人気バンドOfficial髭男dismのニューアルバム、『Rejoice』が7月24日から配信リリースを開始した。前作『Editorial』以来、3年ぶりのオリジナルアルバムである。「ミックスナッツ」「Subtitle」といったヒットシングル曲を筆頭に、「Anarchy」のアルバムバージョンや新曲といったアルバム曲も多数収録した、全16曲の大作である。主題歌やCMタイアップ曲が9曲も収録されている点で、普段から耳にする馴染みのある曲も多いのではないだろうか?
最近ジャズやK POP、昭和歌謡を中心に聴いていたので、何だか久しぶりに王道の令和J POPアルバムを聴いた思いだが、でもこのアルバム、どこか懐かしいサウンドもあり、とても耳障りが良く、最高に気持ちの良いアルバムである。
「Pretender」等、これまでの彼らの大ヒット曲で聴かせてくれた何とも美しい旋律、見事な歌唱力、そして共感を呼ぶ歌詞が結実した唯一無二のバンドサウンドは、新作でも健在。健在どころか、更なる進化を遂げているように感じられ、ニューアルバム『Rejoice』も充実した、豪華な内容となっている。
『Rejoice』に収録されているのは下記16曲。
- Finder
- Get Back To人生
- ミックスナッツ (TVアニメ『SPY×FAMILY』オープニング主題歌)
- SOULSOUP (『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』主題歌)
- キャッチボール
- 日常 (日本テレビ「news zero」テーマソング)
- I’m Home (Interlude)
- Sharon (フジテレビ系月10ドラマ『マウンテンドクター』主題歌)
- 濁点
- Subtitle (フジテレビ系木曜劇場『silent』主題歌)
- Anarchy (Rejoice Ver.) (映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』主題歌のアルバムバージョン)
- ホワイトノイズ (TVアニメ『東京リベンジャーズ 聖夜決戦編・天竺編』オープニング主題歌)
- うらみつらみきわみ
- Chessboard (第90回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲)
- TATOO (TBS系金曜ドラマ『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』主題歌)
- B-Side Blues (キリン『午後の紅茶』書き下ろしCMソング)
曲数は多いものの、どの曲も甲乙つけがたい名曲揃い。捨て曲が全くないといった印象だ。またアルバムの入り方や、全体の構成もなかなか良く出来ており、アルバムとして通しで聴いていて耳馴染みの良い、心地の良いアルバムとなっていると感じた。そして、全ての曲に明確な“髭男印“があり、さすが髭男らしい至極のポップスが展開されているアルバムである。
この16曲の中で、やっぱり一番の感動はドラマ『Silent』の主題歌として大ヒットした『Subtitle』だろう。明るく軽快なポップスが多い彼らの曲の中では、ミディアムバラードに徹したサウンドで、新境地を切り開いたのではないかと思う。この曲を聴くと、ドラマの様々なシーンを思い出してついつい感動してしまう。
『ミックスナッツ』もシングルとして大ヒットした曲で、TVアニメ『SPY×FAMILY』オープニング主題歌だが、このポップで軽快さがまさに彼らのトレードマークである。『SOULSOUP』も『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』主題歌としてタイアップがあり、とても心地良いサウンド。最新曲『Sharon』は、現在フジテレビ系月10ドラマとして放送中の『マウンテンドクター』主題歌となっているが、これまた期待を裏切らない、極上の髭男サウンドとなっている。
シングル曲以外で特にお気に入りなのが、2曲目の『Get Back To 人生』。洗練されたシティポップ的なサウンドはどこか懐かしく、上手く現代風に昇華しているところが秀逸で印象的だ。また、11曲目の『Anarchy』もかなり巧みで美しい曲だ。ノリノリのサウンドで始まるも、サビに差し掛かるところで絶妙に音程が転調しながら伸びあがる見事なボーカルが印象的。更にはサビの後に、いきなりロックバンドサウンドとコーラスに変化し、まるで違う感じの壮大なスケールの曲となる。でも、最後は元のサビに戻って回収していくという巧妙にして独特な構成。Queenの『ボヘミアンラプソディー』みたいな感覚が面白い。
12曲目の『ホワイトノイズ』もなかなか疾走感のある良い曲だ。全体的に青春ソング的な爽やかさで展開されるのだが、時折入るスリリングなストリングスがかなり効果的なアクセントとして効いている。ラストの『B-Side Blues』は希望に満ちた夜明けの美しい海を思い浮かべてしまうが、穏やかながらスケール感のある曲でアルバムは締めくくられる。
久々に人気J POPアルバムをしっかり観賞したが、やっぱり髭男のサウンドは癒される。藤原聡あの美しいハイトーンボイスで繰り広げられる世界観はとても心地良く、シングルそれぞれもいいのだが、アルバム全体としても聴きたくなる作品であった。これから暫くヘビロテで楽しみたいと思う。