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芦川いづみ祭り2024 第6弾! 『太陽が大好き』

今年のこのシリーズは早くも第6弾となったが、今回観賞したのは、1966年の日活映画、『太陽が大好き』である。これは浜田光夫と太田雅子 (のちに梶芽衣子に改名)の青春映画になっており、芦川いづみは2番手くらいの配役だ。

1966年の公開作ながらモノクロ作品で、しかも閉山となった鉱山町を舞台にした青春映画。時代を感じるし、全体的に設定が暗いので、観ていて楽しい雰囲気の映画ではない。はっきり言ってかなり地味である。ただし、観賞した結論として、個人的な収穫は、まだデビュー間もない太田雅子の初々しい可愛らしさと活きのいい演技が好印象だったのと、やっぱり地味な作品の中にもその美しさで映画に花を添える芦川いづみの存在感は見事と言える作品であった。

この時代、浜田光夫は吉永小百合と共演した青春映画が大半を占めていた人気スター。僕の好きだった裕次郎や、それまでの日活俳優に比べると結構線が細く、イマイチ男らしさにかける俳優であったが、やはり時代は草食系男子に向かって舵を切っていたのか、当時浜田光夫はとても人気があったらしい。また本作は太田雅子がヒロインだが、本当にその見事な初々しさを確認するだけでも、観る価値のある映画かもしれない。太田雅子は第二の吉永小百合として売り出そうしたようだが、ちょっとスタッフとの折り合いがよくない出来事などもあって生意気という風に取られ、この後脇役などに回されてしまうが、70年代に入ってから、東映に移籍して大きな飛躍を遂げるので、ご心配なく(笑)。

物語は、閉山に追い込まれた鉱山町に住む男女と、その2人を取り巻く家族や町の住人の物語だ。今でこそあまりイメージ出来ないが、鉱山が日本中に建設されたいた昭和の高度成長期は、鉱山町が日本全国様々な地域に出来て、それぞれが一つの町を形成し、作業員とその家族の生活がそこにあった。しかし、鉱山事業が一定の役割を終えると、残念ながら町も閉鎖され、そこに住む人々にも大きな影響を及ぼす。そんな切ない環境で、懸命に閉山反対運動を行う若いカップルの青春と周りの人間模様を捉えた物語だ。

(ストーリー)

竹山栄子(太田雅子)の住む鉱山町は閉山以来さびれる一方だった。父久吉と兄多吉郎は失業し、栄子は夜学に通うかたわら、アルバイトをして生計を助けていた。また同じ長屋に住む松下宏(浜田光夫)は、組合の書記長多吉郎と共に、閉山反対運動に狂奔していた。だが二人の努力もむなしく、争議は仲間割れをひきおこして失敗した。そんな多吉郎をそっとなぐさめるのは。密かに多吉郎に想いをよせる、染色工場の工員さち子(芦川いづみ)であった。一方宏の父勝太郎は、毎日酒やバクチに明け暮れ、とうとう不況にいたたまれず、町を捨てて出ていくことになった。だが宏にとって、恋する栄子を残して町を出ていくことは何にもましてつらいことだった。そんな時、宏は栄子から「明日を信じなければ、進歩も発展もないわ」と激励され、鉱夫という小さなカラにおさまっている自分の間違いに気付き、高校進字を決心した。それにはまず父親をときふせなければならない。宏は、勝太郎にサイコロを差し出し、自らの運命を賭けて勝負を挑んだ。勝負の目は宏の勝ちと出て、次の日から宏は仕事を探しに町中を歩き廻った。そしてさち子の世話で、染色工場の就職が決まった。一方の多吉郎も久吉もさち子の必死の奔走で就職が決った。宏は栄子とのスイート・ホームを夢見て、せっせと貯金していた。が、ある日、そんな宏の貯金五万円が紛失してしまった。父・勝太郎がバクチに使いこんでしまったのだ。宏は怒りに燃えて勝太郎を探し求めた。しかし、やっとある賭場で勝太郎を探しあてたものの、用心棒によって追い払われた宏は、チンピラたちとけんかになってしまい、相手が持っていたナイフで誤ってチンピラを刺してしまう。警察に逮捕された宏のもとへ、栄子、さち子、そして宏の父である勝太郎が駆けつけ、勝太郎は自分がやったのだ、息子は悪くないと訴えるが、警察は聞く耳を持たない。最後、自分が宏の貯めていたお金をバクチに使ってしまった為に、息子を追い込んでしまったと嘆き、自分の愚かさにようやく気づくのであった。

この地味な物語の中で、太田雅子の魅力は光っていた。特に学生服姿や、ホットパンツをはいて美脚を披露しながらバーでアルバイトをする姿はかなりレアなお宝ショットである(笑)。

そして、引退間近の芦川いづみは、地味な映画に何とも美しく登場し、相変わらずの“きれいなお姉さん”ぶりをいかんなく発揮しているので、主演じゃなくても見応えがある。また車を運転する芦川いづみも登場するが、これもかなりレアなシーンではないだろうか。

正直、映画としてはさほど面白いと言えるものではなく、また全体的にも地味で暗いトーンの作品にて、総合点としては決して高く無い映画である。しかし、前述の通り、太田雅子と芦川いづみそれぞれの魅力を確認する意味と、当時の鉱山町が置かれていた栄華と衰退を知るという意味ではとても興味深い映画であったと言える。これでまた一つ、まだ観ていなかった芦川いづみ出演作を確認することが出来た。

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