ネイビーシールズ コレクターズ・エディション [Blu-ray] | |
クリエーター情報なし | |
ポニーキャニオン |
三年くらい前の六月でしたっけ?
撮影には実弾を使用、キャストは全員現役のSEAL隊員、装備も戦術も現在実際に使われているものを使用……という売り文句を引っ提げて、日本で封切りされたの。
まあ、私個人にとっては、期待していたもののGAGAのミスによって公式HPの上映日時と実際の上映日時が異なって見損ね、さらにその後の対応が大阪以前の上映日時を公式HPから削除して隠蔽するというあまりにもお粗末なものだったうえ、挙句の果てに再上映された映画館が喫煙当たり前、吐瀉物の臭いはするしスクリーンはなにか投げつけられて汚れているという、最低な代物だったというイヤーな思い出の残る映画なのですが。
よくもまああんな小汚い映画館で上映する気になったもんです。てめえらの日付のミスで観損ねたのは俺だけじゃなくて大阪近辺に住んでて観ようとしてた人全員だろうに、ふざけてんのか。
正直GAGAに対してものすごく不信感を植えつけられつつ、映画そのものは――今度は煙草の煙も画面の汚れも、昼間っからゲロ吐くほどの深酒飲んだ酔っ払いも無い環境で――ちゃんと見たかったので買ってきました。
ネイビーシールズといえばマイケル・ビーンとチャーリー・シーンが主演として出演した同名の映画が思い起こされます。
夕焼けを背にしたHALO(高高度降下低高度開傘)による空挺降下シーンは今見ても非常に美しいもので、最新の映画に比較して遜色無いものだと個人的には思っているのですが。なお、この映画の空挺降下シーンは、のちにウェズリー・スナイプスのマークス・マンに使い回されています。
20世紀フォックスはこれを未公開シーンがあるなら入れて、AVP2ともども完全版でブルーレイを出すべきだと思うのですが……まぁ、今更やるくらいならもっと早くにやってるよなぁ、AVPシリーズ。片や低画質、片や完全版なし。なんの変わり映えもしないものを何度も何度も『新発売』して。
手の出しやすいエントリー用の安物もいいけど、ひと手間かけて内容を充実させて出来栄えで勝負!みたいな考え方は、もう時代遅れなんでしょうか?
なお、これはXP32ビット環境での話ですが、メモリ不足のためかPowerDVDがフリーズしたまま動きません。
やはりPCで再生するより普通にレコーダーを買ったほうが早い様です。64bitの7にしたら、嘘みたいに快適になりましたけどね。
さて、それはともかく、マイケル・ビーンのネイビー・シールズは中東のイスラムゲリラが敵でしたが、この映画はチェチェン人です。どちらもイスラム教徒であることには変わりないわけですが。
チェチェンといえば先日のボストンの圧力釜爆弾、ぶっちゃけて言えばお手製の指向性散弾地雷ですが、これによるテロが記憶に新しいところですね。
現地の学校に息子を迎えに来た在フィリピンアメリカ大使が、アイスクリーム屋の車両を丸ごと爆破するテロによって児童もろとも爆殺されるところから物語は始まります。
爆破の手引きをしたのはチェチェン出身の原理主義過激派・シャバール。
時を同じくして、コスタリカで民間人医師を装って諜報活動にあたっていたCIAの工作員、リサ・モラレスがクリストの名で通る麻薬商売人の手によって拉致され、米軍が救出のためにSEALを派遣します。
救出作戦は負傷者を出しながらも無事成功、しかし現地で入手した携帯電話の情報からシャバールとクリストのつながりが明らかになり、彼らを斃すためSEALは行動を開始する。
肝心の戦闘シーンの出来栄えは文句無しです。部隊そのものの性格上派手に撃ち合うシーンというのはむしろ少ないのですが、敵の歩哨を次々と始末していくあたりの流れはまさにこれこそ求めていたものって感じですね。
個人的には自称特殊部隊が派手にフルオートで撃ちまくる様な戦い方をする映画というのは実はあまり好きではないので、それこそがイイ!と思うのですね、私。
気になったのは、なぜ昼間に侵入するのか?
モラレスを救出するため敵の基地に潜入するとき、なぜか(おそらく映像の見栄えと、事故防止のために)作戦が昼間に行われています。
こういった作戦は敵が寝静まっているほうが都合がいいので、夜間に行われると思うんですね。SAS隊員が書いた著作なんかを見ても、フィクションとはいえ昼間から攻撃を仕掛ける作品はあまり多くありません。
昼間に襲撃をかけているせいで、敵に発見されて攻撃されて負傷者を出したりしています。
NVなどの最新機材を装備しているのですから、味方だけ視界が利くという状況を作り出せる夜間のほうが有利に戦えるはずなので、この点に関してはちょっと気になりました。
ストーリーそのものは『事実に基づき真の勇気を描くものである』というテロップ通り、アメリカ寄りのプロパガンダで、イスラム過激派が完全な悪役に据えられています。
World at Warのレビューで、OPムービーに使われているプロパガンダ映画『The Battle of China』についてちょっと触れましたが、それと同様の対テロ戦争の意識高揚のためのプロパガンダ映画の現代版といえるでしょう。
ストーリーのバックボーンとして、こういうタイプの敵役の掘り下げが行われていないものは単純でわかりやすい半面、『ピースメーカー』のテロリスト・デューサンの最期の様に、見終わった後の『過激派なりの動機』を理解して感じる複雑な余韻がありません。
娯楽としては楽しめるのですが、裏側の政治的意図を理解してしまうと素直に楽しめなくなるという、ブラックホーク・ダウンと同じタイプの作品ですね。
そういえばブラックホーク・ダウンもそうですけど、未公開シーン非組み込みなんですよね。後から完全版が出るというあざとい商法はやめてもらいたいもんですが。
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