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お見舞い2

2010-10-12 23:40:14 | 癌 闘病生活
まるで泣き出しそうなくらい厚い雲に覆われた朝…

この日、私は仕事が午後からだったので、母親と午前中におばさんの入院している病院へ行くことにしました。
おばさんとは約1週間ぶりの対面となりました。病室に入ると、おばさんの姿は先週会った時より痩せてはいなかったのですが、薬のせいなのかからだ全体の水分がなくなり、まるでミイラのような顔で天井を見つめていました。

私はおばさんに話をしようと試みましたが、耳を近づけないと聞こえないくらいかすかな声でぼそぼそと答えるくらいでしか反応がありませんでした。つい1週間前までは、抗がん剤治療を受けていたのですが、薬の副作用で食欲不振を訴え、一時抗がん剤の投与を中止してからみるみるうちに変わり果ててしまったのです。

母はおばさんに「足痛くないかい?」と聞き、ベッドの横に座りやせ細ったおばさんの足をさすると、おばさんはうれしそうに目を細めているのでした。母は、3年前に亡くなった父が病院で入院して最後を遂げた時も同じように足や手を一生懸命さすっていたのでした。
その光景を見て、私はそっとおばさんの手を握りました。手には何本もの注射の跡があり痛々しく、黒ずんでいました。私は注射針の跡が消えるようにさすってあげると、おばさんが小さな声で「ありがとう」とささやいたのでした。



その後、私は会社へ行ったのですが、母は夕方までおばさんのそばにいて手や足をさすっていたそうです。

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