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正直、前作『Songs of Innocence』はかなり地味で、大ヒット曲には恵まれなかったが、iTunesでの無料配信で話題にはなった。今回は、往年のU2に近いような元気なロックも復活しながらも、やはりそこは大人になった落ち着いた解釈のもとで、新たなサウンドへと昇華させているところがさすがである。
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今回デラックス版は下記全18曲を収録。3曲がリミックス版の収録にて、実質新曲としては15曲。
1) Love is all we have left
2) Lights of Home
3) You’re the Best Thing About Me
4) Get Out of Your Own Way
5) American Soul
6) Summer of Love
7) Red Flag Day
8) The Showman (Little More Better)
9) The Little Things That Give You Away
10) Landlady
11) The Blackout
12) Love is Bigger Than Anything in its Way
13) 13
14) Ordinary Love
15) Book of Your Heart
16) Lights of Home (St Peter’s String Version)
17) You’re the Best Thing About Me (U2 vs. Kygo)
18) The Blackout (Jacknife Lee Remix)
この中で、先行シングルとなった『You’re The Best Thing About Me』はなかなかインパクトのあるU2らしいメロディーでとても良い新たな“代表曲”に相応しい仕上がりとなった。特にU2らしいサビのメロディーとボノのボーカル、そしてエッジのギターサウンドは、見事な形で融合している。そしてセカンドシングルとなったのは4曲目の『Get Out of Your Own Way』。こちらはオープニングが少し『Where The Streets Have No Name』に近く、また全体的にも遠くに響くような哀愁漂うエッジのギターサウンドによって、似た雰囲気を醸し出す秀作である。
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5曲目の『American Soul』はメロディーが近藤雅彦のヒット曲『ハイティーンブギー』(笑)に似ていて結構面白い。そして、今回特に嬉しかったのが7曲目の『Red Flag Day』。タイトルも少し似ているが、あの初期の名曲『New Years Day』にも似た、ある意味現代版New Years Dayとも言えるエッジの効いたロックで、また往年のU2を少しだけ垣間見れた気がした。当時の若いシャウト感は薄まっているが、メロディーやサビでのコーラスなど、熟成された貫禄すらある仕上がりだ。
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11曲目の『The Blackout』もなかなかハードなロックでかっこいい。中期のU2で良く聞くことが出来たサウンドかもしれない。そして僕が今回のアルバムで一番好きなのが14曲目の『Ordinary Love』。これはある意味U2らしい中にもどこか新しいサウンドで新鮮であった。
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このように、ニューアルバム『Songs of Experience』には、タイトルも示すようにこれまでの“経験”をふんだんに取り入れた上で、U2らしい懐かしいサウンドが満載なのは、往年のファンにはとても嬉しい作品であった。U2が今でも健在であることを改めて印象付ける結果となった。新たな展開も世の中に示した意欲作であると言える。
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久しぶりにU2のアルバムに興奮した!