脱穀が終わりしばらくすると、あっちこっちの田んぼでは、籾殻を焼く煙で山間の村は霞がかかったようになる。
畑の芋の子(サトイモ)の収穫も終わり、農家の人たちは冬支度に入る。
紅葉も終わりかけたころ、学校から帰ってきた近所の子達が競って拾いに行くのは、神社にドンと鎮守している大銀杏(直径2mはある大木)から落ちた銀杏の実。
まだ、皮が付いているので、持って帰って1週間ほど畑の土の中で腐らせる。
皮が腐ったら、今度はタナゲ(池)で水洗いし乾燥させるのだが、皮には大量の油分が含まれているので、イケの表面が油膜を張ったようになるものだった。
プラス、かなりキツイウンチ臭。鼻をつまみたくなるくらいだが、冬場の子供たちの大事なおやつである。
ひたすら我慢で洗ったものだ。
この大銀杏は、実が落ちたあとは、子供たちの格好の遊び場であった。
みんな、どれだけ高いと頃まで上れるかを競ったりもした。
天辺近くまで上ると、私達の集落が一望できて気持ちが良かったのを覚えている。