そんなフュージョンというジャンルだが、何だかすっかり“おじさん”のノスタルジーを訴求するだけの音楽になってしまったかと思っていたが、実は若いフュージョンバンドも登場していると聞いて驚いたのと同時に、フュージョンも継承されているんだということを確認し、何だか嬉しくもあった。そして僕が衝撃を受けた若いフュージョンバンドが、Dezolveというバンドだ。2014年に結成され、当初は北川翔也(25歳、ギター)、友田ジュン(27歳、キーボード)、小栢伸五(ベース)、山本真央樹(29歳、ドラム)の4人編成であったが、ベースの小栢が抜け、現在は3名。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/8f/dd158a230dc1c3a28d2a02f7554ad694.jpg)
3名ともまだ20代という若いミュージシャンだが、アルバムを聴くと、何とも素晴らしい演奏テクニックを持っていることに驚かされる。圧涛Iな演奏のキレ味は熟練のミュージシャンでもなかなか出せないクオリティーだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/fb/a6b7e28a628e73df5296ece1ecc491b5.jpg)
コロナ感染の拡大が始まる直前の昨年2月にリリースされた5枚目のアルバム、『Frontiers』から彼らの音楽に触れたのだが、このアルバムは聴く者を飽きさせない見事な構成で、濃淡を見事に付けた楽曲たちでこれでもかと畳みかける。その高いテクニックにも驚かされるが、どこか懐かしいT-Squareかのようなフュージョンは、僕のようなおじさんも、そして昔のフュージョンを知らない若者も満足させるものだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/c6/e98084878e8f83774778bbc7303998ce.jpg)
『Frontiers』の収録曲は下記の通り全13曲。
1) Asterisk
2) Frontiers
3) Re:Fruition (feat.やなぎなぎ)
4) Across the Silkroad
5) Wolf
6) A Day in the Sunlight
7) Hidden Sanctuary
8) Sky Dream
9) Rondo Without Answer
10)Solitary Ghost
11)Blue Frame
12)Memories
13)Re: Fruition (Instrumental)
3曲目は、アニソン歌手であるやなぎなぎが歌うボーカル曲だが、それ以外は完全なインストルメンタル曲。オープニングの『Asterisk』はスケール感が大きく、キャッチーな曲。ギターがメインにフィーチャーされており、いまどきのフュージョンだ。そして驚くべきは2曲目の『Frontiers』。めまぐるしくテンモェ変化する曲で、僕の好きな『Kindo』というバンドの曲にも似た、テクニックを駆使した1曲。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/ef/b07a447486914cffca0267a585aadd68.jpg)
あと個人的に印象的だったのは、5曲目の『Wolf』。シンセの何とも言えない一瞬不安定なメロディーがだんだんと心地良くなる。8曲目の『Sky Dream』は、とてもJazzyな魅力的な曲。10曲目『Solitary Ghost』というタイトルの通り、孤独な幽霊の悲哀を奏でた傑作。サビのメロディーとベースの進行が幽霊らしさを見事に表現したかと思えば、後半はとても美しいピアノが加わって行く。また、このアルバムで感動的だったのは、11曲目の『Blue Frame』。まさに往年のT-Squareを思い起こさせる見事なフュージョンギターの傑作。実に多彩でカラフルな内容の全13曲であった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/31/85d32318ad6f48297728ea1e6377ee90.jpg)
Dezolveにハマってから過去のアルバムに遡って、セカンドアルバムの『Sphere』も購入して最近聴いているが、こちらは『Frontiers』ほどの“多彩さ“はないが、むしろ王道のフュージョンを、誠実に演奏しているアルバムとなっており、ギターやシンセの使い方、夏を連想するメロディーが、より往年T-Squareや角松敏生を思い起こさせる見事なアルバムとなっている。また、アルバム全体としての統一感もあり、ドライブミュージックには最適な、何とも心地良い1枚だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/c3/0b6dacd2626fa5c296331c949fe8e38f.jpg)
若き音楽的才能を余すことなく注ぎ込んだフュージョンバンド、Dezolve。70-80年代に大ヒットしたフュージョンというジャンルをしっかりと継承しながら、しっかりと新しいアイディアも盛り込み、フュージョンを進化させている実力派バンドの登場は嬉しい限りである。