昔かよっていた、ルアーとフライフィッシングの管理釣り場。たまたま近くを通りかかったので様子を見に行ったところ、以前の面影はなく、荒れ果てた光景が広がっていた。
市の郊外にあるその管理釣り場は、あたりを田圃に囲まれたロケーションのよい釣り場で、池の周りも広く、フライロッドを振るにも後を気にせずに済んだ。二つの池があり、両方とも野池のような感じで、マスのほかブラックバスもたまに釣れた。所有者はちょっと頑固そうであったが、話してみると気のいいおやじさんであった。そのおやじさんも亡くなり、後は家族が引き継いで営業していると聞いていたのだが。
今は、池の水は抜かれ、一面に草が生え、以前ここが管理釣り場であったことが想像できないほどの茫漠たる風景に変わっていた。二度と以前の風景に戻ることはないであろう。
そういえば、我が家のまわりの風景も随分変わった。家を建てた当時は、まわりはほとんど林で、散歩するにはよいが、ちょっと寂しい感じの場所であった。ところが、すぐに開発が進み、林は切り開かれ、住宅が立ち並ぶようになった。寂しい感じは無くなったが、子供たちが秘密基地を作ったり、大人が散歩する楽しみは失われた。昨年、唯一残っていた空き地も造成され、今年6軒の家が建ち、まわりの林や草地はすべて無くなった。
歩いて行ける近所の蕎麦屋も馴染みの酒屋も店を閉めた。ともに経営者が高齢になったことが理由らしい。ここに住んで30数年、時の流れを感じずにはいられない今日この頃である。
熊倉雄二の油絵です。