blue deco design lab

いったい東京に何が起こったのか!?

先日、久しぶりに刺激的な画集に巡り合った。

僕はアートが好きなので本屋で良く画集などをチェックしているが、『東京幻想作品集II』という画集が目に止まり、衝動買いしてしまった。

一瞬、アニメなどの画集かと思ったのだが、良く見てみると、描かれている不思議な世界は東京だが、完全に水没した、変わり果てた東京の姿がそこにあった。サブタイトルを見てみると、『かつて東京と呼ばれた場所へー』と書かれている。なるほど、かなり面白いコンセプトの画集である。

東京幻想とは画集のタイトルかと思いきや、どうやら作者の名前が東京幻想らしい。2008年頃から活動を開始したアーティストらしく、僕が知らなかっただけで、結構色々なイベントやメディアで既に大きな話題となっているアーティストらしい。そして今回は作品集IIだか、2020年に最初の『東京幻想作品集』が発売され、今回は2作目の画集であった。

まずは東京の街の描写がとても美しい。渋谷や新宿など東京の様々な街をリアルに描きながら、そこにはかつて大都市として栄えた面影を残しつつ、今は水没し、無人で廃墟と化した世界が広がっている。いったい何年先の未来が描かれているのだろうか?そしていったい、東京に何が起こったのだろうか?人間が全く描かれず、登場するのはビルを覆った植物、そして動物。恐竜などが確認出来る絵もある。廃墟になった上野駅にはなぜかパンダだけが生存している(笑)。

それにしてもいったいなんでこんなことになってしまったのか、人間はどうなってしまったのかなど色々と想像を膨らませてしまう、そんな不思議な魅力を持つ画集である。

画集の中で、僕が気に入った絵はたくさんあったが、中でも表紙にもなっているスカイツリーはインパクト大だ。蔦に覆われたスカイツリーの展望スペースは何故か小さな池になっており、そこにこれまた何故かくじらが住んでいるように見える。しかし、同じ画集には骨だけになって水に浮いているくじらの絵などもあり、同じ画集の中でも時間の経過が語られていたりする。

他には僕の住むたまプラーザ駅も描かれており、リアルな駅との対比で見ると面白いし、とても良く描けている。

渋谷の宮下パーク前には巨大生物の骨が横たわっていたり、アクアラインが水路のようになっており、ここにもくじらの親子が泳いでいたりする。完全に海と化した神宮球場など、変わり果てた東京の様々な景色が描かれている。

この画集をじっくり見て、久しぶりに刺激を受けた画集となったが、まるで水没して人類が滅びた東京を訪れた宇宙人かのような感覚でこの画集を見てしまう。そしてこの画集を見て抱いた感想として、人間が滅びたとしても、水がある限り、地球に様々な生物は生き続けるだろうし、ビルを覆う植物を見て、植物の生命力の凄さというものを改めて感じずにはいられなかった。元々植物が支配していた地球を、我々人間が借りて共存させて貰っているだけなのだ。その意味で植物なもっともっと長い時間軸でたくましく生きていることを改めて痛感した。

そして東京に何があったかは別として、かつて東京であった場所が廃墟と化した美しさというのも見事に描かれている。自然の前で文明なんてものはちっぽけな存在なのかもと思わせてくれるが、また世界が愚かな戦争に一歩ずつ近づき、地球の環境破壊が続くこの世の中で、今の時代だからこそ改めて色々と考えさせられた、そんな画集であった。

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