このオリジナル曲を歌っていたゲイリー・グリッターと言う歌手は派手なパフォーマンスで有名で、晩年のエルビス・プレスリーにも似た風貌で今見ると笑えるが、実はイギリス人。でも、やっぱり何故かこの曲自体は“王道アメリカン”ロックと言った印象がかなり強い。まさに、ハイスクールで金髪美女のチアリーダーたちが、この曲をバックに踊るイメージがすぐに思い浮かんでしまうような曲だ。
そんなグラムロックの名曲が、このほど映画『ジョーカー』のとても重要なシーンで使われ、久々に大きな話題となっている。『ジョーカー』に就いては先日ブログで取り上げたばかりだが、この映画で、完全に悪の化身となったジョーカーが、階段でダンスを踊るシーンに、この『Rock N’ Roll No.2』が使用されたことで、このシーンがより印象深いものとなり、強烈な爪痕を残した。映像と音楽の見事な融合により、映画史上新たな名シーンとして記憶に残ると思われるほどの印象的なシーンがここに誕生したのだ。
しかし、この曲を作ったゲイリー・グリッターは、私生活では問題だらけの人物で、児童性的虐待などを繰り返し、16年の禁固刑を言い渡された筋金入りの犯罪者と化してしまった。そんなゲイリー・グリッターの曲を、悪の化身となってしまったジョーカーの誕生シーンに使われているのは、何とも巧みな比喩であり、映画製作陣の隠し味はまさに見事としか言いようがない。僕も『Rock N' Roll Part 2』をダウンロードして、久々に最近頻繁に聴いてしまっているが、改めて聴くと、ジョーカー同様何とも不思議な魔力のある曲である。
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