木枯らしの吹く冬の日
男が二人歩いている
男たちは何も語らない
コートを着た男たちは
黙ったまま歩いていく
お互いに顔も見ない
吹きすさぶ風に
コートの襟を立てながら
黙って歩いていく
どこへ行くのか
二人はわかっている
死ぬのだ
俺たちは死ぬのだ
でもそれは悲しいことではない
二人ともそれを望んでいる
死は俺たち二人に親しいのだ
俺たちはそれを望んでいる
こうやって歩いていけば
その先には何かがある
俺たちが手に入れられなかった
何かがある
そのために死ぬのだ
歩いている一人は俺だ
もう一人は誰だ
ひどく懐かしい
愛する友よ
君は誰だ