『ブラックアルバム』は、元々1987年にリリースされたヒットアルバム『Sign ☮ The Times』の後にリリースされる予定であったが、何故かお蔵入りになってしまい、結局プリンスのヌードジャケットで話題を呼んだ『Lovesexy』に差し替えられてしまった(すぐアルバムレベルで差し替えられるほど、プリンスは大量の楽曲ストックがあるのが凄い!)。
しかしこの『ブラックアルバム』、リリースまで予定されていてプロモーションまでスタートしていたにも関わらず発売中止になったことで、その後多くのブートレグ(海賊版)が出回り、多くのプリンスファンが手にしたという前代未聞のアルバムとして当時話題を呼んだ。僕も確か当時海賊版のようなCDをどこかで購入した記憶がある。しかし、その後正式に期間限定ながらも7年後の1994年にリリースされたのだ。
それにしても、黒一色で、全く何も字やイラストも書かれていないジャケットの『ブラックアルバム』は、ビートルズの『ホワイトアルバム』並みに音楽史上でもインパクトのある作品だ。そしてその中身もファンク一色で、他のプリンス作品に比べても異彩を放っているのだ。僕も久々にこの『ブラックアルバム』をじっくり試聴してみたが、改めて今聴くと、当時とは違った味わい深さがあると感じた。
『ブラックアルバム』の収録曲は潔い下記8曲。
1) Le Grind
2) Cindy C
3) Dead on It
4) When 2R In Love
5) Bob George
6) Superfunkycalifragisexy
7) 2 Nigs United 4 West Compton
8) Rockhard in a Funky Place
まずは、バラードの名曲である『When 2R In Love』を除き、どの曲もファンクしまくっており、まさにノリノリなパーティーアルバムに仕上がっている。僕はファンキーなプリンスの曲が特に好きなので、ファンクアルバムとしての『ブラックアルバム』の素晴らしさを再認識してしまった。一般的に言われているのが、単にファンキーでノリノリなのではなく、割と歌詞の内容が怒りと狂気に満ちているとの評が多いのだが、改めて聴いてみるとそんなに怒りばっかりが前面に出ているわけではない気もする。当時プリンスはこの怒りに満ちたアルバムをそのままリリースしてしまうことを躊躇って、急遽発売中止にしたとも言われており、平和と愛に満ちた『Lovesexy』に置き換えたことからも、有力な説だが、時は流れ、今改めて『ブラックアルバム』を聴いてみると、そこまで過激と言えるものでも無い気もするから、また時を超えて『ブラックアルバム』を違った視点で聴くことが出来た。
アルバムは何とも変態的でファンキーなパーティーソング、『Le Grind』で幕を開ける。そして、2曲目の『Cindy C』は、あのスーパーモデル、シンディークロフォードへの求愛を歌った曲としても有名だが、この曲もかなり強烈なファンク。最初は“シンディー、僕と遊ぼうよ“と軽快なビートで曲が進行して行くが、後半は少し異常者のような叫びとなってかなり浮「。
『Dead on It』はプリンスのラップが楽しめるし、『Superfunkycalifragisexy』は、メリー・ャsンズをもじっているタイトルで、プリンス流のファンクが炸裂する。『2 Nigs United 4 West Compton』はちょっとジャズ的なインスト曲で、スラップ・ベースがとてもクールでカッコいい曲だ。ラストの『Rockhard in a Funky Place』は心地良いミディアムファンクだが、プリンスのギターソロがカッコいいのだ。
5曲めの『Bob George』はこのアルバムの中で一番”ヤバイ”曲だ。浮気している奥さんを問い詰め、最後は銃撃してしまう歌詞(というか、セリフ?)はかなり狂気に満ちた内容で、恐らく『ブラックアルバム』の狂気の印象は、この曲による影響が大きい。ただ、あのカニエ・ウェストの名曲、『Gold Digger』にも似た、ちょっとコミカルなビートが、過激な歌詞と対照的でかなり面白い。『Gold Digger』もこの曲に影響を受けたのではないかと思ってしまう。
唯一アルバムでファンクでは無いのが、『When 2R In Love』。プリンスのバラードらしい美しくエロティックな名曲だが、結局この曲は『Lovesexy』にも収録された。
やっぱりプリンスの曲は奥が深いし、亡くなった今でもニューアルバムがリリースされるが、過去の作品も改めて視聴してみると新たな発見があったり、プリンス流の一流ファンクの素晴らしさを再発見出来たりするので、ついついハマってしまう。プリンスはデビュー当初からファンキーな曲を多く出しており、彼独特のファンクはまさにトレードマークになった。アルバムに1,2曲優れたファンクが入っていることは多いが、『ブラックアルバム』のようにアルバム全てがファンクで塗り固められている作品も少ない。一番近いのは、『バットマン』のサントラアルバムだろう。
『ブラックアルバム』も改めて聴いてみると、そのクオリティーの高さにも驚かされるが、最高のファンクアルバムとして、久々に車でのヘビロテとなっている。
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