最果てのパンドラ (キュウビノベルス) | |
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携帯サイトで小説を書き始めた当初からの知人であるいづみさんが、先日関西コミティアで同人小説を頒布されました。残念ながら俺は――Twitter上での連絡の遅延と言葉足らずと不幸な勘違いによって――もう売り切れたものと早合点してまだがっつり残ってるのに会場近くで引き返してしまい入手出来ずに終わったのですが、それが今回Kindle向けの電子書籍として発刊されました。
タイトルは最果てのパンドラ。
ルー・ガルーと呼ばれる人狼ウィルと、人と幻狐と呼ばれる絶滅種族の混血の少女パンドラの交流を描いた物語です。
ある条件と引き換えに、一勢力の兵力として戦争に参加したウィル。提示した条件は、雇い主の支配する街の稀少な書籍を収めた図書館の利用の権利でした。
ウィルは『ある目的』のためにルー・ガルーの祖先アルテリルを探しており、その手掛かりとして図書館の蔵書を調べたがっていたのです。
数日かけて図書館の蔵書を調べながらも目的のものは見つからず、やがて焦れるウィルの前に透明な魚が姿を現しました。
まるで虚空が水槽であるかの様に宙を自在に泳ぎ回り、あたかも水から本を読む様にしている魚たち。彼らが本に潜って出てくるたびにその体に文字が転写されていることに気づいて、図書館を辞したウィルは彼らを追い、どことも知れぬ奇妙な場所にある館へとたどり着いて、そしてそこで伝説そのものと邂逅します。
幻狐の少女パンドラ。
両親が家を空けているために館でひとり、魚たちとともに暮らす少女。
彼女の住む家で、ウィルは探し求めていたものを発見しました。ルー・ガルーの祖、アルテリルを探す手掛かりとなる一冊の古書です。ウィルが真に求めるもの、その願いをかなえてくれるやもしれぬ祖への手掛かりが、彼女の住む館にあったのです。
その書を読むためにパンドラに取り入ろうと彼女の下にとどまるうち、ふたりはやがて友情で結ばれていきます。
しかし突如として平穏は壊れ、ウィルはパンドラの母と出会い、パンドラの秘密を知ることになります。
そして、その秘密を知ったことでウィルはひとつの選択を迫られました。
具体的な戦闘シーンが出てこないので盛り上がる場所は無いけど盛り下がりもせず、せせらぎの音の様に静かに染み入ってくる物語です。
かつて失い、それを取り戻すために半世紀を費やしてきた目的を果たすのか。
その目的を放棄し、今まさに失われようとしているものを手に入れるのか。
なにを切り棄て、なにを手に入れるのか――それは皆さんが自分で結末を見届けてください。
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