自転車も同様ではありますが、オートバイはサスペンションストロークなども駆使してより積極的に特性を制御してます。
基本としてバランスを維持するのが、オートバイも自転車も同様です。これは、竹馬乗りや綱渡りなどと異なり、乗り手が積極的にバランスをとらなくても走っていればバランスを維持してくれるようにしているということです。
このため自転車もオートバイも手放し運転がそんなに難しいことではない技になっています。
実際のところどういう原理でそうなるかというと、
- 車体が傾く
- 傾いた方に舵が効く
- 舵が効いた方に曲がる
- 曲がった方と反対向きに遠心力がかる
- その遠心力の向きは1の傾きと逆向き
- 3の際の曲がり具合によって5の傾きの復元力は傾きをキャンセルできる
- キャンセル量が足りない場合は段々傾くのは止まらない
- キャンセル量が少しだけ多目だと最初の傾きと反対側に少しだけ傾く
- 8の場合は1から繰り返しで、うまくいけば「少しだけ傾く」の「少し」が段々少なくなる
- 9の場合、最終的には最初の傾く前の状態に収束していく
こういうカラクリなのです。いわゆる負帰還(Negative Feedback: NFB)制御。
7の場合は二輪車としては乗り手があれこれ始終バランスとるべく頑張らないといけない失敗した設計です。
一方でオートバイ、特に現代のものでは、推進力もブレーキも掛かっていない場合の特性は7になるか、それに近いものにしていると思います。ようするにブレーキも離し、クラッチも切ると、左右どちらかにパタッと倒れやすくなる。
ですのでブレーキで減速しつつコーナーに侵入しつつ、「ここで曲げるぞ」ってとこに達したらブレーキを解放しクラッチを一瞬切るとパタッと倒れ込んでいくので、それにつれハンドルも切れるから、必要なだけ傾いたところでクラッチを繋いでやると、その状態を維持しようと車体が勝手にしてくれる。
まあクラッチ切らなくても、フロントブレーキは解放して、リアブレーキを残すと似たような状態(推進力が0)になるので、そういう操作もアリ。クラッチよりリアブレーキで制御した方がボンバン制御じゃないのでむしろ良いとも言えるかも。
あと、8の傾きをキャンセルする反対向きの力が多すぎると、いわゆるシミー現象が発動することになりますね。別な言い方をすると、常にシミー現象はおこっているけれど、基本的には振動が収束するようにしている。けど、条件が揃うと収束せずに振幅が増大してしまって・・・ということ。
乗り手のバランスだけで操舵する状態だと、例えば右に旋回:
- 右に重心を移す
- 右に傾く
- NFB で傾き補正が発生(重心移動により補正量は減っている)
- 左に傾きを戻す力は重心移動していない場合より弱くなる
- NFB の補正量は傾けば傾くほど増大するように設定してあれば一定程度右に傾くと補正量が増大して傾きが止まる
こんな感じの特性にしているはず。5の特性にできずとも補正量が減る方向でなければ乗り手が重心を戻す(?)ことで傾くのを止められます。
もしその補正量が減る方向だったら、乗り手にとってすごい乗りにくいハンドリング特性になると思います。先のブレーキ開放&クラッチ切った状態ではこうなっているのかな。一時的に意図的にこの状態にできれば、必要に応じてクイックなハンドリング特性にできるということになります。
理屈が分かったからって運転が上手くなるわけでもないでしょうが・・・