この『バンクシー展』は、2018年からロシア、スペイン、香港などの5都市を巡回し、100万人以上を動員している展覧会として話題になっていたが、ついに日本にも今年上陸したのだ。それにしても、世界中がコロナの影響を受けている中で、日本にこのような素晴らしい、展覧会が無事開催出来たこと自体奇蹟に近い。あらゆるイベントが次々に中止・延期に追い込まれた中で、『バンクシー展』はとても貴重な体験となった。
バンクシーとは、イギリスを拠点に活動する匿名の件p家で、もはや世界的に有名だが、その正体は誰も知らないという、前代未聞のミステリアスなアーティストなのだ。しかも、無許可でビルの壁などの公共物に、勝手に絵を描いてしまう“グラフィティーアーティスト”ということで、バンクシーに対する評価は、天才か、反逆者かというように、賛否が分かれる見方もあるようだ。
しかし、その社会的・政治的なメッセージが込められた作品には、単なるャbプアートを超越した力があり、個人的にはバンクシーに対する興味は尽きない。昨年、ロンドン出張した際、ロンドンのショーディッチにある実物を2か所見に行ったが、まさか今年日本でもバンクシー作品の数々に出会えるとはその時思いもよらなかった。
さて、バンクシー展だが、横浜駅のASOBUILD(アソビル)で開催されている。匿名アーティストなので、バンクシー自身が主催している展覧会では無く、有名な数人のバンクシーコレクター作品を特別に集めて、ある意味本人には“無断”で開催しているという、何とも稀な展覧会なのである。
バンクシーの作画方法は、ステンシルアートと呼ばれるもの。型紙を用いたグラフィティなのだが、これにより、短時間に公共物に作画をすることが可能となるわけだ。
数多くの作品が展示されており、その作品には反消費主義、政治、抗議などに対する社会的なメッセージが、皮肉たっぷりに描かれている。その作品の数々は、ぱっと見オシャレなャbプアートとも言えるものなのだが、じっくり観賞して行くと、その深い社会的・政治的なメッセージに、かなり考えさせられた。絵だけではなく、バンクシーは様々なメッセージを言葉でも発信しているのだが、展覧会でも紹介されていた、”世界をもっとより良くしよう!という奴ほど危険な人はいない”と言うメッセージには、とても心に刺さるものがあった。
つまり、人類はメディアやマーケティングに長けた人々に踊らされ、幸せという価値観を勝手に植え付けられているわけで、消費社会、権力を持つ人の発言に潜む多くの危険に警笛を鳴らしているのである。確かに幸せの定義は人それぞれの筈だが、知らず知らずのうちに、資本主義の中で、マスメディアによる仕鰍ッや、影響力を持つ人の意見が大勢を支配する世の中であることは間違いない。この状況に一石を投じているのがバンクシーの作品たちなのである。
バンクシーは、この反社会的な象徴として、ネズミやサルなども多く登場させている。“もしあなたが不潔で、取るに足らず、愛されていないものであるならば、ネズミが究極のロールモデルだ”とも発言している。またサルを用いた作品にも、“Laugh now, but one day, we will be in charge”という、猿の惑星を思わせる皮肉たっぷりなメッセージを発信している。ここでいうサルが何を象徴しているか、ということを考えるのも大変興味深い。
最後に、展覧会のグッズショップで展覧会ブックレットと長Tシャツを記念に購入。このブックレットも展覧会で展示していた作品を網羅しており、とても見応えのあるブックレットになっていた。
今回、数多くのバンクシー作品を生で触れることが出来、またテーマ構成や展示の仕方なども大変良く出来た展覧会であった。そして、改めて社会問題や政治について少し立ち止まって考えさせられる機会となった。今後も益々、バンクシーの活動から目が離せそうにない。
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