

c.震源を特定せず策定する地震動とで、原発が耐えなければならない基準地震動を決定する。残余のリスクは、審査の対象とせず、確認事項とした。

応答スペクトル法、断層モデル法は、地震記録データのある地震に適合するように、統計的あるいはコンピュータ的に整理したものである。

したがって、今後、この手法では誤差が大きい地震の発生が生起しないという保証がなく、また、最大地震動を想定するものでなく、地震動のばらつきを提示するものでもない。

なお、震源が原発の敷地に近い場合には、断層モデル法が推奨されている。

d.「応力スペクトル」は、地震の特性を表すグラフをいい、具体的には、「原子力発電震設計門部会」と言う部会が、20年間に収集された地震観測記録を基に、その名前をとった「耐専スペクトル」に原発の地域特性を入れて補正したものをいう。注2

耐専スペクトルは、十数年前に作られた、国内の観測記録に基づき地震規模と距離から地震動を推定する方法である。注3

距離と地震動の関係式である距離減衰式に、大変問題のある、1975年に作成された、したがって、約50年前に製作された松田式を採用する(その詳細は、広瀬隆著「原子炉爆弾」のA9~A13ページ参照)。

更に、耐専スペクトルは、最近約20年間の、阪神大震災(1995年)以降、全国に強震観測計が設置され、記録された多くの震源近くの観測記録が反映されていない。

基礎になった観測地震44個の内、プレート境界地震が38個で、内陸内地殻地震は12個にすぎない。注4

大阪府立大名誉教授長沢啓行氏は、耐専スペクトルは、過去の地震観測記録から推定される地震動の平均像を求めている。平均像なので、用いられた観測記録は上側に2倍以上のバラツキ(偶然変動)がある。耐専スペクトル自体を最新データで抜本的に作り替えた上で、バラツキを考慮した安全側への評価が必要だ。と説く。注3

耐専スペクトルと実測値の解離を、一例として、下図(注4)に示す。実測値が1以上~約10になることに注目して欲しい

注記2

http://monogusa-fumifumi.cocolog-shizuoka.com/blog/2014/06/post-cefc.htmlデータ採取日2016/06/04

注記3

http://mainichi.jp/articles/20160308/ddl/k46/040/285000cデータ採取日2016/06/05

注記4

http://www.nonukesshiga.jp/wp-content/uploads/68575f238876499ae3808062bdd51079.pdf'データ採取日2016/06/05

・地震動の強度を何を単位に表すかは、構造物の種類により異なり、固有周期が0.2秒~0.4秒の原子力発電所は加速度(ガル)を採用する。他に、速度(カイン)、震度等の単位がある。

また、重力は980ガルである。即ち、地震動の上向き加速度が980ガルを超えると、地上の物体(原発を含め)は、浮き、そして同時に地震動の水平方向加速度が作用すれば、地上の物体(原発を含め)は転倒するおそれがある(広瀬隆著「原子炉次元爆弾」172ページ参照)。

このような事態は、安全性設計審査指針ですら想定していないが、考えられることである。

なお、放射線源の放射能強度に相当する、地震の規模は、一つの地震につき気象庁マグニチュードMと地震モーメントマグニチュードMwが公表される。

例えば、3.11の地震は、8.4Mであり、9.0Mwである。

e.断層モデルは、震源となる断層を長方形にモデル化し、コンピューターでシミュレーション計算をする。注3

この手法において、震源断層の地震モーメントを基礎物理量とする。なお、地震モーメントと関連するのがモーメントマグニチュードMwである。注6

活断層の長さ(あるいは断面積)を基礎としており、しかも、地震発生前に使用できるのは、地表断層の情報であって、地震モーメントの過小評価、地震の過小評価の可能性が高いのである(東大、島崎邦彦:活断層の長さから推定する地震モーメント注5)。

 注記5

Japan Geoscience Union Meeting 2015、会場A04、5月28日

 注記6

断層のモデル化:内閣府、防災情報のページ

http://www.bousai.go.jp/jishin/chubu_kinki/syousai/pdf/sankousiryou2.pdf'データ採取日2016/06/05


日本社会に蔓延する無責任

2016-06-09 10:36:13 | 雑感

特に、原子力村に色濃く立ちこめる無責任はなぜ、蔓延しているのか。

昔は、恥の文化があったのに、いつ頃その文化が霧消したのか。

ここで、日光東照宮の「見ざる、聞かざる、言わざる」(一説に、孔子の論語に由来するとされる)は、その無責任を表現しているのではと曲解されがちであるが、真意は全く逆で、道徳・倫理を説くものである。

下記の文言は、詩人、宮澤章二の詩集「行為の意味」の中の日常風景の一部であるが、無責任を表現しているのではないか。無責任とは、「どっきと」しないことである。

見えるものさえ見ない 怠慢
うっかりしていて気づかない 不注意 
知り得ることさえ知らない 無気力
ーーーーその恐さにどっきとする瞬間がある