5月の連休に山間の蕎麦屋を訪ねた。
連休は何処も混んでいるし、通常であれば出掛けたりしないのだが、あまりにも天気がいいので、1日くらいならと車で出掛けてしまった。場所がかなりの山間部なので、あまり混んでいないのではという淡い期待もあった。途中は車もほとんど見当たらず、これならすんなり入れそうだと思ったのが間違い。店に着いてみると、駐車場は満杯。やっと1台空いているのを見つけて車を停め、店に入ってみると、受付名簿には何組もの待ち客が。自分も名前を書き、店の外で待つことにした。連休を承知で出掛けてきたのだし、周りは緑豊かな風景が広がっているので、散歩をしながら待っていたが、名前を呼ばれたのは店に着いてから1時間後であった。さらに、席に着いてから、注文の天盛りそばが届くまで40分、連休に出掛けた自分が悪いと反省しつつ、いただいたそばは残念ながら私の好みには合わなかった。
昨今、うまいと言われる蕎麦屋は、並ばなければ食べられなくなってきた。値段も手頃だし、口コミで人が集まり、テレビやユーチューブでも蕎麦屋さん紹介が多いのが原因だろう。
ところで、テレビやユーチューブの蕎麦屋さん紹介で気になることがある。紹介する人が、そばを食べて「こしがあります」とか「そばの香が良い」とかコメントすることが多いのだが、それがわからない。お金をとって出しているような「そば」で「こしのないそば」などというものはほとんどない。うどんではあるまいし、そばはきちんと作れば、それなりのこしがあるのが普通と思われる。また、そばの香りがというのも、私にはわからない。私の臭覚が鈍いのかもしれないが、長年食べてきて、そばのかおりを感じたのは稀である。そばの香りは微妙で、そばを打っている途中はともかく、客に出されてきた時点でそばの香りはほとんどなくなっているのではないかと思う。
最近は、そばを食べるときに、最初は何もつけずにそばだけを食べるのが通のようになっているが、あれもどうしたものか。私も何度かやってみたことはあるが、つまらぬことだ。そばは、そばとつゆとの調和、そのトータルで味わうものだ。
最初は、塩で食べてくださいなどという店もあるが、何口かはそれでもよいが、ほんの数口の楽しみだけだ。水だけで一人前食べたそばもあるが、それだけのそばはめったにない。そばは、適度な長さ、適度な水切り、つゆとの調和、のど越しが重要と私は思っている。